<3月の鑑賞予定映画>
~一流スパイは 世界をダマす~
2024年 イギリス/アメリカ映画 (2024.03.01公開)
配給:東宝東和 上映時間:139分
監督・製作:マシュー・ボーン
脚本:ジェイソン・フュークス
音楽:ローン・バルフェ
出演:ヘンリー・カヴィル/ブライス・ダラス・ハワード/サム・ロックウェル
ブライアン・クランストン/キャサリン・オハラ/デュア・リパ
アリアナ・デボーズ/ジョン・シナ/サミュエル・L・ジャクソン
<見どころ>
『キングスマン』シリーズなどのマシュー・ヴォーン監督によるスパイアクション。
小説の内容が現実のスパイ組織の行動を言い当てていたことから、その作者が命を
狙われる。キャストには『コードネーム U.N.C.L.E.』などのヘンリー・カヴィル、
『ジュラシック・ワールド』シリーズなどのブライス・ダラス・ハワード、
オスカー俳優のサム・ロックウェルのほか、ブライアン・クランストン、
デュア・リパ、サミュエル・L・ジャクソンらが集結する。
<ストーリー>
有名作家のエリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)は、すご腕
エージェントのアーガイル(ヘンリー・カヴィル)が活躍する人気スパイ小説
「アーガイル」シリーズの新作執筆に苦慮していた。あるとき愛猫のアルフィーを
連れて列車で移動中、突如見知らぬ男たちに襲われ、同じ車両に乗り合わせていた
エイダンと名乗るスパイ(サム・ロックウェル)に助けられる。その後も命を
狙われ逃げ惑う中、エリーは自分が書いた小説が本物のスパイ組織の行動と
一致していたことを知る。
<感想>
「キングスマン」シリーズを観ているので、気になって鑑賞。
★「キングスマン:ファースト・エージェント」(吹替版) - NAO日和
予告編やポスターで目立っている金髪ゴールド衣装の方は、ほんの少ししか
出ていない&予告編で散々流れていたデヴィッド・ボウイの「レッツ・ダンス」が
本編で、全く流れていないのはどういうこと??
なんだか少し騙された感が拭えないんですけどっ!
そのかわり、ビートルズの新曲「now and then」が選曲されていたのはナイス
それにしても、主人公演じたブライス・ダラス・ハワードのぽっちゃり感は・・・。
サム・ロックウェルもねぇ・・・二人ともアクションは出来ていたけれど
もう少し年代が30代ぐらいの人をキャスティング出来なかったのでしょうか?
「キングスマン」シリーズに比べると、少し華が足りないように感じましたし
今作品はR指定がなかったので、ぶっ飛んだシーンもスケールダウン。
油まみれのスケートシーンは、ツッコミだらけだが笑えた。
「キングスマン」シリーズに比べると毒性はかなり弱め。
話は二転三転の展開で、この点は楽しめました。
続編・・・この終わり方はあるんですかねぇ。
点数:6点/10
~これは事故か、自殺か、殺人かー。~
2023年 フランス映画 (2024.02.23公開)
第76回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞
第81回ゴールデン・グローブ賞 脚本賞・非英語作品賞受賞
今年度アカデミー賞5部門ノミネート作品
配給:GAGA 上映時間:152分
監督:ジュスティーヌ・トリエ
脚本:アルチュール・アラリ/ジュスティーヌ・トリエ
美術:エマニュエル・デュプレ
衣装:イザベル・パネッティエ
出演:ザンドラ・ヒュラー/スワン・アルロー/ミロ・マシャド・グラネール
アントワーヌ・レナルツ/サミュエル・タイス
<見どころ>
第76回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したサスペンス。
夫が不審な転落死を遂げ、彼を殺害した容疑で法廷に立たされた妻の言葉が、
夫婦の秘密やうそを浮かび上がらせる。メガホンを取るのは『ヴィクトリア』
などのジュスティーヌ・トリエ。『愛欲のセラピー』でもトリエ監督と組んだ
ザンドラ・ヒュラー、『あなたが欲しいのはわたしだけ』などのスワン・アルローの
ほか、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツらが出演する。
<ストーリー>
ベストセラー作家のサンドラ(ザンドラ・ヒュラー)は、夫と視覚障害のある
