医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病とプロバイオティクスについて その五 栄養医学ブログ

2011-12-19 15:24:29 | 健康・病気

日本でもプロバイオティクスの研究が民間研究機関で行われ、新しい知見が集まりつつあります。また、まだ日本では、プロバイオティクスは知名度が低いですけれども、栄養細菌学では、研究テーマの中心になっています。

さて、健康を保つのに役立つ有益な細菌に餌を与えるため,野菜の水溶性線維と非水溶性線維から得られるイヌリンとオリゴフルクトースを、有益な細菌は食物として必要としています。それらの優れた供給源の食物は次のものです。チコリ、朝鮮アザミ、アスパラガス、バラモンジン、リーキ、玉ねぎ、ニンニクなど。その他に、はちみつ(糖尿病では用心深く使用)、ライムギ、バナナ、オーツ麦、ふすま等です。

イヌリンとオリゴフルクトースの線維は、体を変えるために、腸管の特別な、有益な細菌により発酵を受けます。有益な細菌は、有益なままコロニーの大きさを増大させます。そのことは、有益な細菌が免疫システムの最初の戦闘ラインの大群として重要です。そして、有益な細菌は重要なビタミンB群を産生し、神経の健康や糖尿病、ストレスと戦うのに役立ち、Caの吸収をよりよくします。また、正しいpH値に腸管を保つのに役立ちます。

腸管の微生物叢のバランスが阻害された時、影響を受けるヒトは、病気に感染しやすくなります。有害で、生命を脅かす細菌に勝つため十分量の有益な細菌を腸管に住まわせなければいけません。そうしないと、炎症性疾患、ガン、糖尿病などの難病に苦しむことになります。

ストレス、高度変化、不規則な食事パターン、不適切な食物、適切な食品の欠如、寄生虫、食品添加物、塩素の入った水、下痢、抗生物質の使用、などのいろんな因子は腸管微生物叢のバランスの乱れをもたらします。

外国の研究によると、プロバイオティクスが有効であるためには、10億から100億の有益な細菌を必要としています。ヒトの最初のコロニーは産道から始まりますが、帝王切開による出産が増えるにつれて、このプロセスはうまく始まらないか、ぜんぜん始まりません。次のコロニーは母乳によりもたらされます。だから母乳を与えるお母さんを増やし、離乳食の時期には、母子ともケフィールなどのプロバイオティクスを毎日飲まなければ、有益な細菌のコロニーが腸管に出来ません。また、固型食が与えられるようになると、コロニー化のプロセスは著しくスピードアップします。赤ちゃんが下痢気味ならばプロバイオティクスは必要です。プロバイオティクスの継続治療は、ミルクに含まれる乳糖を断つのに役立ち、赤ちゃんの乳糖不耐症を改善します。そして、有益な細菌のコロニーが再び作られ、必要な自然の消化を助けます。低温殺菌牛乳は一型糖尿病患者の膵臓のインスリン産生細胞の破壊と関係しているので、栄養医学に詳しい医師に相談して下さい。新生児はプロバイオティクスでの治療に安全に耐えられることが示されています。

現代のライフスタイルとファーストフードの食事は、健康な腸管細菌叢を作るためによくないので、もっとプロバイオティクスを含んだ食事に変更することが健康な体のために必要です。ケフィール、ヨーグルト、ゆっくり自然熟成させたザワークラフト・ピクルス・漬物・tempeh・みそ・納豆・キムチ、それにプロバイオティクス栄養サプリメントなどに有益な細菌が多く含まれています。それで、今からでも遅くないので、これらの発酵食品を食事に取り込んで快適な生活をしましょう。

Reference

Diabetics Need Probiotics-Part 2: Take an easy step toward health, Diabetes Diet Dialogue

 


