医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

大腸がん、潰瘍性大腸炎の原因とウイルスの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2018-01-23 14:40:20 | 健康・病気

近年、日本では大腸がん、潰瘍性大腸炎が増加していると、報告されています。その原因には腸内環境の悪化によって、腸内にいろんな毒性物質が産生され、ウイルスや細菌も健康な腸管に比べて増加しており、また、腸管バリアーの損傷が発症し、そこから毒性産生物質や細菌、ウイルスが血管内に侵入し、いろんな疾患の原因になると、報告されています。その対策として、腸内環境の改善のため、野菜や果物、キノコ、海藻など食物繊維の多い食品の摂取とプロバイオティクス(乳酸菌、酪酸菌、納豆菌など)を多く含む発酵食品の摂取が必要と、考えられます。

また、最近、米国で大腸がんや潰瘍性大腸炎などとウイルスの関係に関する研究が報告され、ある研究では、潰瘍性大腸炎の悪化とヘルペスウイルス、サイトメガウイルスの関係が報告されています。Harald Zur Hausen博士(子宮頸部ガンウイルス発見によりノーベル賞受賞)は、疫学的研究において、よく焼いていない牛肉を食べる人は、、よく焼いた牛肉を食べる人に比べ、結腸ガン(大腸がん)患者が多いという結果に基づき、牛肉の中にいる未知の病原体が関係しているのではないかという、仮説を立てました。これ以外の研究でも、牛肉の中には、TTVウイルス、BPVウイルスがおり、これらのウイルスと大腸がんとの関係が指摘されています。

次に、潰瘍性大腸炎との関係が指摘されているサイトメガウイルスは、潰瘍性大腸炎の増殖因子で、ほとんどの人が腸管に持っており、腸内環境(腸内フローラ)の悪化による免疫システムの制御異常時に暴れだすと、言われています。免疫システムが正常に働いていれば、サイトメガウイルスを抑制できます。したがって、潰瘍性大腸炎が悪化する場合、免疫能の低下により、腸管内のサイトメガウイルスが暴れだすと、考えられます。

これらの対策として、腸内環境の改善作用が有るプロバイオティクスやプレバイオティクスの摂取と共に、抗ウイルス作用のあるビタミンC、ビタミンD,ハーブの摂取やビタミンCの点滴も必要と、考えられます。今一度食生活を見直し、薄味の日本食も食卓に上ることが必要、と考えられます。

References
Colon cancer linked to viruses in beef.Life . 02 Feb, 2015
Ninh Nguyen, et al. Cytomegalovirus reactivation in ulcerative colitis patients. Ulcers. Vol2011
Will herpes(HSV1 and HSV2)affect my US?. healing Well. com
Christine gorman. Could a cow virus cause colon cancer? Scientific American. July 1,2014
Anne Toumey. VitaminC&Ulcerative colitis. LIVESTrONG. COM. Oct 21, 2013
Marco Oliver Schunter, et al. Herpes simplex virus colitis complicating ulcerative colitis. Journal of Cron's and colitis. Sept 2007

 

 


大腸がんのリスクと腸内有用菌、食物繊維の作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2018-01-22 10:24:32 | 健康・病気

現在、大腸がんは、食生活の急激な変化と共に急増しており、良く耳にするようになりました。そして、大腸がんは、女性のガンでは死亡率のトップで対応が急がれています。

内外の多くの研究によると、結腸ガン、直腸ガンなどの大腸がんの発症には腸内フローラが関係している可能性が高まっており、その改善が研究されています。EUのSYNCANプロジェクトの研究によると、腸内の有用な細菌(プロバイオティクス)と食物繊維などプレバイオティクスの日々の適切な摂取は、腸の細胞のDNAの損傷を減らし、大腸がんの発症を減少さす可能性が有ると、報告されています。

以前は、腸内フローラと大腸がんの関係は少ないと言われていましたが、新しい研究によると、腸内細菌叢が大腸がんを始め、いろんな疾患(炎症性腸疾患、心臓病、うつ病、ウイルス・細菌性疾患、動脈硬化症、自己免疫疾患など)と関係することが分かってきました。そこで、これらの疾患の予防・治療には腸内細菌叢の改善、すなわち、善玉菌優位の環境を作ることが必要と言われています。そして、善玉菌の餌になるプレバイオティクス(食物繊維、オリゴ糖、ビール酵母など)の十分な摂取も必要と言われています。なお、プロバイオティクス(乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌など)は次に述べるようなメカニズムで染色体のダメージを防ぎ、ガンを始めいろんな疾患のリスクを減らします。