11歳の息子(ミロ・マシャド・グラネール)と人里離れた雪山の山荘で過ごして
いたが、あるとき息子の悲鳴を聞く。血を流して倒れる夫と取り乱す息子を発見した
サンドラは救助を要請するが、夫は死亡。ところが唯一現場にいたことや、
前日に夫とけんかをしていたことなどから、サンドラは夫殺害の容疑で法廷に
立たされることとなり、証人として息子が召喚される。
<感想>
カンヌ映画祭でパルムドールを獲得した、ということで鑑賞。
事故死か?他殺か?自殺か?が問われる法廷劇がメインのサスペンスだが
事件の真相というよりは、裁判が進むにつれて家族の内情、夫婦の内情
母と子の心情の方を重きに置いているように感じた。
BGMはほとんどなく、冒頭のスティールパンの曲と息子が練習していた
アルベニスの「アストゥリアス」、ショパンの「Prelude, Op. 28, No. 4」
(アレンジしているが)の3曲のみ。
音楽の少なさが作品全体に緊張感をもたらして、この点はうまいなぁと
思った。あと、犬のスヌープの演技は感動もの。
憶測だけで裁判にもっていく検察側の態度が腹正しく感じたのと
裁判に勝っても得るものがない、というのはもやっとします。
行間を読むような作り方で、見る人によって感想や評価が違うでしょう。
フランス映画らしい作品で、2時間半強のわりには眠くなりません
でしたが疲れたわ(笑)
点数:7点/10
~ヴェルサイユ史上最大のスキャンダルな愛~
2023年 フランス/ベルギー/ロシア/サウジアラビア合作 (2024.02.02公開)
配給:ロングライド 上映時間:112分
監督:マイウェン
脚本:テディ・ルッシ=モデスト/ニコラ・リヴェッチ/マイウェン
衣装:ユルゲン・ドーリング
音楽:スティーヴン・ウォーベック
出演:マイウェン/ジョニー・デップ/バンジャマン・ラヴェルネ/ピエール・リシャール
メルヴィル・プポー/パスカル・グレゴリー
<見どころ>
フランス国王ルイ15世の愛人であったデュ・バリー夫人ことジャンヌ・デュ・バリーの
生涯に迫る歴史ドラマ。18世紀のフランス・ベルサイユの宮廷を舞台に、庶民階級出身の
女性が、自身の才覚を発揮して権力の座へと上り詰めていく。監督・脚本に加え
主人公を演じるのは『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』などのマイウェン。
『MINAMATA-ミナマタ-』などのジョニー・デップのほか、バンジャマン・ラヴェルネ
ピエール・リシャール、メルヴィル・プポーらがキャストに名を連ねる。
<ストーリー>
貧しい家庭に生まれたジャンヌ(マイウェン)は、その美貌と知性を武器に
社交界へと入り込む。貴族の男性たちをとりこにしながらのし上がってきた彼女は、
ついにベルサイユ宮殿にも足を踏み入れ、国王ルイ15世(ジョニー・デップ)との
面会を果たす。二人は一瞬で恋に落ち、ジャンヌは国王の愛人となるものの、
貴族階級ではない出自や、宮廷のマナーを無視したことなどから彼女は周囲に疎まれる。
<感想>
離婚裁判で注目を集めたジョニー・デップ勝訴後の復帰作。
「ベルばら」世代の私には、この話は非常に興味深かった。
衣装はCHANELがデザイン協力で参加し、ベルサイユ宮殿の鏡の間で
実際に撮影していたシーンは圧巻。18世紀にタイムスリップしたかのよう。
ただ、主演演じたマイウェンが貧相に見えていまいち魅力に感じない。
あれなら、「べルばら」で描かれたデュ・バリー夫人の方がよっぽど
肖像画に似ていて魅力的。
愛妾は、既婚者であるのが決まりで。公に認められた愛人は生活面での
保証は保たれ、社交界にも堂々と出られる為、普通の愛人より格が上
だったんですよね。ただ、アントワネットの母であるマリア・テレジアは
愛人や妾の存在を快く思っていない考え方の持ち主で、その教えを受けた
アントワネットもまたデュ・バリー夫人を快く思っていなかったところに
ルイ15世の娘たちが焚きつけた経緯があって、あのような騒動に。
史実では、あの一言が最初で最後で、二度とアントワネットが彼女に声を
かけることはなかったそうです。
ナレーションのみでの解説で終わっていましたが、デュ・バリー夫人も
アントワネット同様、最後はギロチン刑にかけられます。
ただ、革命後イギリスに逃げたのですが、どういうわけかフランスに帰国して
捕まり刑に処されたのですが、なぜ帰国してしまったのか?