糖尿病とプロバイオティクスについて その四 栄養医学ブログ

2011-12-18 14:09:21 | 健康・病気

糖尿病患者はプロバイオティクスが必要です。

ニ型糖尿病のインスリン抵抗性は、慢性炎症と関係しています。プロバイオティクスのいくらかは抗炎症作用を有しているので、プロバイオティクスのLactobacillus Acidophilus NCFMの摂取はインスリン感受性を高めるに違いありません。endotoxinの摂取とインスリン感受性に対する炎症性反応は、プロバイオティクスをニ週間摂取前後に調べられ、プロバイオティクスの抗炎症作用が確認されました。なお、それは高インスリンー正常血糖ークランプで測定されました。また、endotoxinは静注により炎症を起こします。

多くの研究では、ニ型糖尿病のインスリン抵抗性と慢性の軽度炎症の関係を示しております。いくつかのプロバイオティクスは抗炎症作用を有しています。それゆえ、この性質のため、プロバイオティクスの摂取はインスリン感受性を増大させます。

次に、妊娠後肥満を減らしたいヒトや正常体重を保ちたいヒトがするように、糖尿病患者もプロバイオティクスに関する情報が必要です。なぜなら、有益な腸管細菌叢であるプロバイオティクスは健康と寿命そのものにとって重要なのです。

すべての糖尿病患者に必要な論点は、栄養、免疫、エネルギーです。彼らの細胞は、実際、栄養飢餓状態(たとえ、それらが十分摂取されていても)です。その結果、エネルギー産生が不十分です。ケフィールに含まれるプロバイオティクス細菌は、実際、栄養素を産生するのに役立っています。それは体が栄養素を吸収するのに役立ち、免疫システムのストレスを減少させるのに役立ち、免疫能を高めるのに役立ちます。

南アフリカのIngrid van Heerden博士は、Swine Fluのような冬季インフルエンザ株や猛威をふるうAIDSと糖尿病患者が戦うので、強い免疫性が大変必要なことを強調しています。博士によると、ケフィールのようなプロバイオティクスを含んだ食品は、自然の強い防御システムを維持するため重要です。なぜなら、それらは腸管の免疫グロブリンの産生を刺激し、免疫反応を改善するので、有益な細菌のサプリメントを摂取することを、勧めています。

腸管は、100兆個以上の微生物がコロニーを形成しています。それで、体細胞に存在するより多く、約10倍の微生物が体の中に存在します。我々は約500種の細菌株が体の中に住んでいます。その50%が人類に知られています。ケフィールは、一般的に、ヨーグルトより多い、知られた有益な細菌株を含んでいます。また、消化しやすい利点があります。さらに、Bengt Bjorksten博士によると、分娩後の体重を減らすのに有益です。有益な細菌の不足はアレルギー疾患や喘息の発症の原因になります。母乳を通じてプロバイオティクスを摂取することは、一生、有益な細菌の個体群を住みつかす良い方法です。

References

Diabetes Need Probiotics-Part 2:  Diabetes Diet Dialogue

Type 2 Diabetes and the Effect of Probiotics: Clinical Trials. gov

 

 

 

 


クローン病・潰瘍性大腸炎・大腸ガンとプロバイオティクスについて 栄養医学ブログ

2011-12-16 16:54:54 | 健康・病気

プロバイオティクスはクローン病、潰瘍性大腸炎、それに結腸ガン(大腸ガン)を治療することができました。

人類に知られている、もっとも悲惨で痛みを伴った疾患のいくつかは、腸管の炎症に関わっています。これらの疾患は体重減少、腹部の痙攣、胃腸管の出血を引き起こします。薬物療法では、ステロイドを含む免疫抑制剤は、宿主を相手にその腸管機能を変える、進行性の組織炎症に関わっています。不幸にも、これらの薬品の副作用に苦しむ解決法としては、それらは総合的には有効でなく、患者は再発します。しかし、現在、プロバイオティクスという新しい希望があります。

プロバイオティクスは、健康なヒト腸管に見出される有益な微生物と同じである、生きた微生物です(たいていの場合、細菌です)。プロバイオティクスは、ヨーグルトやケフィールのような食物に含まれています。また、栄養サプリメントとしても摂取できます。

