ビタミンCと言っても、還元型ビタミンC(L-アスコルビン酸)、酸化型ビタミンC(デハイドロアスコルビン酸)があり、一般的にビタミンCと言えば、還元型ビタミンCのことです。野菜や果物に含まれる酸化型ビタミンCは濃度が低いと、還元型ビタミンCと同じ作用を示し、壊血病を予防したり、治したりしますが、濃度が高いと毒性を示します。したがって、野菜や果物は、還元型ビタミンCが多い新鮮なものを摂取しましょう。
破傷風、肺炎、腸チフスなどの患者で、血液中の還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの量を測定し、それらの病気が悪化し、死亡するまでの過程で、還元型ビタミンCが減り、酸化型ビタミンCが増えることを、確認しました。また、患者が生き延びると、逆の動きが見られました。
研究によると、これらの結果から、総ビタミンC量は診断の手段として、適切でないことが分かります。死亡した患者は、酸化型ビタミンC量が多いため、総ビタミンC量が、生き残った患者より高くなっています。
アーウィン・ストーン博士の研究によると、還元型ビタミンC量が多ければ健康状態は良好でありますが、病気の指標には、還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの比が重要で、これを疾病指数と呼ばれています。健常者の疾病指数は約15ですが、ビタミンC大量摂取者はさらに高くなり、また、病気が重く、生き残ったヒトでは、疾病指数は約1.0で、死亡したヒトでは0.3~0.5でした。生き残ったヒトで、回復期には3.0~5.0に上昇しました。
健全な組織反応が行われるためには、還元型ビタミンCがきわめて多く、酸化型ビタミンCの量が著しく少なく、酸化ー還元力が低く保たれなければいけない、と考えられます。また、病理学的には、病気が進行するに従って組織の酸化力が高まり、病気が治癒すると再び低下します。
ビタミンC大量投与療法の価値は、組織の酸化ー還元力を低いレベルに保ち、疾病指数を高い水準に保つことです。常に高濃度の還元型ビタミンCが存在すると、毒性のある酸化型ビタミンCの産生が抑えられる、と考えられます。
References
Stone, I: The Healing Factor: VitaminC against Disease, Crosset and Dunlap, 1972
藤井毅彦: がんと栄養、日本ビタミンC研究会、1979年
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