医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

潰瘍性大腸炎の米国の研究について その二 栄養医学ブログ

2011-09-20 19:48:22 | 健康・病気

研究によると、潰瘍性大腸炎では、現在の有効な薬物療法に加えて、プロバイオティクス(乳酸菌などの善玉菌)を試してみることを勧めています。プロバイオティクスは、潰瘍性大腸炎に対し、利点を有する可能性が有ります。ある研究では、VSL-3として知られているプロバイオテクスが、潰瘍性大腸炎の患者に期待を持たせると、見ています。浣腸によりプロバイオテクスを注入する治療法が開発されています。炎症性大腸炎のためのプロバイオテクス療法は、潰瘍性大腸炎患者20名のうち16名で急速な寛解をもたらしました。

ビタミンも潰瘍性大腸炎の寛解に有益です。最も有益なビタミンは,ビタミンCです。それは免疫システムを管理し、炎症を減少さすのに役立ちます。また、再発を防ぎ、大腸保護作用があり、そのリスクを低く抑えることが、発見されました。補完代替医療を推進している医師・研究者は、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)の望まない副作用を防ぐために、ビタミンCナトリウムの併用とその使用を増やすことを、提示しています。また、ビタミンCナトリウムの大量療法は、実際、毒性が有りません。しかし、腎臓病や透析患者は禁忌です。また、ビタミンCナトリウムとMSNの併用投与が、糖尿病、ガン、憩室炎、クーロン病、潰瘍性大腸炎などの治療に用いられています。また、ビタミンCは酸性なので、経口で大量投与した場合、胃腸に負担をかけるので、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎の場合は向きません、むしろ酸性でないビタミンCナトリウムが大量投与に適しています。しかし、腎臓や心臓が悪い人は、ビタミンCナトリウムの大量投与は向きません。むしろ、ビタミンCのほうが向いています。このように他の疾患を抱えているヒトは、自分に向いた方を選ばなければいけません。体内での作用はどちらも同じです。安定性はビタミンCナトリウムの方が高いです。なお、ビタミンCナトリウムは、インターネットなどで購入できますが、自己責任を伴います。

 

ビタミンDの欠乏と潰瘍性大腸炎との間に、関係があることを研究は示しています。また、その予防と治療にVDの摂取は、ある役割を果たす可能性が有ります。

ビタミンA,E,K2,U,B複合体、EPA,DHAなども、潰瘍性大腸炎に有益なサプリメントです。

潰瘍性大腸炎に用いられている自然療法には、プロバイオテクス、オメガー3脂肪酸、経口によるアロエ、Beswelliaなどがあります。ペクチンと水溶性食物繊維は、潰瘍性大腸炎を治療する時、良い結果をもたらしました。また、潰瘍性大腸炎にcollicidal silverが有益であることを、ある研究者が発見しました。ブロメラインはパイナップルの茎から抽出された蛋白質消化酵素で、炎症を減らすと信じられています。その経口摂取は、大腸炎の発生率と症状を減らしました。

所要量の4倍の食事性葉酸サプリメントは、結腸ガンを伴った潰瘍性大腸炎を著しく抑制しました。葉酸(ビタミンM)サプリメントの摂取群の危険性は、コントロール群の46.0%でした。

カンジダ症(酵母菌の一種のカンジダ菌の感染による炎症性の病気)を抑制する食事ガイダンスでは、ニンニク、オメガー3脂肪酸、プロバイオテクス、coprylic acidなどが摂取されています。酵母菌感染は、しばしば、潰瘍性大腸炎の一因となる、主な共同因子となる可能性があります。なお、酵母菌でもカンジダ菌は悪者で、ビール酵母菌はヒトに有益です。いずれにせよ、潰瘍性大腸炎の管理は、急性の症状を治療し、寛解を維持することです。

大草博士らの研究では、抗菌剤のアモキシリン、テトラサイクリン、メトロニダゾールの三剤併用療法を、ニ週間続け潰瘍性大腸炎の炎症スコアーを著明に改善したことを、国際的な専門誌に発表されています。ところで、やはり真菌や嫌気性菌も潰瘍性大腸炎の病態に関係しているのでしょうか。解明が急がれます。

References

Ulcerative Colitis Cure-VitaminE Enema&Diet : Sheldon Gesensway, Ulcerative Colitis Forum