ノースウエスタン大学の研究者は、ヨーグルトやチーズに見出されるプロバイオティクスに関する報告を行い、プロバイオティクスは、クローン病や潰瘍性大腸炎のような炎症性疾患に対する有益な治療法であることを、動物での研究で証明しました。さらに、結腸ガン(大腸ガン)や炎症が引き金となる疾患の治療に有益であることも証明しました。

彼らは、プロバイオティクスのLactobacillus acidophilusの遺伝子を除き、大腸炎に罹った二つの違ったモデルのマウスに、投与しました。約2週間後、この新しいプロバイオティクス株は、結腸の炎症をほとんど取り除きました。さらに、95%ほど疾患の進行をストップさせました。

このことは、炎症性腸管疾患と結腸ガンを含む消化管のいろんな自己免疫疾患を治療する新しい道を開くものです。これらの疾患すべては、バランスが崩れた炎症性免疫反応が引き金となると、Mansour Mohamadzadeh博士は述べています。

この研究では、変性したLactobacillus acidophilusが樹状細胞と呼ばれるメッセンジャー免疫細胞を動員することにより、消化管の刺激された免疫細胞を鎮静化することが判明しました。また、これら樹状細胞は、調節T-細胞として知られている他の機能性免疫細胞の産生を高めました。その結果として、健康な新しいバランスが腸管内にもたらされ、系統だった炎症は緩和されました。これら樹状細胞は、すべてを鎮静化させ、それを正常に修復させます。これらの結果から、プロバイオティクスの炎症性腸管疾患に対する効果の、病態生化学的説明が可能になりました。そして、プロバイオティクスは体に優しいので、体に負担をかけません。

Reference

Probiotic could treat Cron's, colitis and colon cancer: Natural News.com

 

 


糖尿病とプロバイオティクスについて その三 栄養医学ブログ

2011-12-06 18:56:35 | 健康・病気

糖尿病の患者は、腸管のphylum Firmicutes由来の細菌数が低下し、phylum Bacteroidetes由来の細菌数が大量に増えていました。研究者らは、Bacteroidetes対Firmicutesの比とグルコース耐性の低下の間に正の相関を見い出しました。グルコース耐性の低下は、糖尿病での鍵となる論点です。その上、Bacteroide-Prevotellaグループ対Clostridum coccoides-Escherichiaグループの直腸での比は、血しょうグルコース濃度と正の相関が見られました。これらの事から、糖尿病では腸管の善玉菌が少なく、悪玉菌が多いと考えられます。また、以前のブログで述べた事ですが、プロバイオティクスの作用は、糖尿病患者の腸管内善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことにより、グルコース耐性を改善するものと考えられます。

糖尿病とグルコース耐性の低下が、肥満と結び付いているという仮説を、研究者は、はっきりと述べています。その結果は、体重オーバーのヒトで得られた最近の証拠と合致します。ヒト2型糖尿病が、腸管内微生物叢の構成の変化と関連していることを示していると,結論づけました。肥満のような代謝病と腸管微生物叢との関連と腸管微生物叢を改善することにより、代謝性疾患をコントロールする戦略を押し進める時、グルコース耐性の値は考慮されるべきです。また、実際、プロバイオティクスは肥満の改善作用があることが報告されているので、グルコース耐性の改善にも有益であると考えられます。更なる症例の積み重ねにより、人類に貢献できるものと考えています。

妊娠した女性にプロバイオティクスを摂取してもらったフインランドの研究では、256名の女性が、無作為に2グループに分けられ、最初のグループは対照で、2番目のグループは管理栄養士が提供した詳しい栄養指導が行われ、毎日、プラセボもしくはプロバイオティクスを摂取しました。24ケ月後、妊娠性糖尿病のもっとも低い率は、栄養指導とプロバイオティクスの摂取の両方を受けた女性群で、13%でした。栄養指導とプラセボ摂取群は36%でした。対照群は34%でした。プロバイオティクス群は副作用が見られず、妊娠期間の違いも見られませんでした。