ここが知りたかったです。
主演演じたマイウェンの魅力がいまいちなのと、最後長々と説明シーンで
その後がすっ飛ばされたのは大きな不満。
当時の絢爛豪華な宮廷シーンや衣装はとても見ごたえありました。
一番のプラスは側近のラ・ボルト。このキャラクターのおかげで
浅掘り気味の映画を、ぐっと味わい深くしてくれたように感じました。
フランスらしい作品。ベルばらファンは必見かと思います。
点数:6点/10
~ランティモス&エマ・ストーンが描く未知の感動~
2023年 イギリス/アメリカ/アイルランド合作 R18⁺ (2024.01.26公開)
第80回ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞
第81回ゴールデングローブ受賞(作品賞&主演女優賞)
第96回アカデミー賞11部門ノミネート
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン 上映時間:142分
監督:ヨルゴス・ランティモス
原作:アラスター・グレイ 「哀れなるものたち」(早川書房)
製作:ヨル・ギニー/ヨルゴス・ランティモス/アンドリュー・ロウ/エマ・ストーン
脚本:トニー・マクナマラ
衣装デザイン:ホリー・ワディントン
音楽:イェルスキン・ヘンドリックス
出演:エマ・ストーン/マーク・ラファロ/ウィレム・デフォー/ラミー・ユセフ
クリストファー・アボット/スージー・ベンバ/ジェロッド・カーマイケル
キャスリン・ハンター/ヴィッキー・ペッパーダイン/マーガレット・クアリー
ハンナ・シグラ
<見どころ>
『女王陛下のお気に入り』などのヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが
再び組み、スコットランドの作家アラスター・グレイによる小説を映画化。
天才外科医の手により不幸な死からよみがえった若い女性が、世界を知るための
冒険の旅を通じて成長していく。エマふんするヒロインと共に旅する弁護士を
『スポットライト 世紀のスクープ』などのマーク・ラファロ、外科医を
ウィレム・デフォーが演じる。
<ストーリー>
若い女性ベラ(エマ・ストーン)は自ら命を絶つが、天才外科医ゴッドウィン・
バクスター(ウィレム・デフォー)によって胎児の脳を移植され、奇跡的に生き返る。
「世界を自分の目で見たい」という思いに突き動かされた彼女は、放蕩者の弁護士
ダンカン(マーク・ラファロ)に誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体でありながら、
新生児の目線で物事を見つめるベラは、貪欲に多くのことを学んでいく中で平等や
自由を知り、時代の偏見から解放され成長していく。
<感想>
今年数々の映画祭で受賞し、R18指定にも関わらずアカデミー賞でも
11部門ノミネートされている作品なので、公開が楽しみでした。
奇想天外なダーク?ファンタジーの世界は、万人受けしないが
ランティモスの世界観炸裂。主人公ベラを演じたエマ・ストーンの
体当たり演技は必見。難役を見事に演じきったと思います。
お見事というしかない。
脳みそを移植の描き方は、楳図かずおの「洗礼」を思いおこさせますし
R18なので、リアルな解剖シーンはかなりのグロさ。セックスシーンは
予想通り多かったが、官能的ではなくもはや作業的な印象(笑)
映像はモノクロとカラーと交互に出てくるのはベラの心に併せているのかな?
