医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ビタミンCと疾病指数について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-08-08 11:00:05 | 健康・病気
今回は、ビタミンCと疾病指数について考えて行きたい、と思います。ビタミンCには還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCがあり、酸化型ビタミンCは濃度が低いと還元型ビタミンCと同じ作用を示し、壊血病を予防したり、治したりするが、酸化型ビタミンCの濃度が高いと毒性を示します。破傷風、肺炎、腸チフスなどの患者で、血液中の還元型ビタミンCと酸化型ビタミンC量を測定し、病気が悪化し死亡するまでの過程で、還元型ビタミンCが減り、酸化型ビタミンCが増えるのが報告されています。。なお、患者が生き延びると、逆の動きが見られました。Stone博士によると、健康な人は、血中還元型ビタミンC値が高く、酸化型ビタミンC値が低く、髄膜炎、肺炎、腸チフス、破傷風患者などでは、血中還元型ビタミンC値が低く、酸化型ビタミンC値が高い、と報告しています。従って、総血中ビタミンC値が診断の手段としては適当でないことが分ります。

また、死亡した患者は酸化型ビタミンC量が多いため、総ビタミンC量が、生き残った患者より高くなっている。なお、還元型ビタミンCが多ければ健康状態が良好であるが、病気の指標には、還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの比が重要であり、Stone博士は、これを疾病指数と呼んでいる。健常者の疾病指数は約15だが、還元型ビタミンC大量摂取者はさらに高くなり、また、重い病気で生き残っている人では、疾病指数は約1.0で、死亡した人では0.3~0.5だった。生き残った人で、回復期には3.0~5.0に上昇した。なお、健全な組織反応が行われるためには、還元型ビタミンCの量が極めて多く、酸化型ビタミンCの量が著しく少なく、酸化ー還元力が低く保たれていなければいけない。病理学的には、病気が進行するにしたがって組織の酸化力が高まり、病気が治ると再び低下する。ビタミンCを頻回に食品やサプリなどで多く摂取することの価値は、組織の酸化ー還元力を低いレベルに保ち、疾病指数を高い水準に保つことです。常に、高濃度のビタミンCが存在すると、毒性の酸化型ビタミンCの生成が抑えられます。最後に、、連綿と続くビタミンCの研究に期待しましょう。

References
Stone,I. (1972) The healing factor:vitaminC against disease. Grosset and Dunlap. New York.

超加工食品と発がんリスクの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-07-31 15:23:53 | 健康・病気
超加工食品と発がんリスクの関係については、英国での研究では、超加工食品を多く消費する習慣は、ガンの発症と死亡のリスクの増加と結び付いている可能性があることを、示唆しています。英国王室公衆衛生院の研究者等は、超加工食品とガン発症リスクの関係を示すデータに対し、包括的な評価を実施しました。なお、超加工食品は、発泡性ドリンク、練り食品、加工パン、惣菜、カップヌードル類、ハムバーガー類、それに朝食のシリアルなど、製造過程でよく加工された食品です。その成分は、糖質、脂肪分、塩分などを多く含み、いろんな添加物も含んでいます。

超加工食品は、相対的に安価で便利、かつ多く出回っており、選びやすいが、しかし、一般的には塩分、脂肪分、糖が多く含まれ、人口食品添加物を含んでいます。そして、これら超加工食品は、肥満、2型糖尿病、それに心臓血管病などの健康上の問題があります。

イギリスでのこの種の最初の研究は、20万人の中年被験者の食事に関する情報を集めるため、英国ボバンク(bobank)の記録を利用しました。この研究では、超加工食品の消費の増大は、特に、卵巣ガンと脳腫瘍では、ガンによる死亡リスクの増加を伴い、特に、卵巣ガンと乳ガンでは著明でした。

超加工食品摂取の10%の増加は、6%ほどガンによる死亡率の増加を伴っており、乳ガンでは16%増え、卵巣ガンでは30%増えました。これらの関連は、喫煙、身体的活動、それにBMIのような社会・経済的要因、食事の要因、行動要因、などを調整後、認められたものです。なお、これらの研究は、いろんな要因を考慮してしなければいけないので、実験室の研究と違って複雑です。

References
Conrad Duncan. Ultra-processed foods may be linked to increase risk of cancer. Imperial News. February 2023
Elizabeth Pratt. Ultra-processed foods linked to heart disease ,cancers and 30 other health conditions. Medical News Today. March,2024




食品添加物と発がん性リスクとの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-07-30 15:25:21 | 健康・病気
食品添加物と発がん性リスクや健康リスクとの関係については、いろいろな研究や報告があり、未だに論争の的になっています。環境保護グループ(EWG)は、食品加工処理中混じるBHAのような防腐剤や重金属(酸化チタン)のような,10,000種以上の化学物質(食品添加物)は、米国で売られている食品では許可されている、と述べています。そして、これらの食品添加物は、ガン発症のリスクの増大やホルモン系の攪乱のリスクの増大のような健康上の問題と関係があります。今までのところ、米国FDAは、すべての食品添加物は、連邦当局や国際機関により、厳密に規制されている、と述べています。しかし、臭化野菜オイルや二酸化チタンなど食品添加物の発がん性のリスクの可能性も、欧米では報告されています。

