医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ビタミンCのインターフェロン産生作用とガンとの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-29 14:43:35 | 健康・病気
抗ウイルス物質のインターフェロンは、大学、研究所などで発見され、臨床で用いられていますが、その副作用などで患者を困らせています。そこで、体内でインターフェロンを産生できれば副作用がなく、ガンに対し価値がある可能性がありますが、ガンはいろんなウイルスによる侵襲で発症するガンもあります。しかし、インターフェロンは、ウイルスが発がんの原因かどうかに関わらず、わがままなガン細胞に対し、ある程度、直接的作用を有する可能性があります。インターフェロンの抗腫瘍効果が明確になるまで、モルモットにおいてビタミンCは、インターフェロンの産生を増大させるという重要な研究があります。ウイルスが体内に侵入すると、ビタミンCは、体内でのインターフェロンの産生は高めます。なお、次の臨床研究はヒトインターフェロンをガン患者に接種した研究です。

臨床例では、ウイルスによる小児ガンの一種の水痘は、急速に死をもたらし、恐れられています。アービン博士らは、ヒト白血球インターフェロンが抗ウイルス作用を有する事から、それを水痘の治療に用いました。44名の小児水痘患者がヒトリンパ球インターフェロンで治療され、72時間以内に発疹が現れました。新しい病変形成の平均日数は、インターフェロン接種群では3.8±1.89日、プラセボ群では5.3±2.5日(P<o.05)であった。インターフェロン接種者の81%は、プラセボ接種者の56%と比較した時、7日だけ、24時間以内に新しい病変が認められませんでした。次に、インターフェロン高接種者の92%は、プラセボ接種者の45%と比較したとき、6日だけ、24時間以内に新しい病変は認められませんでした。なお、プラセボ接種者の21名のうち3名は進行性水痘で死亡しました。インターフェロン接種者の23名のうち2名は、水痘が発症して2~3週で死亡しました。ウイルス検査では、これらの患者1名で陰性でした。また、治療期間の終わりに水痘の再発が見られました。生存者のうちインターフェロンでの治療は、重症伝染患者数を減らしました。アービン博士は、これらの結果から、免疫能に障害を受けた水痘患者では、インターフェロンは抗ウイルス作用を有すると、結論づけています。これらのことから、ウイルス性のガンへのインターフェロンの応用が期待されますが、副作用を考慮して、ビタミンCを多く摂取して、体内のインターフェロン値を高めておくことが必要と、考えます。更なる研究の積み重ねが待たれます。

References
Margelli San. Science. Vol212, Number5,Page1126~1127,June,1981


ガンの侵襲と栄養素拡散酵素に対するフィードバック阻害、そして免疫グロブリン、補体とビタミンCの関係について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-26 11:01:17 | 健康・病気
ガン細胞は局部的に侵襲し、隣接間質物質グリコサミングリカンと高分子プロテオグリカンへの酵素的侵襲による転移性拡散により、脈管系チャネルとリンパ系チャネルに侵入します。粘性関門と脈管周辺の被包化の干渉に及ぼす解縮作用は、ガン細胞への栄養素の拡散を高めます。これら障害プロセスで循環するフィードバック阻害物質が存在し、PHI(腫瘍マーカー)として知られています。血清PHI濃度は個々に多くか、少なく存在するけれども、すべてのガン患者で決まって上昇します。血清PHI値は、"遊離した"循環ビタミンCと相互作用を示すという証拠が報告されていますが、さらに重要なことには、ガン侵襲酵素と栄養素拡散酵素に対する、自然に備わったフィードバック阻害剤は、グリコプロテインです。

Verance博士等によると、免疫グロブリンのビタミンCによる産生能力に関して、孤立した環境の健康な人たちでは、ビタミンCの摂取の増加は、免疫グロブリン合成の増大をもたらすことが証明されました。

補体システムに関しては、補体システムはマクロプロテイン分子の組み合う連鎖よりなり、外部からの侵略者を破壊する最後の武器となります。C1エステラーゼとして知られているこれら防御システムの生物学的トリガーは、これらの効果的合成がビタミンCの効力に依存していることが、モルモットの研究で証明されました。そして、更なる研究の積み重ねが期待されています。

Reference
Cameron,E. Chemi-Biol Interactions.9(1974)
Mangelli, San. Science. Vol212,Number5, Page1126-1127, 1980


コラーゲン増強による硬ガンへのビタミンCの作用 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-19 11:04:27 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
ビタミンCはコラーゲン(硬蛋白質の一種)の形成に必要で、プロリン(コラーゲンを形成するアミノ酸の一種)からハイドロキシイープロリンへの水酸化に必要とされ、コラーゲンの構造上の成分に必要とされます。

これらのことから、ビタミンCは、ガンに対し、防御を強めるためのカプセル包囲化に必要とされ、かつ、悪性新生物の侵襲に対する線維壁の形成にも必要とされます。このプロセスでは、コラーゲン繊維の堅く組み合った障壁の網の目に入った、少数の、孤立した、生きたガン細胞が存在します。ビタミンCは、これら萎縮性硬ガンに対しても有効に作用します。