あと、今作も「音」が非常に印象的。
音楽というより効果音に近く、全体的どこか不協和音でしかも不安定な
音形で浮遊した感じ。それがラスト不協和音が解除され落ち着く形に
落ち着いたという映像と音がマッチしたラストはうまいなぁと感じました。
独特な世界観で万人受けしないが、観て良かったと思います。
(再度見ようとはおもわないけど^^;)
アカデミー賞、今から楽しみです。
点数:8点/10
~音楽家レナード・バーンスタインの生涯を音楽とともに~
2023年 アメリカ映画 (2023.12.08公開)
配給:Netflix 上映時間:129分
監督・プロデューサー:ブラッドリー・クーパー
脚本:ジョシュ・シンガー/ブラッドリー・クーパー
音楽:レナード・バーンスタイン
衣装デザイン:マーク・ブリッジス
特殊メイク:カズ・ヒロ
出演:ブラッドリー・クーパー/キャリー・マリガン/マット・ボマー
マヤ・ホーク/サラ・シルヴァーマン/ジョシュ・ハミルトン
スコット・エリス/ギデオン・グリック/サム・ニヴォラ
アレクサ・スウィントン/ミリアム・ショア
<見どころ>
『アリー/スター誕生』などのブラッドリー・クーパーが監督と脚本、主演などを
務めた伝記ドラマ。ミュージカル「ウエスト・サイド物語」などの音楽を手掛けた
指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインが、女優でピアニストの妻フェリシア・
モンテアレグレ・コーン・バーンスタインと共に人生を歩む。
妻をキャリー・マリガンが演じ、マット・ボマーやマヤ・ホークが共演。
プロデューサーにマーティン・スコセッシとスティーヴン・スピルバーグらが名を連ねる。
<感想>
20世紀のクラシック音楽業界代表するバーンスタイン。
彼の名前は知らなくても「ウエストサイド物語」の音楽を作曲した人と言えば
わかるでしょう。小澤征爾や佐渡裕が愛弟子ということでも有名です。
監督でもあるクーパーが、バーンスタインの人生から夫婦のことを
フォーカスしたかったと話していたとおり、彼の音楽キャリアの様子より
夫婦でのシーンが多かったです。バーンスタインがバイセクシャルとは
知っていましたが、ここまで明け透けとは思っていなくてそこに驚き^^;
特殊メイクは、オスカーを2度受賞したカズ・ヒロが担当しただけあって
クーパーの顔とわかっていても、バーンスタインの風貌にそっくり。
背格好や仕草も似ていて、クーパーの熱演に拍手。
それ以上にお見事だったのが、キャリー・マリガン。エンドクレジットでは
クーパーより先に名前が出てましたが、納得の演技でした。
音楽家バーンスタインというよりは、一人の人間バーンスタインを
描いた、そんな印象を受けた映画でした。
音楽は全編バーンスタインの名曲がかかり、それだけでもワクワク。
映画館で公開されていますが、Netflixでも20日から配信されていますので
気になる方はぜひ!
点数:7点/10
~夢見ることからすべては始まる~
2023年 アメリカ/イギリス映画 (2023.12.08公開)
配給:ワーナー・ブラザース映画 上映時間:116分
監督:ポール・キング
原案:ポール・キング
脚本:サイモン・ファーナビー/ポール・キング
衣装デザイン:リンディ・ヘミング
音楽:ジョビィ・タルボット
出演:ティモシー・シャラメ/クララ・レイン/キーガン=マイケル・キー
パターソン・ジョセフ/マット・ルーカス/マシュー・ベイントン
サリー・ホーキンス/ローワン・アトキンソン/オリヴィア・コールマン
ヒュー・グラント
<見どころ>
ロアルド・ダールの児童小説を映画化した『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚。
同作に登場する工場長ウィリー・ウォンカがチョコレート工場を作るまでを描く。
監督・脚本は『パディントン』シリーズなどのポール・キング。若き日のウォンカを
『君の名前で僕を呼んで』などのティモシー・シャラメが演じ、『ラブ・アクチュアリー』
などのヒュー・グラント、オスカー女優オリヴィア・コールマン、
『シェイプ・オブ・ウォーター』などのサリー・ホーキンス、『ビーン』シリーズなどの
ローワン・アトキンソンらが共演する。
<ストーリー>
幼いころから世界一のチョコレート店を持つことを夢見ていたウィリー・ウォンカ
