抗ウイルス物質のインターフェロンは、大学、研究所などで発見され、臨床で用いられていますが、その副作用などで患者を困らせています。そこで、体内でインターフェロンを産生できれば副作用がなく、ガンに対し価値がある可能性がありますが、ガンはいろんなウイルスによる侵襲で発症するガンもあります。しかし、インターフェロンは、ウイルスが発がんの原因かどうかに関わらず、わがままなガン細胞に対し、ある程度、直接的作用を有する可能性があります。インターフェロンの抗腫瘍効果が明確になるまで、モルモットにおいてビタミンCは、インターフェロンの産生を増大させるという重要な研究があります。ウイルスが体内に侵入すると、ビタミンCは、体内でのインターフェロンの産生は高めます。なお、次の臨床研究はヒトインターフェロンをガン患者に接種した研究です。
臨床例では、ウイルスによる小児ガンの一種の水痘は、急速に死をもたらし、恐れられています。アービン博士らは、ヒト白血球インターフェロンが抗ウイルス作用を有する事から、それを水痘の治療に用いました。44名の小児水痘患者がヒトリンパ球インターフェロンで治療され、72時間以内に発疹が現れました。新しい病変形成の平均日数は、インターフェロン接種群では3.8±1.89日、プラセボ群では5.3±2.5日(P<o.05)であった。インターフェロン接種者の81%は、プラセボ接種者の56%と比較した時、7日だけ、24時間以内に新しい病変が認められませんでした。次に、インターフェロン高接種者の92%は、プラセボ接種者の45%と比較したとき、6日だけ、24時間以内に新しい病変は認められませんでした。なお、プラセボ接種者の21名のうち3名は進行性水痘で死亡しました。インターフェロン接種者の23名のうち2名は、水痘が発症して2~3週で死亡しました。ウイルス検査では、これらの患者1名で陰性でした。また、治療期間の終わりに水痘の再発が見られました。生存者のうちインターフェロンでの治療は、重症伝染患者数を減らしました。アービン博士は、これらの結果から、免疫能に障害を受けた水痘患者では、インターフェロンは抗ウイルス作用を有すると、結論づけています。これらのことから、ウイルス性のガンへのインターフェロンの応用が期待されますが、副作用を考慮して、ビタミンCを多く摂取して、体内のインターフェロン値を高めておくことが必要と、考えます。更なる研究の積み重ねが待たれます。
References
Margelli San. Science. Vol212, Number5,Page1126~1127,June,1981