また、ビタミンCは、局部的組織レベルでは、間質物質の統合性を維持するのに必要で、悪性侵襲性増殖に対する抵抗性に必要です。さらに、膠質原線維発生にも必要です。これらの理由から、ビタミンCの適切な供給は有効な間質反応を続けるため必須です。そして、密な線維組織に対し、相対的に、不透膜において悪性のプロセスをカプセル化するため、宿主の潜在している能力を引き出すことは必要です。このように、ビタミンCの食事性効果は、最小の間質反応を伴った、柔らかい細胞の急速に増殖しつつある強い侵襲性新生物を、限定された増殖と制限された侵襲を伴った硬く包まれた、カプセル化された硬ガンへ転換さす決定因子である可能性があります。さらなる研究の積み重ねが期待されます。

References
Cameron. E. Chemi-Biol Interactions. 9(1974)
Margelli San. Science.Vol212,Number5,Page1126~1127,1980



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発がん性過酸化水素の解毒化とビタミンCの作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-13 11:28:10 | 健康・病気
H2O2(過酸化水素)は体内で発がん性物質になる場合があり、その解毒のためのビタミンCが注目されています。自然界では、植物の葉緑体は、水と二酸化炭素と光のエネルギーでデンプンを作る光合成を行うが、日照過度になると水分を蒸発させないため、気孔が閉じ二酸化炭素不足になり、光合成が十分できなくなります。このため余分の光エネルギーが水を過酸化水素に変えます。この過酸化水素は発がん性があるため、植物の細胞の中で長い間存在するのはよくありません。

京都大学の浅田博士の研究によると、葉緑体の中には過酸化水素を分解する酵素のカタラーゼが存在しませんが、どのように過酸化水素を分解しているのであろうか。この答えとして、葉緑体の中には還元型ビタミンCがあり、そのビタミンCが過酸化水素を水に変えているのです。そうすることで植物は過酸化水素の毒性から自身を守っています。そして、還元型ビタミンCは酸化型ビタミンCに変化します。なお、酸化型ビタミンCは光合成が正常になった時、もとの還元型ビタミンCに戻ります。

人体の中でも化学反応がうまくいかなくなった場合、過酸化水素がよくできるが、カタラーゼだけでなく、ビタミンCもその分解に一役を担っていると考えられ、発がん性物質の過酸化水素の解毒にビタミンCが重要な役割を担っていることが、植物の葉緑体の実験から明らかになりました。更なる研究の積み重ねを期待しています。

References
Margelli San.. Science. Vol212, Number5,1126~1127、Jun,1981


ウイルス性ガンへのビタミンCの作用について  栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-06 10:58:42 | 健康・病気
ウイルスとガンの関係が数多く報告され、ウイルス性ガンへの抗ウイルス薬の投与と共に、抗ウイルス作用のあるビタミンCの大量点滴が、欧米諸国で実施されています。

ソーク研究所のHunter博士らの研究によると、ガンウイルスが動物の細胞に侵入すると、ウイルスに取り付かれた細胞は、細胞分裂を止めどもなく繰り返します。この病態がガンですが、ガンウイルスが細胞の中に侵入すると、細胞内のアミノ酸のチロシンにリン酸がくっつきます。そして、リン酸化チロシンになると、それが刺激となって細胞分裂が繰り返されます。この現象が発がんですが、細胞中のチロシンにリン酸をくっつける酵素がチロシンキナーゼで、ガンウイルス遺伝子が、チロシンキナーゼの産生を促進させるよう命令を出します。従って、ウイルスに感染した細胞内では、リン酸化チロシンが数多く作られ、細胞分裂が止めどもなく行われます。ところが、このチロシンキナーゼの産生は、正常細胞が分裂するときも作られるが、正常細胞の分裂の場合、チロシンキナーゼの産生がコントロールされ、細胞分裂は止めどもなく行われません。

ところが、ガンウイルスが細胞の中に侵入すると、チロシンキナーゼを作れという命令を絶えず出します。よって、細胞はたえず分裂を繰り返し、ガンは進行していきます。ところが、ヒトの体にはウイルスに対する防御機構があり、ガンウイルスが侵入しても免疫系が活動を開始し、ガンウイルスを攻撃し、撃退します。ところが、ヒトの体内にはガンウイルスとよく似た遺伝子があり、その遺伝子が、ガンのアクセレイターやプロモータが体内に入り、その遺伝子と結合し、リン酸化チロシンができ、細胞分裂が始まり,ガンが発症します。そこで、これらが体内に侵入させないことも重要です。ここで、ガンになる前に免疫系が異常かどうかIgE抗体などの検査が必要です。免疫系が異常ならガンを撃退できません。

ビタミンCを十分摂取していた場合、ガンウイルスを撃退する免疫力が増強され、リン酸化チロシンの産生をもたらすチロシンキナーゼの活性化を抑制する働きがビタミンCにはあると、考えられますが、実験により確かめることが必要です。更なる研究の積み重ねが期待されます。

References
Magelli San,。Science,Vol212, Number5, Page1126~1127,June, 1981