(ティモシー・シャラメ)は、一流の職人が集まるチョコレートの町へやって来る。
彼が作るチョコレートは瞬く間に人々を魅了するが、町を牛耳る「チョコレート組合
3人組」にねたまれ、何かと邪魔をされてしまう。この町は夢見ることを禁じられた
町だった。さらに、ある因縁からウォンカを付け狙うウンパルンパという謎の人物
(ヒュー・グラント)が現れる。
<感想>
まず思ったのが、2005年の「チャーリーとチョコレート工場」の前日譚という
宣伝をしたのが間違いのような気がするんですけど。
なぜなら、ティモシー演じるチャーリーがあまりにも良い子だから(笑)
こんな素直な子が、ティム・バートン版ではひねくれ人間になっているから
バートン版の前日譚と思って観ず、これはこれ単体で楽しんだ方がいいと思います。
ティモシーは、とても美しく衣装も似合っていたし、歌も透明感ある声で
聴きやすく、冒頭からああいう登場だとワクワクしますね。
ファンの心わしづかみ!でしょう♪♪
チャーリーの衣装やウンパ・ルンパの風貌は、1971年の
「夢のチョコレート工場」に出ているのとそっくりなので、
今作は71年版の方に寄せているように思いました。
テイモシーを主役にもってきたのは大正解。
映像もきれいだし、素直に楽しめます。
ただ、宣伝に騙されないように。バートン版とは別物としてご覧ください。
点数:7点/10
~英雄か、悪魔か~
2023年 アメリカ/イギリス映画 (2023.12.01公開)
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
上映時間:158分
監督:リドリー・スコット
脚本:デヴィッド・スカルパ
衣装デザイン:ジャンティ・イェーツ/デイヴ・クロスマン
音楽:マーティン・フィップス
出演:ホアキン・フェニックス/ヴァネッサ・カービー/タハール・ラヒム
ベン・マイルズ/リュディヴィーヌ・サニエ/ジョン・ホリングワース
ユーセフ・カーコア/フィル・コーンウェル/ルパート・エヴェレット
ポール・リス/キャサリン・ウォーカー/マーク・ボナー/サム・クレイン
<見どころ>
『グラディエーター』のリドリー・スコット監督とホアキン・フェニックスが
同作以来再び組み、フランスの皇帝ナポレオンの生涯に迫る歴史ドラマ。
フランス革命後の混乱が続く国内で、彼がいかにして皇帝の座へと上り詰めた
のかを、妻・ジョゼフィーヌとの関係も交えて映し出す。『私というパズル』
などのヴァネッサ・カービー、『あさがくるまえに』などのタハール・ラヒムらが
キャストに名を連ねる。『ゲティ家の身代金』でもスコット監督と組んだ
デヴィッド・スカルパが脚本を担当する
<ストーリー>
1789年、自由と平等を求めた市民らによってフランス革命が起こり、絶対王政が
崩壊する。フランス国内が大きく揺れ動く中、軍人ナポレオン(ホアキン・
フェニックス)は目覚ましい活躍を見せ、皇帝へと上り詰めていくが、妻の
ジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)との関係はもつれたままだった。
その一方でナポレオンは軍を率いて次々と戦争を繰り返し、ヨーロッパ大陸を
手中に収めていく。
<感想>
ナポレオンについては、伝記や池田理代子さんの漫画で予備知識があったので
よかったが、フランス革命からセントヘレナ流島までサクサク話が進むので
事前学習は必須でしょう。
冒頭、いきなりのアントワネットの処刑シーンは、かなりリアルで
そこに自分もいるかのような臨場感がありました。
でも、史実ではアントワネットは処刑前に髪の毛バッサリ切られて
しまうんですけどそこはなかったな~。
衣装も、特に戴冠式でのシーンは絵画からそのまま出てきたような
絢爛豪華な衣装でため息が出るほど。
また、戦闘シーンも有名な「アウステルリッツの戦い」や
「ワーテルローの戦い」などが、エキストラの数が膨大で迫力満点。
話は少しそれますが、イギリスの音楽家アンダーソンが作曲したピアノ曲
「ウォータールーの戦い」があるのですが、これはワーテルローの戦いで
イギリスが勝利した視点で描いた曲であります。この曲のおもしろいところは
曲中に戦闘シーンの注釈が書かれていることです。
「イギリス軍騎士兵がフランス軍攻撃のために前進」なんて具体的な
書き方もしてあるので、興味ある方は聞いてみてください
ホアキン・フェニックスは、ナポレオンのイメージに合っているが
