医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

新型コロナウイルス感染症による急性呼吸窮迫症候群とビタミンCの作用について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2021-07-31 10:49:56 | 健康・病気

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、強い変異株が蔓延して、今や大流行の兆しが見られます。ここでは、重症化の元凶の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と無細胞ヘムの関係を通じて、ビタミンCの作用を紹介したいと、考えています。

ポイントとして、●COVID-19の41.8%はARDSを発症さすと、報告されています。●重篤なARDS患者の半数は死亡すると、報告されています。●COVID-19はヘモグロビンをターゲットにし、ヘム(ヘモグロビンの色素部分)を攻撃します。なお、COVID-19患者は、ヘモグロビン値と好中球値が低いです。●ヘム(二価鉄とポルフィリンのシャク体)の酸化鉄は酸素が運べません●酸化鉄を含むヘモグロビンは、ヘムを急速に失います。●無細胞へムはARDS発症の原因になります。●経口によるビタミンC摂取は、ARDSの予防に効果があります。●ビタミンCはバリヤーを完全な状態にすることに寄与し、無細胞ヘムによるダメージを防ぎます。

●SARS-coV2スパイク蛋白質はACE2レセプターに結合します。●ACE2レセプターはAT2中で増えます。●AT2は新型コロナウイルス(SARS-coV2コロナウイルス)の複製と伝播を高めます。●フーリン酵素は新型コロナウイルスを活性化します。●新型コロナウイルスはポルフィリン(カタラーゼ、チトクローム、ヘモグロビンなどに含まれる有機化合物)に影響を及ぼします。●ARDS患者の血清フェリチン値は著しく上昇し、フェリチン(鉄結合性蛋白質の一種)は、遊離鉄に結合します。●ビタミンCは酸化第二鉄を第一鉄イオンに転換させ、膜透過の酸化還元酵素に占有的に用いられます。赤血球細胞は、鉄の酸化還元のコントロールに占有的にビタミンCを用います。●これらの生化学的メカニズムから、新型コロナウイルス感染症による急性呼吸窮迫症候群に対するビタミンCの作用が解明され、ARDSの予防・治療への応用が期待されます。なお、ビタミンCの摂取は、野菜や生果物を常食した上で、点滴と粉末の経口摂取がARDSの予防・治療に重要と考えられます。

症例

"The Journal of the American  Medical Association"誌によると、ICUに入院しているARDS患者にビタミンC、もしくはプラセボを静注し、ビタミンC群は、プラセボ群に比べて、死亡率、人工呼吸器不要日数、ICU入院日数の有意な改善が認められました。更なる症例の積み重ねが求められます。

References

VitaminC can kill almost every virus known to mankind. dailyhealthpost. com / June 18,2018

Doris Loh. COVID -19 , ARDS , cell-Free Hemoglobin. The ascorbic acid Connection. EVOLUTAMENTE. ACQUISTA ORG. MARCH 24,2020

Doris Loh. Furins&Hypoxia-The VitaminC Connection-Evolutamente. it

 

 

 


 

 

 


強迫性障害に対するNーアセチルシステインの効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2021-07-19 14:42:30 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン

強迫性障害(OCD)は、うつ病、双極性障害、統合失調症と併存頻度が高く、大変よく見られる精神疾患で、長年、その病態生化学的原因が分からず、心理療法が行われていましたが、効果は認められませんでした。OCDは、50人に1人の割合で見られ、生涯のどこかで発症し、とくに思春期に見られます。その原因として、遺伝的素因や食生活上の問題点、長期の持続的ストレスなどが複合的に関係し、発症すると、報告されています。その原因として、神経伝達物質のセロトニンの合成障害、その受容体感受性の低下が関係していると言われています。また、K Paydary博士らの研究では、脳内のグルタミン酸の過剰が原因ではないかととの研究もあります。その対策として、N-アセチルシステイン(アミノ酸の一種、NAC)が研究され、NACは脳のグルタミン酸の過剰による神経毒性を抑制し、OCDの症状が有意に改善されたとの報告もあります。また、難治性強迫性障害にNACが有効で、患者には脳内グルタミン酸高値が認められ、NACを投与したところ、症状が有意に改善されたという報告もあります。NACのOCDへの効果については更なる研究が期待されます。

松本良平博士らの研究によると、最新のPETとPETプロープを用いた研究では、強迫性障害患者の大脳外部部位(島皮質)において、神経細胞から放出されたセロトニンを細胞内に取り込む蛋白質(セロトニントランスポーター)が減少していることが分かり、今まで原因が分からなかった強迫性障害の原因が解明されたと、報告されています。また、セロトニンの合成障害とその欠乏、受容体感受性のの低下は、これらに関係した栄養素の枯渇が関係している可能性があります。なお、必須ミネラルとトリプトファンはセロトニンの神経伝達に大変影響します。また、5-HTP、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、ビタミンC、Zn、Mg、イノシトール、プロバオティクス(乳酸菌、ビフィズ菌、酪酸菌など),、それに天然タウリンなど栄養素や善玉菌は、セロトニン合成に重要です。それゆえ、これらの栄養素群の治療効果が認められる投与量の摂取は、強迫性障害の予防・治療への補完的治療へのアプローチになる可能性があります。

References

K Paydary, et al. N-acetylcysteine augumentation therapy for moderate-to-severe obsessive-compulsive disorder. Clin Pharm Ther. 2016 April; 41(2):214-9

Naturopath. OCD and Natural therapies. SuperPharmacy. Nov 27,2017

Shabeen E Lakhan. Nutritional therapies  for mental disorders. Nutrition Journal. 2008;7]2