NAO日和

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「桜田門外ノ変」

2010年10月21日 | さ~た行の映画

~日本の未来を変えた、歴史的大事件~

井伊直弼の育った出身の私にとっては、見逃せない1本でしょう。

2010年 日本映画   (10.10.16公開)
配給:東映      上映時間:137分
監督:佐藤純彌
原作:吉村昭     『桜田門外ノ変』(新潮文庫刊)
脚本:江良至、佐藤純彌
主題歌:alan     『悲しみは雪に眠る』
出演:大沢たかお・・・・・・・・関鉄之介
       長谷川京子・・・・・・・・関ふさ
    柄本明・・・・・・・・・・・・金子孫次郎
       生瀬勝久・・・・・・・・・・高橋多一郎
     加藤清史郎・・・・・・・・関誠一郎
    渡辺裕之・・・・・・・・・・岡部三十郎
    北大路欣也・・・・・・・・徳川斉昭
    伊武雅刀・・・・・・・・・・井伊直弼

<見どころ>
茨城県の地域振興と郷土愛の醸成を目的に、市民が主体となって企画し、
映画化が実現した時代劇。吉村昭の同名小説を基に、歴史の大きな転換点となった
大老・井伊直弼襲撃事件へと至る経過とその後の顛末を、襲撃者側である水戸藩士たちの
視点から丁寧に描き出していく。主演は「TV「JIN -仁-」の大沢たかお。
監督は「敦煌」「男たちの大和/YAMATO」の佐藤純彌。 (映画データベースより)

<あらすじ>
水戸藩士の下級武士の家に長男として生まれ、30歳のときに迎えた
12歳年下の妻・ふさ(長谷川京子)や長男の誠一郎(加藤清史郎)と共に穏やかな暮らしを
送っていた関鉄之介(大沢たかお)。しかし、藩主父子が井伊大老(伊武雅刀)の専断により
処罰されたという急報が、彼の日常に影響を及ぼし始める・・・・。(シネマトゥディより)

<感想>
学校の日本史でも勉強した「桜田門外ノ変」。大河ドラマ「龍馬伝」でもわかるように
このクーデターをきっかけに、歴史が一気に動いたのは言うまでもありません。
だけど、このあたりの日本史って、大事なのに意外にあっさり進みませんでしたか?

この作品は水戸藩士の視点から描いた作品。
私は、暗殺された井伊直弼の生まれ育った彦根出身。
しかも、小・中学生の頃は、歴史ボランティアサークルに所属し、この辺の勉強は
かなり叩き込まれているので、公開前から待ち望んでいた作品でした。

ちなみに、今年は、桜田門外ノ変からちょうど150年目にあたります。

本作は、水戸側からみたこの事件を淡々と描いています。
淡々と史実に基づいて描いている、しかもナレーション&テロップつきだから
なんだか、映画と言うよりドキュメントを見ている感じがしました。
 
クーデターを起こしたのは、水戸浪士、通称“桜田烈士”。
井伊直弼が暗殺されたことは、皆が知っていても、“桜田烈士”のことを
知っているのは、歴史をよ~くお勉強している人以外は、あまり知られていないような
気がします。そういう意味で、この事件を真正面に捉えて描いていることは評価できます。
でも、いかんせん歴史的にマイナーな人物たちのその後を長々と描かれていたのは
正直、ちときつかったかな? (ほとんど逃亡劇った感じだったので)
 
そもそも、映画の冒頭付近で、桜田門外襲撃シーンを見せたのがまずかったかもしれない。
 
クーデターの首謀者が、歴史に名高い人物だったら、その後の逃亡などの様子を
描いてもそれなりにおさまるかもしれないが、歴史にちんぷんかんぷんの人には
「へぇ~」でしかないかも?
おまけに、冒頭に桜田門事件⇒7年前⇒6年前⇒2年前とさかのぼられても、
歴史に無関心な人には、頭がごっちゃごちゃになると思うんだけど。

個人的には、ちゃんと時系列で、こういう経緯で、クーデターに及んだ。。という
撮り方のほうが、もう少し関鉄之介をはじめ、水戸浪士たちの気持ちにも
共感がもてたというもの。

で、肝心の事件シーン。「十三人の刺客」を見た後だと、どうも見劣りしちゃう。
 
ていうか、彦根藩邸(↑赤門があるところ)から桜田門の道沿いに
あからさまに、立って待っているっていうのおかしくありません?
あんなの「討つぞ」ってわかるし、わかってて通るのも滑稽な話だと思うのですが・・。

そんな中、井伊直弼演じた伊武雅刀と徳川斉昭を演じた北大路欣也の演技は
光っていました。特に、↓の意見衝突のシーンは、見ごたえがありました。
 
余談ですが、襲撃の内容は、ほぼ映画のとおりです。映画の中では詳しく描いていませんが
襲撃時、雪が降っていて刀が濡れないように彦根藩士の刀には袋がかぶさっていて
それが災いし、刀を抜くのに手間取ったのが命取りとなりました。
で、咄嗟に手で刀を止めようとしたりする者もいて、映画では描いてないけど
指や耳がちょん切れたのが、無数にあったそうです。