やはり若かりし頃から演じるのは無理でしょう(ーー;)
年上のジョゼフィーヌなのに、ホアキンの風貌ではちっとも歳の差夫婦に
見えないのよ。せめて若い年代の時は、若手俳優を起用してほしかったな・・・。
戦争で300万人の犠牲者を出し、皇帝になったナポレオンですが
税制改革をはじめ、教育やフランス民法典を定めるなど政治的功績も
大きかったと感じました。
戦闘シーンは見事でしたが、ナポレオンの戦いの流れからみると
トラファルガー海戦・スペイン遠征などが抜けているのが残念。
戦いで名声をあげてきた人物ですから、映画で一気にというよりは
ドラマでじっくりやった方がよかったようにも感じました。
ナポレオンを知る初心者向けとして観るのにはいい作品だと思います。
点数:6点/10
~正義感は、悪なのか~
2023年 アメリカ映画 (2023.11.18公開)
配給:トランスフォーマー 上映時間:82分
監督:ティナ・サッター
原作戯曲:ティナ・サッター
脚本:ジェームズ・ポール・ダラス/ティナ・サッター
音楽:ネイサン・ミカイ
出演:シドニー・スウィーニー/ジョシュ・ハミルトン/マーチャント・ディヴィス
ベニー・エレッジ/ジョン・ウェイ
<見どころ>
国家機密を漏えいしたとして逮捕された、アメリカ国家安全保障局(NSA)の
契約社員リアリティ・ウィナーに対するFBI捜査官の尋問記録を忠実に再現した
心理ドラマ。「第2のスノーデン」として注目された、25歳の彼女が起こした事件の
てん末を描く。監督などを手掛けるのはティナ・サッター。『観察者』などの
シドニー・スウィーニー、『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』
などのジョシュ・ハミルトン、『オレたちの聖戦』などのマーチャント・デイヴィス
らがキャストに名を連ねる。
<ストーリー>
2017年、アメリカ。買い物から帰宅したリアリティ・ウィナーは、見知らぬ二人の
男性に声をかけられる。彼らはFBI捜査官だと名乗り、ある事件の捜査をしている
ことを彼女に告げる。気さくで穏やかな口調のまま、二人は何げない質問を
リアリティに投げかけていたが、やがて会話はある驚がくの事実に迫り始める。
<感想>
2017年アメリカで、国家機密をリークして逮捕された25歳の女性
リアリティ・ターナーが逮捕される際にFBIから聴取された実際の音声テープから
再現した作品。
音源そのままを再現しているので、ドキュメンタリーというより
見ている観客も実際その場に立ち会って聞いているような感覚に陥る
なんとも不思議な時間でした。
令状をすぐに見せずに真綿で首を絞めるようにして追い込んでいく
捜査官のやり方が怖かった・・・。すぐに令状を見せないのは
アメリカのやり方なんだろうか?
今の時代、情報の機密性は大事。彼女はなんとも思慮が足りない行動を
とってしまいました。それにしても、一緒に暮らしていた猫ちゃんは家族が
引き取り、ワンちゃんはシェルターへ・・というセリフがあったが
シェルターってどんなどころなんだろう?彼女のことより
ワンちゃんのことが気になって仕方なかった(笑)
正直、予備知識がないとよくわからない作品。
エンタメ性は全くないので、万人受けはしないと思います。
点数:6点/10
~ひと押しで<世界>は崩れ出す~
2023年 アメリカ映画 (2023.10.27公開)
配給:GAGA/ワーナーブラザース映画 上映時間:94分
監督・脚本・原案:ロバート・ロドリゲス
脚本:マックス・ボレンスタイン
衣装デザイン:ニナ・プロクター
音楽:レベル・ロドリゲス
出演:ベン・アフレック/アリシー・ブラガ/J・D・パルド/ハラ・フィンリー
ダイオ・オケニイ/ジェフ・フェイヒー/ジャッキー・アール・ヘイリー
ウィリアム・フィクトナー
<見どころ>
行方不明の娘を捜す刑事が、現実と見まがう世界に入り込んでいくサスペンス。
銀行強盗の現場である男を見つけた刑事が、その男を追って不思議な世界に足を
踏み入れる。監督などを手掛けるのは『シン・シティ』シリーズなどのロバート・
ロドリゲス。『底知れぬ愛の闇』などのベン・アフレック、
『アイ・アム・レジェンド』などのアリシー・ブラガのほか、J・D・パルド、
ジャッキー・アール・ヘイリー、ウィリアム・フィクトナーらが出演している。
<ストーリー>
刑事のダニー・ローク(ベン・アフレック)の一人娘ミニーの行方がわからなく
