医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

神経障害性疼痛とビタミン、ビタミン様栄養素の作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2022-08-23 16:57:35 | 健康・病気

神経障害性疼痛は、虫歯による疼痛と違って、不快で、辛い疼痛の一つです。虫歯は歯医者でその疼痛の神経を抜くと痛みは亡くなりますが、糖尿病、帯状疱疹、ガンの化学療法、それにfiibromyalgiaなどによる神経障害性疼痛は、焼け付くような、ヒリヒリする、電気ショックを受けたような痛みで、神経障害性疼痛患者を惨めな、悲惨な状態にしておきます。

Jacob Teltelbaum博士(医師)によると、神経痛(神経障害性疼痛)は治療可能で、多くの研究では、栄養サポートを用いています。その内訳は、αーリポ酸(300mg,2×日)、アセチル-L-カルニチン(2,000mg/日)、イノシトール(500-1,000mg/日)、ビタミンB6(50-100mg/日)、ビタミンB12(5,000μg/日)、ビタミンD3(2,000IU/日)、タウリン、それにマルチビタミンの摂取は、実際、神経を治療するのに有益で、神経痛を減少させ、治す、と報告しています。なお、神経痛は、治すのに時間が掛かり、これらのビタミンやビタミン様栄養素は、3-12か月間、摂取する必要がある、と報告されています。いずれにせよ、神経障害性疼痛患者は、疼痛は辛いので、藁おもつかむ思いで、なんとかこの苦痛から逃れたい、と思っています。ビタミン・ビタミン様栄養素療法が彼らの痛みを和らげることを願っています。なお、体質や体調などによって、これらの摂取量を変えなければいけない場合があります。自分の体調を見ながら、摂取量を加減するか、これらに詳しい医師への相談が必要ですが、この治療法は米国での研究です。

References

Jacob Teliteibaum MD. Eliminate Nerve Pain  Naturally. Psychology Today. Nov7,2008

Wellness Rx`s. three month plan for nerve pain: postherpetic nuralgia(shingles pain)

Susan Blum. Improve nerve pain with α-lipoic acid.  blumHEALTH MD. May25 2022

MD Takaria. Taurine and its analogs in neurological disorder. Redox Biol. 2019 Jan 24


Du-145ヒト前立腺がん細胞群増殖へのベタインの作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2022-08-04 11:33:07 | 健康・病気

身近でも前立腺ガンが脳や腎臓へ転移して亡くなる人がいます。よく知っていた人だけにショックを受けています。また、顔見知りの人でもガンに罹って、亡くなる人を多々見かけます。ありふれた疾患だけにどうにかならないか、日々考えています。今までも、ガンへの栄養医学的対策をこのブログで紹介してきましたが、今回は、ガンとベタイン(魚介類やキノコ類に含まれるアミノ酸系栄養成分)の関係について研究は少ないですが、この課題について考えて行きたい、と思います。

Fatih K博士らの研究によると、ベタインは、Du-145ヒト前立腺ガン細胞群において、アポトーシスと炎症を抑制する酸化ストレスを高める事により、そのガン細胞の増殖を抑制し、用量依存方式の前立腺ガン治療において生物学的反応調整因子として作用する可能性が明らかになりました。また、Rea Bingula博士らは、ベタインとc-phycocyaninはin vitroとin vivoにおいて、肺がんA549細胞の成長を抑制することを報告しています。

Eui-Yeun Yi博士らの研究によると、ベタインは、ガン細胞の血管新生の重要なステップである、ヒト臍帯静脈内皮細胞の遊走と浸潤を強く抑制した、と報告しています。蓄積されたエビデンスでは、ベタインは、多くの疾患で抗炎症作用を有し、酸化ストレスに対し、硫黄系アミノ酸代謝を改善し、細胞核因子ーkB活性とNLRP3inflammasome活性化を阻害し、エネルギー代謝を制御し、原形質流動性網状質のストレスとアポトーシスを減らします。そのような理由から、ベタインは、血管新生の重要なステップであるヒト臍帯静脈内皮細胞の遊走と浸潤を強力に抑制し、in vivoとin vitroにおいて細胞核因子ーkBとAKtシグナリング経路の抑制を通じて、血管新生を阻害しました。ちなみに、このガン細胞の血管新生を阻害することにより、ガン細胞は栄養と酸素の補給を断たれ、死滅します。更なる研究により、ベタインのガンへの効果が確証されることを待っています。

References

Fatih Kar, et al. Betaine suppresses cell proliferation by increasing oxidative stress-mediated apoptosis and inflammation in Du-145 human prostate cancer cell line. Cell Stress Chaperones. 2019 Sept;24(5):871-881

Eui-Yeun Yi, et al. Betaine inhibits in vivo and in vitro-angiogenesis through  suppression of the Nf-kB and Akt signaling pathways. International Journal of Oncology. Aug 31,2012

Rea Bingula, et al.  Study of the effect of betaine and/or c-phycocyanin on the growth of lung cancerA549cells in vivo and in vitro.Jurnal of Oncology. 22 Aug 2016