弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

評価されてる 裁判官を 見向きもしない 裁判所

2023年04月29日 12時29分43秒 | 名古屋・愛知
弁護士ドットコム、4月下旬より日本初となる『弁護士専用の裁判官データベース』を提供開始
https://www.bengo4.com/corporate/news/article/x-bc0k3emj0

私が任官したのは20年余り前。
その直後から、①長官・所長による裁判官の人事評価と、②下級裁判所裁判官指名諮問委員会による再任の審査が始まった。
しかし、①では裁判の内容や評判等は評価されないし、②ではそもそも外部評価自体を一切受け付けていない。
理由は異なるだろうが、今度始まるという弁護士ドットコムのデータベースも、裁判官やその人事評価者は見られない。なお、横浜地裁では、有志弁護士が毎年、裁判官の評価アンケートを集約して冊子にまとめて裁判所に届けているというが、裁判官への配布等はされていない。
「裁判官の独立」への配慮という名目は分からないではない。しかし、いったん裁判官も人事評価の対象とすると決めてしまった以上、裁判自体への外部評価を埒外とするのは、本末転倒の感を拭えない。
その結果どうなるかというと、裁判所の内部で司法行政をリードしたとか、論文を発表したとか、裁判にとってはほとんど二の次のような実績を中心に、内部評価されることになる。最高裁事務総局・高裁事務局長・地家裁所長を経験した裁判官が司法行政の実績を重ねているのは当たり前だから、同じ人物が重任されていく。
裁判の中身は全く問われないどころか、判決の説得力や正当性の重要な指標となるはずの控訴率や破棄率については統計すら取られていない。ただ、裁判官ごとの未済件数や平均審理期間、最近ではウェブ会議期日の実施率などという外形的な統計数値だけで色々と指摘されれば、釈然としない思いを抱く者も当然いるだろう。
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