なり、彼は心身のバランスを崩していた。そんな折、銀行強盗を予告する匿名の
通報が入り、銀行の外にいた怪しげな男(ウィリアム・フィクトナー)を見つけた
ダニーは、犯人より前に貸金庫を開ける。中には行方不明のミニーの写真が入っており、
そこには「レヴ・デルレーンを見つけろ」と書いてあった。その後ダニーは、
二人の警官と共に男を追って屋上へとたどりつく。
<感想>
事前情報ほぼなしで鑑賞。てっきり2005年公開した「ドミノ」の
リメイクかと思ったら、全然違った。
しかも「ドミノ」は謎の期間のある計画を意味し、原題名は
「Hypnotic(催眠術)」というわけ。
前半は、わけわからない印象だったが、後半ことの真実が判明後は
怒涛の展開でおもしろかったです。94分という短さと登場人物が
少なめだったのが良かったかも。
しかし「インセプション」的な感じで、こちらの頭の整理がなかなか(笑)
ベンのカッコよさと、鍵を握る少女が可愛かったです。
「ザ・クリエイター」も少女が鍵でしたが、はやってるのか?^^;
敵役組織は一体何を企んでいるのか、組織の描き方がいまいち弱かったのが
残念。ベン・アフレックが脚本に関わっていたら、もう少し変わって
いたのではないか?なんて感じてしまいました。
ラスト・・・、これは続編ありか。
というか、ウィリアム・フィクトナー不死身すぎ。
点数:7点/10
~守ると誓った。兵器と呼ばれた少女を~
2023年 アメリカ映画 (2023.10.20公開)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン 上映時間:133分
監督:ギャレス・エドワーズ
原案・脚本:ギャレス・エドワーズ
脚本:クリス・ワイツ
衣装デザイン:ジェレミー・ハナ
音楽:ハンス・ジマー
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン/渡辺謙/アリソン・ジャネイ
ジェンマ・チャン/マデリン・ユナ・ヴォイルズ/スタージル・シンプソン
アマル・チャーダー=パテル
<見どころ>
人類とAIの戦いが勃発した近未来を舞台に描くSFアクション。危険なミッションに
挑んだ退役軍人が、潜入先でヒューマノイドの少女と出会う。
監督などを務めるのは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの
ギャレス・エドワーズ。『TENET テネット』などのジョン・デヴィッド・ワシントン、
『怒り』などの渡辺謙、ジェンマ・チャン、アリソン・ジャネイらがキャストに
名を連ねる。
<ストーリー>
AIがロサンゼルスで核爆発を引き起こした、今から50年後の未来。人類とAIの戦いが
10年にわたって続く中、高度なAI兵器を生み出した創世者「クリエイター」の暗殺
ミッション遂行のため、退役軍人のジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)
が敵地へ潜入する。彼がクリエイターの居場所を突き止めると、そこには少女の姿を
したヒューマノイド(マデリン・ユナ・ヴォイルズ)がいた。
<感想>
「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のギャレス・エドワーズが
監督・脚本。どうりで、「ローグ・ワン」っぽいなと思うわけだ。
監督が親日家のせいか、映像に日本語があちこち見え、エンドロールでも
日本語と英語表記が記されていたのは、なんだか嬉しかったな。
主人公・ジョシュアを演じたのは、デンゼル・ワシントンの息子さん
なんですね(驚)「テネット」を観ていなかったから、初めて知ったよ。
久しぶりにスクリーンで渡辺謙を観ました。英語だけど感情が高ぶると
日本語が出ちゃうAIの役、なんか笑えた。ノマドはデス・スターの
ようだし、ジョシュアとアルフィーの関係は、なんだか「子連れ狼」を
思い起こさせ、いろんな作品を連想させるシーンが見受けられました。
アルフィー役の子、可愛かったな。
しかし、ここまでアメリカが悪に描かれている作品も珍しいです。
今、世界各地できな臭い情勢が毎日報道されているので、設定は
近未来ですが、背景は今の情勢と少し似ているなと感じました。
雑な部分も見受けられましたが、映像は迫力あるのでスクリーンで
見てほしい作品ですね。
点数:7点/10