読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。
【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?
【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。
*今後、毎回のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。
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「中国の野生植物」の掲載を再開します。当ブログでは、確か8~9年ほど前に「ハマウツボ科」「ユリ科(狭義)」「ケシ科」「キンポウゲ科」などを紹介し、その後200頁~400頁の単行本にも纏めました(一冊も売れていません)。
ついこの間は、モニカに「ツツジ科(雲南省のシャクナゲ類)」「サクラソウ科」のテキスト(各200頁前後)を送ったので、それらも近いうちにブログにアップしようと考えています。
とりあえず、成り行き(その経緯については以前のブログ記事で説明済み)で、「リンドウ科」から始めます。僕は、リンドウ科については(一部の種以外は)全く無知です。というか、僕は「野生アジサイ」以外の植物のことはほとんど知らない。
知識はない(たぶんあや子さんやそのブログの読者の人たちよりも少ない)のですが、日本のリンドウ科各種については「日本の高山植物の図鑑」(20年ほど前に3つ刊行しました) 作成のために、山地性の種のほぼ全種(20数種)を撮影してきました(それらは全てポジフィルム撮影なのでここでの紹介は叶いません)。
また、日本での僕のメインフィールドの屋久島には、9種のリンドウ科植物が分布していて、そのいずれもが生物地理的知見から非常に興味深い種です(このあと紹介する、屋久島「固有種中の固有種」ヤクシマリンドウや、僕のライフワークの一つで現在ブログに再紹介中のヘツカリンドウ、日本のリンドウ科の中で唯一他の各属とは遠く離れた系統上に位置するシマセンブリ等々)。
それらの写真の大半も(ヘツカリンドウを除いて)手元にはない(上記したようにポジフィルム)ので、日本産は紹介出来ないのですけれど、中国大陸産に関しては、大量の(台湾産も8種)写真が手元に残っています(ポジフィルム時代のものを除く)。
その多くは、日本産とも対応しています。日本の各種の「ルーツ」を知る事にも繋がると思います。そんなわけで、少しはリンドウとも縁があるので、改めて(僕が撮影した)中国のリンドウ科の紹介を行っていくことにします。
たぶん、毎回数種ずつ、50回前後の掲載になると思います。
中国のリンドウ科植物
「中国植物志」(書籍版には1988年に刊行された中国語版と1995年の英語版がありますが、基本的に内容は同じで、ともに2019年に電子版としてインターネット上にアップされています)では、世界のリンドウ科は700種(「週刊朝日植物百科1994」では1200種、ウイキペディア英語版では1600種、同日本語版では1700種、AP-Webでは1750種となっているので、「誤植」「見解の相違」「新大陸産の扱いの」それぞれの可能性が考えられる)で、中国産が419種(英語版は427種)、うち中国固有種251種(英語版には中国固有の種数には触れられていない)となっています。
「中国植物志」は、新たな知見が加わるたびにその都度組み入れているので、結構辻褄が合わなくなっている部分があります。例えば種の数にしても、上記のように中国語版と英語版では異なったりします。むろん、日本を始めとする各国各機関(大学研究室など)や研究者個人の見解も、それぞれ異なります。そこいら辺の事は余り深く考えず に、臨機応援に対応していくことにします。
日本や中国のリンドウ科の大半は、リンドウ科リンドウ亜科リンドウ連(族)リンドウ亜連(亜族)に所属します。夫々の分類単位のラテン名は(それ以前にどのような分類単位を構成するかについても)、様々な解釈に対しての整合性をいちいち考えていると収拾がつかなくなるので、敢えて記しません。
ちなみに、亜科subfamilyと属genusの間の分類単位にtribeがあり、通常「族」と呼ばれています。生物の分類に於いてはかなり使用頻度の高い言葉ですが、一つ下位の(最も重要な)分類単位「属」と、日本語での発音が同じです。
そのこともあって、現在は「連」の使用が推奨(指令かな?)されているようです。ただし動物界では、「族」のまま使用されていて、また中国に於いては植物でも「族」が使用されています。