ガンを始め、いろんな疾患へのプロバイオティクスの効果の考えられるメカニズム
●腸管内での有害な酵素活性を阻害する。●潜在的に有害な細菌の成長を制御する。●結腸細胞に対する有益な作用がある。●免疫システムの刺激作用がある。●結腸細胞への有益な作用を有する生成物質を産生し、これらの作用により、プロバイオティクスは、プレバイオティクスを餌にし、腸内環境を改善し、大腸がんを始め、いろんな疾患になるリスクを減らします。これらのことから、健康維持には、ビタミンやミネラルなどの栄養素だけでなく、日頃から、発酵食品(納豆、キムチ、味噌、漬物、ヨーグルト、酒粕など)や食物繊維(野菜、果物、海藻、キノコ、精製度の低い穀物などに含まれる)を多く含む食品の摂取も極めて重要であることが、新しい研究からわかってきました。

References
Erika Isolauri.Probiotics in human disease. Am J clin Nutr. June 2001
Sarka Miller. Take probiotics to prevent cancer. Natural News. June 1,2012
Julio Plaza-Dias, et al. Evidence of the anti-inflammatory effects of probiotics and synbiotics in intestinal chronic diseases. Nutrients. 2917 June;9(6):555

 

 


腸内フローラ、免疫システムとプロバイオティクスの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2018-01-17 13:16:55 | 健康・病気

多くの研究によると、プロバイオティクス(乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌、納豆菌など)は、高齢化や糖尿病、食生活の変化などによる腸内フローラの悪化による免疫システムの弱化を防ぎ、免疫システムを強化し、いろんな疾患の予防や感染と戦う免疫による防御機能を高めます。

腸管には体の免疫細胞の70%以上が存在し、大腸がんや潰瘍性大腸炎などの病気に罹ると腸管免疫細胞が十分機能しなくなり、感染に対する抵抗力が衰え、帯状疱疹や突発性難聴などの病気の発症の素地を作ります。また、ガンに結び付く重大な感染症のB型肝炎、C型肝炎、ヒトパピローマウイルスとヘリコバクターピロリ菌などには、プロバイオティクスの常時摂取により、腸管免疫能を高めておくことが重要です。また、プロバイオティクスには免疫システムを制御する作用が有り、自己免疫疾患の予防・治療に有益と、報告されています。

腸管のプロバイオティクスなど善玉菌優位の環境では、腸内環境が良くなり、食物の消化がスムーズになり、便秘を防ぎます。さらに、毒性物質や老廃物、細菌などが腸管バリアーから吸収されるのを防ぎ、これらに起因する疾患を予防してくれます。納豆や味噌、漬物、ヨーグルトなどプロバイオティクス食品に含まれるポリアミンには、悪玉菌により障害を受けた腸管上皮細胞や腸管バリアーを修復してくれる働きが有ることが、明らかになっています。

このようにプロバイオティクスは、ガンや炎症性腸疾患、糖尿病、心臓血管病、脳梗塞、うつ病、自閉症、睡眠障害、自己免疫疾患など難治性疾患に対しても有益であることが、研究からわかってきました。日常生活に発酵食品や食物繊維の多い食品を摂り入れ、高脂肪の食品を減らし、プロバイオティクスサプリメントを常用することも一案です。


References
Sana-Jonae Miler. Take probiotics to prevent cancer.Natural News . June 1,2012
Probiotics for Diabetes. LIVESTRONG. COM.Feb16,2015

 

 


プロバイオティクスとコレステロール値、IL-10産生との関係について  栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2018-01-05 13:58:49 | 健康・病気

プロバイオティクスは、樹状細胞の成熟や食品摂取によるコレステロール値に影響することが、近年、いろんな研究により分かってきました。また、LDL/HDL比が高いと、心臓血管系疾患のリスクが高くなります。Rajiv Saini博士らによると、プロバイオティクス菌(有用細菌)は、IL-10(主に2型ヘルパーT細胞のTh2より産生されるサイトカインで、抑制性活性が中心となっている)値の増加と共に、少量のTNF-α(腫瘍壊死因子)とIL-12の遊離を特徴とする樹状細胞の成熟パターンをもたらし、炎症促進性Th1細胞の誘発を阻害します。ビフィズス菌(善玉菌)は、特に、樹状細胞によるIL-10産生の発現上昇をもたらし、同時刺激分子のCD80とCD40(T細胞のCD40リガンドと結合し、B細胞に増殖と分化のシグナルを伝える)を低下させます。IL-10産生の増大は、直接的抗炎症作用を有し、制御性T細胞の誘発を強める可能性があります。

ビフィズス菌のこれらの作用とは対照的に、乳酸菌株のいくらかの作用では、同時刺激マーカーの発現の増大を特徴とする、樹状細胞の表現型を生ずる傾向が有るが、炎症促進サイトカインの産生は低いようでした。また、制御性T-細胞は、生体のあまりに強い免疫応答を低下さすのに有効で、このことは、ダメージを受けた動脈へ送られる白血球数がより少なくし、それうえ、その部位での炎症とコレステロールの蓄積がより少なくなっています。

