医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ビタミンC点滴によるガンへの効果について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2016-10-23 12:07:44 | 健康・病気

ビタミンC(L-アスコルビン酸)は栄養素なので、使用において副作用は、ある種の酵素欠損症の人を除いて、ほとんど認められません。初期の観察による研究と最近の症例報告では、点滴によるガン治療において、ビタミンCナトリウム(L-アスコルビン酸Na)の点滴は疑いのない効果が認められています。

Mark A Levine博士(NIH)らの研究によると、 ビタミンCナトリウム(点滴)のガンに対する有効濃度は、点滴ないし腹腔内投与投与により達成されることが必要です。薬物動態学的研究では、ビタミンCナトリウム(L-アスコルビン酸Na)の静脈内投与(点滴)は、経口投与とまったく違ったメカニズムでガンに対し作用します。もちろん、経口投与による作用メカニズムもガンには有効です。したがって両者を併用することがガン治療に重要、と考えられます。

ビタミンCの経口投与では、血中と組織中のビタミンC濃度は、生理学的濃度以下にしっかりとコントロールされています。しかし、ビタミンCナトリウムの点滴は、このしっかりしたコントロールをバイパス(すり抜ける)でき、血管と血管外スペイスにおいて、ミリモルの薬理学的濃度を達成できます。ビタミンCナトリウムの薬理学的濃度では、血中でなく細胞外液中にアスコルビン酸ラジカルとhydrogen peroxideを発生させます。このように、血液は、組織へのpre-drugの配達システムとして作用します。このことが、ガンと感染症の治療に深い関係が有り、過酸化水素と反応性酸素生成物(ROS)は、ガンと感染症において治療的役割を演じます。臨床例でも、帯状疱疹がビタミンCナトリウム(L-アスコルビン酸Na)の点滴(10g~25g/日を8回実施)により症状とQOLの改善が見られたという報告もあります。

アスコルビン酸ラジカルと過酸化水素の血中での持続的状態は、ビタミンCナトリウムの静脈内投与と腹腔内投与後、ガンの部位で認められ、持続的状態がガンに働きかけ、その結果、ビタミンCによる本来の抗酸化作用と違った、点滴などによる薬理学的濃度のビタミンCナトリウムは、ガンの部位において酸化促進物質に変化し、ガン細胞を攻撃します。

すなわち、点滴によるビタミンCナトリウムの酸化促進作用では、正常細胞ではなく、いろんなガン細胞において細胞毒性である過酸化水素を生じます。また、腹腔内へのビタミンCナトリウムの投与は、ヌードマウス異種移植片モデルの、三つのタイプの攻撃的ガンに対し、40~50%のガン細胞の増殖の減少をもたらしました。このように、いろんな研究から、ビタミンCナトリウムの点滴によるガン治療は有望性が認められ、最近では、いろんな治療法の補助療法として広く用いられています。なお、ビタミンC点滴療法は自由診療なので、経済的負担を伴います。

Reference
Mark A Levine et al: Pharmacologic ascorbic acid concentrations selectively kill cancer cell: action as a prodrug to deliver hydrogen peroxide to tissues. Proc Natl Acad Sci USA. 2005 Sept 20