VitaminC&Ulcerative Colitis: Livestrong Com Blog, The New Science of Fat Loss

Mycotoxicosis&Ulcerative Colitis: Corey MeHargue, eHow Contributor

MSN and VitaminC: Natural Cancer Treatment

Ulcerative Colitis Remedies: Cathy Wong , About.Come Guide, February 14, 2008

 

 

 

 

 

 


潰瘍性大腸炎の米国の研究について その一 栄養医学ブログ

2011-09-20 15:17:08 | 健康・病気

潰瘍性大腸炎の原因については、ウイルス、細菌、真菌、アレルギー、それに免疫異常などいろいろ研究されています。原因はこれらの因子が複雑に絡み合って起こると、考えられます。また、食生活の欧米化と食品産業の発達による加工食品、ファーストフードの増加も一因でないかと、考えられていますが、家族性も少し関係しているかもしれません。また、我が国でも、昔は少なかったのですが、近年、増加傾向にあります。米国では患者が大変多く、研究も盛んです。これからは、これらの研究を少しづつ紹介させていただきます。

食品など多くの天然物質が、何兆という数の細菌が住んでいる結腸で、1,000種より多い細菌と腸管で相互作用するとき、良い場合も悪い場合も、珍しい事が起こる可能性があります。悪い場合が潰瘍性大腸炎の例です。

原因として、クーロン病と同じように潰瘍性大腸炎は大腸に炎症と潰瘍を生じます。しかし、クーロン病と違うのは、いろんな、別々の結腸の場所に影響を与えます。潰瘍性大腸炎は、たいてい、直腸から始まり、結腸内層の連続した部分に影響を与えます。何が、潰瘍性大腸炎の引き金になるか、誰にも確信をもてません。しかし、何が引き金とならないかについては、一致した意見があります。

免疫システムにおいて、炎症では、病原体が存在しなくても、免疫反応を増大さす自動免疫反応を止めることができることは、ありうることです。

ウイルスもしくは細菌が、大腸に引っ付き、白血球により破壊される時、大腸を傷つけます。それが潰瘍性大腸炎の病態と、考えられます。したがって、ウイルスもしくは細菌が、潰瘍性大腸炎の引き金となる可能性が、考えられます。消化管は、ウイルスもしくは細菌、真菌と戦うため、免疫システムが働く時、炎症を引き起すので、悪いウイルスや細菌、真菌などは、出来るだけ体内に取り込まないよう、衛生管理をすることも、潰瘍性大腸炎予防の一つと、考えます。

慢性潰瘍性大腸炎患者は、結腸ガンになる、より高いリスクがあります。したがって、プロバイオティクス療法などの結腸ガン対策も、同時に行うことが肝要と、考えます。また、最近の米国の研究では、真菌症と潰瘍性大腸炎が関係あると、報告しています。

潰瘍性大腸炎の症例では、未知の病原菌に、以前、感染した可能性が考えられます。また、結腸の細菌叢のインバランスが炎症の悪循環をもたらします。しかし、プロバイオティクスを摂取することにより、大腸の細菌叢のインバランスを改善することができます。そのことがUCの寛解をもたらします。

現在の薬物療法、プロバイオティクス療法は極めて大切です。さらに加えて、ビタミンC塩、ビタミンA,D3,E,U,M,それにEPA,DHA,プロバイオティクスなどのサポート療法、食生活上の注意点について、次回からのブログで紹介したいと、考えています。

References

Ulcerative Colitis Remedies: Cathy Wong, About. com Guide, February14,2008

Ulcerative colitis:  Mayo Clinic staff, Mayo Clinic .com

Mycotoxicosis and Ulcerative Colitis: Corey McHargue, eHow. com

 

 

 


Linus Pauling博士の“ガンのビタミンC改善療法”について その六 栄養医学ブログ

2011-09-07 19:14:18 | 健康・病気

ビタミンCの点滴と経口投与は、ガンだけでなくいろんな疾患に応用され、薬剤の補助剤として使用され、効果や薬剤の副作用の軽減に活躍しています。B型肝炎に感染し、治っても、ウイルスの遺伝子が残っています。その抗原は陰性になり、その抗体ができているので、その抗体は陽性となります。その場合でも、ビタミンCを多く摂取していれば、肝硬変や肝がんになるのを防げます。その抗原が陽性の場合は、もちろん、薬剤と共にビタミンCの点滴と経口摂取が必要と、考えられます。C型肝炎やエイズの場合も同様です。また、外国で報告されているように、ビタミンCの大量点滴と経口投与は、インフルエンザや風邪に有効で、ビタミンCの大量点滴の場合は、抗細菌作用や抗ウイルス作用があります。その場合、糖尿病や老齢のヒトは、VCの効きが弱いようです。また、プロバイオティクスのサプリメントは免疫調整作用があるので、ガン患者も必ず摂取が必要です。腸管免疫の状態をベストに保つことは、ガンに打ち勝つ抵抗力をつけてくれます。

