グリシンはどのようにして、著しく肝臓障害を改善するのであろうか。この疑問に北カリフォルニア大学のTurman博士らは、ラットによる研究で答えました。
非必須アミノ酸のグリシンは、いろんな動物の障害モデルに於いて、抗炎症作用を示しました。最近の研究では、ラットや他の動物でのendotoxinの致死量投与に対し、食事性グリシンが、肺と肝臓の両方を保護し、肝臓移植後の組織移植を改善することを、証明しました。酸化によりもたらされた肝障害、もしくは胆汁うっ血性肝障害に対する食事性グリシンの影響は、以前から知られておりませんでした。しかし、グリシンは、タウリン、グルタチオン、それにシステインとよく似た作用を示すのではないかと、考えられるようになりました。
Turman博士らは、ラットでBDLによる胆汁うっ血のモデルと食事性グリシンの胆汁うっ血モデルを用いました。BDLによる肝臓障害は、食事性グリシンからは減少していることが、証明されました。さらに、グリシンが、実験的胆汁うっ血の症状では、肝細胞に直接作用することにより、肝障害を改善することを、データは示しています。
Kupffer細胞は、胆汁うっ血によりもたらされた病理学的変化に於いて、主たる役割を演じているようではありませんでした。肝臓でマクロファージがいるKupffer細胞は、endotoxinショック、アルコール性肝障害、エイコサノイド放出による他の毒物による肝障害、炎症性サイトカイン、それにフリーラジカルなどのような、いろんな病的状態の時に肝臓に見られることは、よく知られています。さらに、Kupffer細胞の細胞膜上のグリシン依存性塩化物チャネルとKupffer細胞の活性プロセスに影響する他のマクロファージは、見つけることができました。しかし、実際に用いた胆汁うっ血のモデルに於いて、肝障害に及ぼすKupffer細胞群の強い影響は、確認できませんでした。さらなる追試研究により、肝障害に対するグリシンの効果が確認されることを、期待しています。そして、グリシンのどのくらいの量が最も効果を発揮するか、今後の課題と、考えられます。
Reference
How did glycine significantly decrease liver injury?: Science Daily, Oct.31,2008