医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの比と疾病指数について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-01-26 22:29:53 | 健康・病気

ビタミンCと言っても、還元型ビタミンC(L-アスコルビン酸)、酸化型ビタミンC(デハイドロアスコルビン酸)があり、一般的にビタミンCと言えば、還元型ビタミンCのことです。野菜や果物に含まれる酸化型ビタミンCは濃度が低いと、還元型ビタミンCと同じ作用を示し、壊血病を予防したり、治したりしますが、濃度が高いと毒性を示します。したがって、野菜や果物は、還元型ビタミンCが多い新鮮なものを摂取しましょう。

破傷風、肺炎、腸チフスなどの患者で、血液中の還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの量を測定し、それらの病気が悪化し、死亡するまでの過程で、還元型ビタミンCが減り、酸化型ビタミンCが増えることを、確認しました。また、患者が生き延びると、逆の動きが見られました。

研究によると、これらの結果から、総ビタミンC量は診断の手段として、適切でないことが分かります。死亡した患者は、酸化型ビタミンC量が多いため、総ビタミンC量が、生き残った患者より高くなっています。

アーウィン・ストーン博士の研究によると、還元型ビタミンC量が多ければ健康状態は良好でありますが、病気の指標には、還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの比が重要で、これを疾病指数と呼ばれています。健常者の疾病指数は約15ですが、ビタミンC大量摂取者はさらに高くなり、また、病気が重く、生き残ったヒトでは、疾病指数は約1.0で、死亡したヒトでは0.3~0.5でした。生き残ったヒトで、回復期には3.0~5.0に上昇しました。

健全な組織反応が行われるためには、還元型ビタミンCがきわめて多く、酸化型ビタミンCの量が著しく少なく、酸化ー還元力が低く保たれなければいけない、と考えられます。また、病理学的には、病気が進行するに従って組織の酸化力が高まり、病気が治癒すると再び低下します。

ビタミンC大量投与療法の価値は、組織の酸化ー還元力を低いレベルに保ち、疾病指数を高い水準に保つことです。常に高濃度の還元型ビタミンCが存在すると、毒性のある酸化型ビタミンCの産生が抑えられる、と考えられます。

References

Stone, I: The Healing Factor: VitaminC against Disease, Crosset and Dunlap, 1972

藤井毅彦: がんと栄養、日本ビタミンC研究会、1979年

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスblog.goo.ne.jp/h35p39で発信しています。

 

 


喫煙とホルモンによるガンとビタミンCについて 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-01-26 21:20:25 | 健康・病気

ビタミンCと喫煙に関しては、非喫煙の対照者に比べて、喫煙者では全血ビタミンC値、
血清ビタミンC値、および白血球ビタミンC値の低値で示された様に、喫煙は、ビタミンCの貯蔵を枯渇させるという、重大な証拠が存在します。現在の状況では、慎重にビタミンCの摂取を増やすことは、習慣的な重喫煙者にとって賢明な選択となります。

また、ガンに対する宿主抵抗性に関しては、あらゆるガン患者において、宿主抵抗性を最高値まで強めることは、ガン治療に於ける改善をもたらします。ビタミンC代謝が、これらの宿主抵抗性機構全体に関わりあい、ビタミンCの適正量の摂取は、これらの目標に到達する、単純、かつ安全な方法であり、この事は証明が可能です。

ビタミンCとホルモンバランスに関しては、ビタミンCの最高濃度が副腎と脳下垂体に見出され、壊血病の末期では、副腎のビタミンCの完全な枯渇が先行し、副腎皮質の失調から壊血病死へ導かれます。また、ビタミンC-脱水素ビタミンC系は、副腎ー脳下垂体ホルモンの合成と遊離に重要な役割を演じます。

発がん性を有する卵胞ホルモン(エストロジェン)、性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の中で
エストロジェンは乳腺、子宮などに対し、あたかもアゾ色素のように細胞分裂を楽々と誘発させ、卵巣、子宮、乳房などを癌化させます。ポーリング博士らの研究によると、ビタミンCが
性ホルモン代謝に入り、性ホルモン代謝を正常化し、エストロジェン分泌過多を抑制し、性ホルモンによって起こるガンを退縮せしめる、と報告されています。更なる研究が待たれます。

References

Linus Pauling: Cancer Research,March,1979

藤井毅彦:ガンの寛解とビタミンC療法、日本ビタミンC研究会、1981年