Linus Pauling博士の"ガンのビタミンC改善療法"

症例一、男性22歳、悪性クロム親和細胞腫

前処置は手術。ビタミンC試行時の状態は、再発による、広汎な腹腔内転移が認められた。ビタミンCは30g/日、摂取し始め、次第に増量して、三ケ月後には80g/日に達した。痛みと苦痛が消え、その後は良好な状態です。この症例は、VCの点滴です。

症例二、女性83歳、原発部位不明ガン性胸水

前処置は胸水を抜く処置。ビタミンC試行時の状態は、胃腸の出血。ビタミンCは、10g/日、摂取し続け、現在も続けています。健康状態は良好で、胸水の再発なく、胸部X線、血液生化学検査値は異常ありません。

症例三、女性、老人、両肺転移性ガン

前処置なし。ビタミンC試行時の状態は、激しい息切れとセキが続き、絶望的で、治療不能であった。ビタミンCは15g/日を摂取し続け、2年以上たつ現在は、健康状態が良好です。X線写真では、両肺腫瘍の退縮を示していました。

最近の細胞培養や臨床研究では、伝統的治療法の補助療法として抗酸化ビタミンとミネラルを併用してガンに有益であることを、暗示しています。ガンの増殖は、抗酸化栄養素のVE,VCそれにβーカロテンの併用摂取により著しく阻害されました。また、LPIの研究では、ビタミンCとその誘導体は、培養した多くのガン細胞に対し、抗腫瘍作用を有することを、証明しました。

References

Cancer and VitaminC: Linus Pauling, Linus Pauling Institute of Science and Medicine,1979

ガンと栄養: 藤井毅彦、日本ビタミンC研究会、1980

 

 

 

 

 

 

 

 


Linus Pauling 博士の"ガンのビタミンCの改善療法"について その五 栄養医学ブログ

2011-09-06 17:53:07 | 健康・病気

現在は、ビタミンC療法もガン外科手術、放射線療法、化学療法、インターフェロン療法などに併用し、その効果を高めるばかりでなく、その副作用を軽減するので、米国、カナダ、ヨーロッパなどで盛んに用いられるようになりました。そして、さらに、新しく、αーリポ酸+VC+グルタチオンの併用点滴で抗ガン作用を高めているようです。また、突発性難聴での副腎皮質ホルモン+VB1,VB6,VB6の点滴時に、VCを大量経口摂取し、効果を高めたり、副作用を軽減したりしているようです。細菌性食中毒の際にも、抗生物質の効果を高め、治療期間を短縮したり、副作用を軽減したりして、いろんな疾患への応用が行われています。これは、ビタミンCが安全で、いろんな薬剤と相性がいいからと、考えられます。

Linus Pauling のガンのビタミンC改善療法

症例一、男性71歳、多発性骨髄腫

前処置なし。脱力感、骨の痛み、直腸・鼻孔からの出血、および血中γーグロブリン濃度の著しい上昇が、認められました。ビタミンCは、少量投与から急速に増量して、40g/日摂取。5日程で直腸からの出血が止まりました。VC療法と5剤併用療法を行い、10ケ月後、血液検査血は正常になり、骨髄生検でも悪性細胞は認められなくなった。VCは、40g/日から20g/日に減らし、現在、元気です。

症例二、男性50歳、肺癌 

前処置は右肺切除術(2/3)。肺癌と診断されてから一年後、左肺転移巣に対し、2回目の手術を実施。その時からビタミンCナトリウムを20g/日、摂取。その後、12g/日、摂取。現在,元気です。なお、彼は重喫煙者です。

症例三、女性29歳、ホジキン氏病、

前処置はリンパ節切除、放射線療法。VC試行時は、体重減少、脱力感、悪心、寝汗を伴い、衰弱していました。VCを10g/日、摂取し続け、現在、元気です。

症例四、男性、肺癌

前処置は肺の部分切除術。肺切除の9ケ月前から自発的にVCを10g/日、摂取し続け、現在、健康状態は良好で、肺癌の増殖は抑えられていた。

Reference

Linus Pauling 、Ewan Cameron: Cancer  and VitaminC, Linus Pauling Institute of

Science and Medicine, 1979