ちなみに、↑の門が、なぜ赤いのかは、井伊家のトレードカラーが「赤」だから。
別名「井伊の赤鬼」とも呼ばれていましたからね。
井伊直弼のこと、もう少し話すとすれば、もともと14男として生まれてきた(しかも庶子)ので
ふつーに過ごしていたら、歴史に名を残すことなんてなかったんです。
だから32歳まで、「埋木舎」でひっそりと世捨て人のように暮らしていました。
そこで勉学や茶道に没頭し、ことに茶道には精通し、本まで出版するほど。
「一期一会」の理念を広めたのも直弼であります。

本来なら歴史の表舞台に出ない人物だったのが、兄たちが次々に病死や他藩に
養子に出されたため、棚から牡丹餅じゃないけど、家督が転がってきたわけです。
彦根藩主になった当時、彦根藩は財政難だったので、藩改革を行い成功。
この手腕が買われて老中へと相成ったわけです。
政治的手腕は、ここから見る限りかなり高かったように思いますね。

なお、井伊家の菩提寺は世田谷にある豪徳寺。ここに直弼の遺骨が入ったお墓があります。
あと、地元彦根の菩提寺・清涼寺にもお墓がありますが、この中には襲撃に遭った際、
直弼の血が染み込んだ土が入っているそうです。

映画をみると、直弼は暗殺されてよかったのかどうかはわかりません。
「我らは井伊直弼の首一つを奪うために、どれだけ多くの命を道連れにしたのでしょうか」
関鉄之介が言う、この言葉がむなしく聞こえてきます。

ですが、このセリフが本作のすべてを語っているように思えるんですよね。

少なくとも、この事件をきっかけに歴史が大きく動いたのは事実。
わずか7年後には、幕府が倒れ、江戸城の無血開城となるわけです。

史実を伝えるという意味ではよく出来ていますが、映画としてのエンターテイメント性では
かな~り低い。これなら、わざわざ映画にしなくてもTVで充分かもと思わざるをえません。
個人的には、舟橋聖一の「花の生涯」のほうがいいように思います。

もう一つ余談話。
今では彦根市と水戸市は友好都市として交流を深めています。
あと、井伊家は幕府の特別な計らいで、こんな大事件になってもなんとかお家断絶は
免れました。というわけで、今でも井伊家の子孫は残っています。
そういや、直系子孫のY子さんとは、中学・高校と同級生でした。

卒業してから会っていないけど、彼女が観たらどんな感想抱くのかな?
なんて、ふと思っちゃいました。

点数:6点 (10点満点)


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4 コメント

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Unknown (mayumi)
2010-10-22 10:05:50
夫が観たそうなので、日曜日辺り 出掛けるかも。

> 冒頭に桜田門事件⇒7年前⇒6年前⇒2年前
歴史にはあまり明るくない私ですが、映画のこういう作りは嫌いじゃないので、
どれどれ とばかり観て参りましょう。
返信する
mayumiさんへ (NAO)
2010-10-23 17:45:44
週末、ごらんになるんですね。^^

史実に基づいて淡々と話が進められていました。
マイナーな人物を焦点にあててるので、このあたりの時系列が、どうかな?というところです。
個人的に、これくらいの下級武士でも女を囲っていたのか・・というのにちょいショック。^^;
返信する
Unknown (cyaz)
2010-10-25 08:36:37
NAOさん、こんにちは^^
TB&コメント、ありがとうございましたm(__)m
そうでしたか、NAOさん彦根産だったんですね

>冒頭に桜田門事件⇒7年前⇒6年前⇒2年前とさかのぼられても、歴史に無関心な人には、頭がごっちゃごちゃになると思うんだけど
うちのかみさんはまさにその一人でしたよ(笑)

>で、肝心の事件シーン。「十三人の刺客」を見た後だと、どうも見劣りしちゃう
実際に剣豪を揃えていたんじゃないのかと思ったのですが、
実際には貧弱でしたねぇ(笑)

>直系子孫のY子さんとは、中学・高校と同級生でした。
へぇ~、そういう方と同級生
織田信成クン系ですね^^
返信する
cyazさんへ (NAO)
2010-10-25 08:55:05
こんにちは~cyazさん♪
こちらこそ、TB&コメントありがとうございました。(^▽^)

あ~やはり奥様もそうでしたか。
日本史が好きな私も、ちょっと頭の整理に苦労したので困りました。^^;

はい、織田くん系と同級生だったんですよ。^^
品の良い公家顔のお嬢さんでした。

襲撃シーンのあの違和感を感じた場面ですが
あとで、自分がサークルに入っていた当時の資料を
もう一度掘り起こして調べたら、
あの当時は、田舎から出てきた武士が諸大名の登城を見物する光景が割とあったそうで
この日も、そうだろうと想い、だれも彼らを怪しむ者は誰もいなかった・・・というのが事実のようです。
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