プロバイオティクスの摂取+栄養指導は、安全で、代謝性疾患に取り組むには、コスト的に有益な方法と考えられます。プロバイオティクスと腸管細菌叢は健康に関しては、十分なインパクトがあります。また、腸管内細菌は、健康全体において大変、大きい役割を演じます。さらに、糖尿病とプロバイオティクスに関する研究は、比較的新しい栄養医学の研究テーマーとなっており、栄養医学研究者の主要な研究テーマーとなっています。

プロバイオティクスは我々の健康に対して、多くの役割を演じます。それらは次の通りです。

免疫システムを刺激するのに役立ちます。顔色の改善、皮膚を切ったり、火傷した時の治癒の促進、肝臓機能の改善、悪い酵母菌感染の減少、コレステロール値の改善。

References

Probiotics May Have Role in and Diabetes Management:  Live Exchange Rates For Japan

Larsen,N.,F.K.Vogensen,: Gut microbiota in human adults with type 2 diabetes differs from non-diabetic adults. PLoS One 5(2) 2010,  e9085

 

 

 

 

 


糖尿病とプロバイオティクスについて その二 栄養医学ブログ

2011-12-05 14:57:45 | 健康・病気

現在、日本で盛んに研究されているプロバイオティクスは、糖尿病の管理において、有益な役割を有する可能性があります。

プロバイオティクスは、消化管に住む有益な細菌のことです。プロバイオティクスのサプリメントはビタミンCのサプリメントと並んで、この10年、評判が良いようです。また、ヨーグルト、ケーフィル、納豆、キムチそれにプロバイオミルクのようなプロバイオティクスを含む食品は、幾世紀もの間、身近にあります。この5年から10年以上、プロバイオティクスに関する研究が、日本や世界で著しく増加しました。

これらの研究に加えて、プロバイオティクスが、糖尿病との戦いにおいて有益な役割を有する可能性があるということを、最近、発表された研究は暗示しています。腸管微生物叢(消化管に住む細菌)は、健常人に比べて糖尿病患者では、実際、変化していることが、ある研究で判明しました。

妊娠中、ヨーグルトのようなプロバイオティクスを摂取している女性は、妊娠性糖尿病の進行の可能性が低下しました。彼らにプロバイオティクスを摂取してもらったところ、彼らの子孫の2型糖尿病の進行のリスクが低下し、子供達の幼児期肥満症のリスクが低下したことが、2番目の研究で判明しました。

糖尿病と腸管微生物叢に関して、ネイチャーに発表された2006年の最新の研究では、肥満したヒトの腸管の微生物叢は、肥満していないヒトのそれと比べて違っていることが判明しました。さらに、肥満したヒトの体重が減少した時、微生物叢の構成が変化し、肥満していないヒトのそれと大変よく似ていることが判明しました。腸管微生物叢の変化、ある有益な細菌の増加が、体重管理の要素となる可能性が判明しました。

2007年の研究では、腸管微生物叢を変えると、糖尿病の前兆であるメタボリック症候群を、しばしば減少させることが判明しました。

コペンハーゲン大学の研究では、36名のデンマーク人男性の消化管に住んでいる細菌の構成を調査しました。広範囲の年齢層と体重で、彼らの半数は、以前に2型糖尿病と診断されました。3種の主だった細菌門がヒト腸管に住んでいる細菌の大部分であることが判明しました。それら3種の門はFirmicutes, Bacteroidetes, Proteobacteriaです。3種の門全部は、体に良い細菌と悪い細菌を含みます。しかしながら、Lactobacillus genus菌のような多くの、よく知られた、有益な細菌は、ヨーグルトを作るのに用いられ、また、プロバイオティクスのサプリメントに用いられています。Bacteroidetesは、大部分、日より見菌と考えられる細菌の門です。このグールプは歯周病や歯の退化をもたらします。これらのことから、糖尿病は消化管に住んでいる、違った細菌構成を有していることが判明しました。ところで、身近に、プロバイオティクスはありますので、今からでも遅くないので、糖尿病患者はプロバイオティクスを摂取する習慣を身につけ、糖尿病が寛解することを祈っています。

Reference

Probiotics May Have Role in and Diabetes Management: Live Exchange Rates For Japan