次に、Dr. Chil Khakbomによると、BHAや硝酸塩、それに臭素酸カリウムのような食品添加物は、米国では、未だに食品に許可されています。これらの食品添加物の潜在的に安全でない作用とヒトでの発がん性の可能性を知ることは重要です。それ故、これらの食品添加物の健康上の危険性の可能性を減らすため、適切な規制をするため、確認の研究をすることは重要です。

Conrad Dancan博士によると、超加工食品は、ガンの発症リスクの増大と関係ある可能性があります。また、Dr. Eszter Vamosによると、超加工食品は、ガンのリスクを含む健康への負のインパクトを与える可能性があるエビデンスが増えているようです。また、Dr. Kiava changによると、我々の体は、超加工された成分と食品添加物を含む食品と、新鮮で、栄養価に富む、加工度の低い食品とは、体内で同じように化学反応をしません。また、D. Jay R Anamによると、人工甘味料、保存剤、人工色素、人工香料、トランス脂肪酸などが乳ガン発症のリスクと関係している、と報告しています。そして、食品添加物摂取の三世代にわたる遺伝変異や発がん性の研究も必要と考えますが、追跡研究は大変難しいので、どのようなやり方でするのか、今後の課題です。

References
Dr. Chil Khakbom. Exploring  the relationship between food additive and cancer risk. Oncology. July 10,2023
Common US food additives may cause cancer. News Week. Feb20, 2024
The carcinogenicity of food additives and contaminants. Diet, Nutrition, and Cancer. National Library of Medicine
Conrad Dancan. Ultra-processed foods may be linked to increased risk of cancer. Imperial News. February 2023Dr.   Jay R Anam's blog.. Top5food additives linked to breast cancer
Food additives, contaminants, carcinogens, andmutagens. National Academies Press(US). 1983







ガン予防における果物と野菜の摂取量の影響について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-07-15 11:11:40 | 健康・病気
長期の野菜と果物の摂取量の違いが、将来のガン発症リスクの違いに関係しているとの研究が報告されています。自宅に自家菜園があり、果樹も植えている家庭は、豊富にこれらを摂取できますが、そうでない家庭は、どうしても野菜や果物の摂取量が少なくなると、思います

Harri  Vanio博士によると、野菜と果物の摂取量の違いによるガン予防効果に関する価値ある論文や書籍では、コホート研究と症例対照試験では別々に、それらの摂取量の平均値と中間値の相対的ガンリスクとその範囲の関係について追跡されています。野菜と果物の消費量に関連して、食事を変える事による人口あたりのガン予防の可能性は、それぞれのガンでの野菜と果物の摂取量によるガン予防効果のエビデンスの程度についての論述はもちろん、、予測されていました。

口腔ガン、咽頭ガン、食道ガン、胃ガン、結腸・直腸ガン、喉頭ガン、肺ガン、卵巣ガン(野菜のみ)、膀胱ガン(果物のみ),それに腎臓ガンなどのガンに対する野菜と果物の摂取量のガン予防効果の限定的エビデンスがあります。ほかのすべての部位での野菜と果物の摂取量によるガン予防効果の十分でない証拠があり、これらの少ない摂取量の普及の幅に対するリスクの違いの範囲にも適用されます。野菜と果物の少ない摂取量で避けられる端数は5-12%になります。そして、これが大まかな推定値範囲で、野菜と果物の摂取量を増やす事により予防可能であるに違いないガンの個体数は、特定のガン部位でこの範囲を超えており、世界の異なった地域で異なっている可能性があることを認めることは重要です。また、野菜と果物の摂取量によるガン予防効果の違い.は、各個人の食事動態を調べることにより推測可能ですが、長期の食事の追跡が必要なことから、研究が大変難しいと考えられます。

References
Harri  Vanio. Fruit and vegetables  in   cancer prevention .Nutr Cancer.2006;94(1):111-42
Porter J D. Vegetables, fruit and phytoestrogens as preventive agents. JARC Sci Publ. 1996;(139):61-90
goodwin J S. Diet, aging and cancer. Clin Geriatr Med. 1995 Nov;11(4):577-89





野菜と果物摂取の生活習慣病予防との関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-07-10 15:42:34 | 健康・病気
長期の野菜と果物の少量摂取の習慣が、高齢期の生活習慣病や免疫系の異常に関係していると、報告されています。M A Van Duyn博士によると、ガン予防における野菜と果物の予防的役割の疫学的エビデンスは重要です。そして、現在の科学的エビデンスは、心臓の冠状動脈系疾患の予防における野菜と果物の予防的役割を示唆しています。そして、脳卒中での予防的役割のエビデンスも蓄積しています。加えて、白内障の発症、慢性閉そく性肺動脈疾患、多発性憩室症、そして、おそらく高血圧症などの予防において、野菜と果物の予防的役割を支持する、新しい科学的根拠が発表されています。

これらの研究の再調査によるエビデンスでは、いろんな種類の野菜類や果物の摂取量を増やすことです。特に、十字科の緑葉色野菜、オレンジ類、かんきつ類など。そして、野菜と果物の摂取を増やすことに絶えず気を配り、疾患のリスクを減らし、ベストの健康状態に持っていくために、栄養を最大限に活用することは、実行可能で、重要な手段です。そして、バランス栄養学の実践で快適な健康生活を送られることが期待されます。

References
Van Duyn M A. Overview of thehealth benefits of fruit and vegetable consumption for the diabetes. J Am Diet Assoc. 2000 DC;100(12):1511-21
Vainio H. Fruit and vegetable in cancer prevention. Nutr Cancer.. 2006;54(1):111-42