ガンの予防には、ビタミン・ミネラルなど栄養素が関係しています。今回は、このポイントについて考えていきたいと、思います。
研究によると、ヨウ素欠乏はヒトの甲状腺腫瘍とラットの甲状腺がん発生率の増加に関係し、ラットでのマグネシウム欠乏は胸腺腫に関係し、また動物での研究によると、銅がガンの誘発を阻害する可能性があると、報告されています。
研究によると、ビタミンA欠乏はラットでの歯芽腫、唾液腺ガン、胃粘膜の前ガン状態である組織変化、および結腸ガンなどの進行に関係が有り、その欠乏は、化学的発がん現象に対する感受性を強めることが証明されています。スポーン博士らは、食事性ビタミンAの高摂取が、上皮細胞組織の化学的発がん現象を阻害する、いくらかの能力を有すると、報告しています。また、ビタミンAの高摂取は、胃ガンの増殖を低下さすことも報告されています。しかし、天然ビタミンAは法外な毒性と不適切な組織分布により、ガンの化学的予防には有効性に限界があるようです。合成ビタミンAは、動物でのガンの予防に対して、より強い可能性と毒性が少ないようです。これらは発がん性化学物質に対する酵素の阻害作用の可能性が考えられます。乳製品をよく摂取する人に胃ガンが少ないのは、ビタミンAの作用による可能性があります。
ビタミンB2の豊富な食事は、ラットでの肝ガン形成を阻害し、向脂肪肝因子(葉酸、ビタミンB12、コリン、およびメチオニン)の欠乏は、肝臓、結腸、および食道などの化学的発がんを強めると、報告されています。また、ブランドシュテッタ―博士によると、16名の末期ガン患者に、400国際単位/日のビタミンEを投与し、4名で転移病巣が小さくなり、3名でガンの進行がストップし、体重と尿量の増加が認められましたが、更なる追試の積み重ねが必要です。
亜硝酸塩で保存したべ―コンには、ジメチルニトロソアミンが含まれ、発ガンの原因となっています。ビタミンCは、亜硝酸塩を窒素酸化物へ還元することにより、発がん性のある硝酸塩濃度を低下させます。また、ビタミンCは、in vivo, in vitroでは、ニトロソ化を阻害します。さらに、キャメロン博士やポーリング博士は、ビタミンCが腫瘍の発生を抑制し、そのことは、ビタミンCによるヒアルロ二ラ―ゼ阻害因子の維持と、それに伴う細胞増殖をコントロールすることによります。
Reference
藤井毅彦:ガンと栄養、日本ビタミンC研究会、1979年