プロバイオティクス菌は、腸管から食物繊維を吸収する時、酸を産生させます。例えば、プロピオン酸は、肝臓でコレステロールの産生を減少させ、胆汁酸を破壊します。なお、胆汁酸は、脂肪の分解を助け、肝臓では、コレステロールから胆汁酸を産生します。これが繰り返されます。ここで、プロバイオティクスは、胆汁酸を破壊し、肝臓では追加の胆汁酸をつくらねばなりません。よって、もっと多くのコレステロールが利用されるようになります。

いろんな研究から、プロバイオティクス菌は、コレステロールを餌にし、それを分解し、自身の栄養のためコレステロールを利用します。これらの働きから、プロバイオティクス菌は、体内のコレステロール値をコントロールし、心筋梗塞や心臓弁膜症、不整脈を始め、いろんな疾患の予防と治療に貢献していると、考えられます。更なる研究を期待しています。

References
Rajv Saini, et al. Potential of probiotics in controlling cardiovascular disease. J Cardiovasc Dis Res. 2010 Oct -Dec;1(4):213-214
Geline Thompson. Unique probiotic targets cardiovascular disease. LifeExtension. Oct 2014
Drolet MC, et al. Development of aortic valve aclerosis or stenosis in rabbits: role of cholesterol and calcium. J Heart Valve dis. 2008 July; 17(4):381-7
Probiotics against heart ddisease. News View. 23 March 2016

 

 


コレステロール値改善、制御性T細胞・樹状細胞の発育とプロバイオティクスの関係 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2018-01-01 15:20:45 | 健康・病気

心臓血管系疾患とコレステロール値は大変関係が深く、LDL/HDL値の比が2.5以上になると、狭心症、心筋梗塞のリスクや僧帽弁・大動脈弁の硬化のリスクが高まると、報告されています。したがって、LDL/HDL比の改善が中高年の人には重要と、言われています。Celine Thompson博士によると、プロバイオティクス(L.reuteri)は、LDL値を下げ、HDL値を高めることにより、LDL/HDL値を下げると、報告されています。

インドのRural Dental CollegeのRaliv Saini博士らによると、ラットでの肝臓脂質生成をプロバイオティクス(乳酸菌、酪酸菌、ビフィズス菌、納豆菌などの善玉菌を含む食品、サプリメントなど)が阻害し、その結果、明らかな中性脂肪値の低下をもたらしました。この作用のメカニズムは、短鎖カルボン酸の代謝上の作用と血糖とインスリン血漿の低下より成り、代謝上の関連は、アテロ―ム性心臓血管疾患に対するインスリン抵抗性とそれに関係したリスク因子との間で証明されました。それは、特に、高トリグリセリド血漿値(アテロ―ム形成におけるリスク因子である可能性が高トリグリセリド血漿値にあるため)がリスク因子です。そして、プロバイオティクスの機能的効果は、ヒトで注意深く研究する必要が有り、特に、高インスリン血症と高トリセリド血症と結びついていることが知られている症状においてです。

次に、プロバイオティクスは、免疫システムにおいて制御性T細胞の発育をサポートします。樹状細胞は、たえず腸の抗原をサンプリングし、単純性T細胞にそれらを送り、腸に見出される抗原表示細胞で、T-細胞の活性化と分化をもたらします。樹状細胞は、特異な病原体と結びついた分子パターンを認識するパターン受容体の発現を通して、異なった微生物株を識別しるのが可能です。微生物(プロバイオティクス)は、TH-1、TH2、もしくは制御性T細胞の応答の発育を誘導するシグナルを取得すべく、樹状細胞を刺激します。

プロバイオティクスは、マイクロカプセル化や細胞固定技法を通じて食品材料に含まれるようにすることが出来ます。したがって、日常、プロバイオティクスを摂取し、免疫能を高めておくことが、腸管の健康だけでなく、心筋梗塞やうつ病、帯状疱疹、突発性難聴、潰瘍性大腸炎、それに大腸がん、その他の疾患の予防に有益なことが、新しい研究により明らかになりつつあります。特に、中高年になると、腸内環境が悪化し、悪玉菌優位の環境になるので、プレバイオティクスやプロバイオティクスを補給しておくことは人生にとって重要と、考えます。これらに詳しい専門家に相談したり、インターネットで調べる必要が有ります。

References

Rajiv Saini, et al. Potential of probiotics in controlling cardiovascular diseases. JCardiovasc Dis Res. 2010 Oct-Dec; 1(4): 213-214
Thushara RM, et al. Cardiovascular benefits of probiotics. Food Funct.2016 Feb;7(2):632-42
Celine Thompson. Unique probiotics targets cardiovascular disease. LifeExtension. Oct 2014