医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガンの予防とビタミン、ミネラルの効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-01-17 22:25:56 | 健康・病気

ガンの予防には、ビタミン・ミネラルなど栄養素が関係しています。今回は、このポイントについて考えていきたいと、思います。

研究によると、ヨウ素欠乏はヒトの甲状腺腫瘍とラットの甲状腺がん発生率の増加に関係し、ラットでのマグネシウム欠乏は胸腺腫に関係し、また動物での研究によると、銅がガンの誘発を阻害する可能性があると、報告されています。

研究によると、ビタミンA欠乏はラットでの歯芽腫、唾液腺ガン、胃粘膜の前ガン状態である組織変化、および結腸ガンなどの進行に関係が有り、その欠乏は、化学的発がん現象に対する感受性を強めることが証明されています。スポーン博士らは、食事性ビタミンAの高摂取が、上皮細胞組織の化学的発がん現象を阻害する、いくらかの能力を有すると、報告しています。また、ビタミンAの高摂取は、胃ガンの増殖を低下さすことも報告されています。しかし、天然ビタミンAは法外な毒性と不適切な組織分布により、ガンの化学的予防には有効性に限界があるようです。合成ビタミンAは、動物でのガンの予防に対して、より強い可能性と毒性が少ないようです。これらは発がん性化学物質に対する酵素の阻害作用の可能性が考えられます。乳製品をよく摂取する人に胃ガンが少ないのは、ビタミンAの作用による可能性があります。

ビタミンB2の豊富な食事は、ラットでの肝ガン形成を阻害し、向脂肪肝因子(葉酸、ビタミンB12、コリン、およびメチオニン)の欠乏は、肝臓、結腸、および食道などの化学的発がんを強めると、報告されています。また、ブランドシュテッタ―博士によると、16名の末期ガン患者に、400国際単位/日のビタミンEを投与し、4名で転移病巣が小さくなり、3名でガンの進行がストップし、体重と尿量の増加が認められましたが、更なる追試の積み重ねが必要です。

亜硝酸塩で保存したべ―コンには、ジメチルニトロソアミンが含まれ、発ガンの原因となっています。ビタミンCは、亜硝酸塩を窒素酸化物へ還元することにより、発がん性のある硝酸塩濃度を低下させます。また、ビタミンCは、in vivo, in vitroでは、ニトロソ化を阻害します。さらに、キャメロン博士やポーリング博士は、ビタミンCが腫瘍の発生を抑制し、そのことは、ビタミンCによるヒアルロ二ラ―ゼ阻害因子の維持と、それに伴う細胞増殖をコントロールすることによります。

Reference

藤井毅彦:ガンと栄養、日本ビタミンC研究会、1979年

 


抗ガン効果を高める食事について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-01-17 14:56:08 | 健康・病気

現在、米国では抗ガン効果を高める食事が論議されています。このブログでは、抗ガン効果に関する食事の研究のポイントについて考えていきたいと、思います。

研究によると、ビタミンC、E、およびセレ二ウムの適正量の摂取は、細胞の染色体の破壊を防ぎ、従って発がんを予防し、ビタミンCは膀胱がん予防作用を有すると、シュレーゲル博士は報告しています。次に、テオフィリンは3.5ーサイクリックAMPを活性化し、かんきつ類のフラボン配糖体は酵素複合体P450を不活化し、膀胱がんの原因となるナフチルアミンを除いて、発がん物質を解毒します。なお、P450は8倍に増えることができ、異なった種の誘導物質に対し、個々に遺伝反応を示します。

次に、かんきつ類に含まれるプロリンとビタミンCは、ハイドロキシプロリンを形成し、結合組織と基底膜に用いられ、そのことにより、発がん物質とガン細胞の拡散に拮抗します。高動物性脂肪食は、NH4の産生をもたらし、ガンの進行を促進させ、また、極端な低たんぱく食は、正常に働いているP450を阻害し、血中CO2を増やすと、報告されています。

腸内細菌(悪玉菌)は、食事が法外な動物性脂肪を含む時、あるいは腸管通過が遅い時、発がん物質を産生します。これらの対策として、リンゴやふすま(食物線維を多く含む)の摂取が良いようです。ふすまは胆汁酸塩の脱水素化(1日あたり30gまで)と発がん性デスオキシコール酸塩を阻害します。食道がんは重飲酒者にしばしば見られ、彼らは鉄欠乏やビタミンB12欠乏を伴っている場合があります(プルマーピンソン症候群)。発がん物質のジメチルベンズアントラセンは胸部へ吸収されると、乳摩脂肪粒に蓄積され、胸部にガンを発症させます。ベンツアントラセン、ベンツピレンなどに汚染された食品は、発がん物質を含む可能性があります。これらによる発ガンの予防には、細胞呼吸を促進さす因子であるチトクロ―ム、ビタミンB1、ビタミンB2、およびパントテン酸の摂取が効果が有ると、シルトり―博士は述べています。

Reference

藤井毅彦:ガンと栄養、日本ビタミンC研究会、1979年