属の下の分類単位sectionは、日本では「節」、中国では「組」が使用されます(概ね「亜属」の概念と重なる)。更に下の分類単位seriesは、日本では「列」、中国では「系」です(「種群」「上種」あるいは「complex(複合種)」などの概念に近いと思います)。
日本の用語例は、一般の人たちには余り馴染みのない、いわば「科学的」なイメージですね。一方中国の用語例は、 一般的な語彙と重なって、イメージ的に余り「科学的」ではない(俗っぽい)気がします。日本人の感覚では、すこし権威に欠けるような気がしますが、イメージ的には分かりやすいので、概ね「組」「系」を使っていくことになると思います。
もっとも、(上記の「連」と「節」ともども)僕は別段どっちでもいいので、ここでは適当に(臨機応変に、というかその時の気分で)チョイスしていきます。
ついでに種の下の分類単位が「亜種」「変種」。動物の場合は「亜種」だけで「変種」は使用しません。前の記事にも示しましたが、ヒエラルキーとしては亜種>変種の並びです。でも、実質上は、「変種」とされるもののほうが、「亜種」よりも(遺伝的な)独立性が高かったりします。
以上のような問題点は、複雑になってくるので、ここでは詳しい詮索はしないでおきます。出来る限り亜種変種の使用は控え、基本的には無視します(笑)。換言すれば、重要な亜種や変種の場合は、結果として種と同格に扱う、ということになります(詳細に検討した上での判断に基づく場合もありますが、多くの場合は単に面倒なので)。
リンドウ科の上位分類で言うと、日本では唯一シマセンブリ(シマセンブリ連または亜連)が、同様に中国でもそれを含む数種だけが、他のリンドウ科各属各種から遠く離れた系統に位置し、一方、リンドウ亜連に所属する大多数の属の類縁は、互いにさほど離れていない、ということになります。
なお、日本で最もポピュラーな(一般の人々にとって身近な)リンドウ科の植物は、トルコギキョウではないでしょうか。北米大陸原産の園芸植物で、トルコギキョウ亜連の種です。
中国産のリンドウ科の総数は、上記したように「427種」となっていますが、文中には適当に400種とか500種とか記していくこともあるので、ご承知おきください(ある意味「積極的な」“適当”です、笑)。
僕が撮影した(ポジフィルム時代を除く)リンドウ科の写真の種数は、たしか前々回の記事で40種、前回の記事で80種と記したと思うのですが、これも適当です。むろん、僕に知識や同定能力がないから、というのが最大の原因ではありますが、はっきり言って、本気で取り組めば、「紙の上」(三次元)で“種”の特定など、出来るわけがないのです。
「分類群の同定」(種の特定)というのは、対象を知るための“一つの手がかり”に過ぎない、と思っています。
これまでにも何度も触れてきたことですが、「(絶対的な)種」 と「種のごとく振る舞う存在」(いわば本来の手順を為されずに生じた実質的な種) の違いを、どう認識するか。「種」とは何か、ということです。
「見かけ上酷似する多数の別の種が混在する」(いわよるcomplexとして見做す)のか、「見かけ上全く異なる個体が(雌雄、季節型、生態型などとは別に)同一種の中に混在する」 (super-speciesのような捉え方をする)のか、、、、。
問題は、その2つの概念(必ずしも対立する概念ではない)が、「同一population中に混在する」という可能性(2重3重に複雑なことになってくるわけです)。それらのことを念頭に置いたうえで、(時間軸を加えた)全体像を俯瞰的に見渡さねばならないと思います。
DNA解析で一発に判明、とは行きません。「種」の問題は、それ(科学)以前の領域にあるのです。
まあ、僕は、もとより幼稚な頭脳しか持っていないのでしょうし、リンドウとかについても全く無知なわけですから、こんなところで大きなこと(無責任な事)は言っちゃいけないのでしょうけれど。
でも、僕の守備範囲である(自分の脚・目・頭で構築した)野生アジサイやチョウに関しては、責任を持って、上記のことが言えます。ほかの生物も(ヒトも、生物ではないけれどウイルスも)、皆同じです。たまたま「リンドウ」で“Wild Plants of China”シリーズを再スタートしたので、ここに場を借りて、僕の基本的な姿勢を繰り返し述べて置くのです。
ということで、僕の撮影した写真の種同定という、余計な事(めんどくさい事)は、やりたくない。
たとえば、「小竜胆組(ハルリンドウ節)」。調べれば調べるほど、さっぱり分からなくなってしまいます。「中国植物志(英語版)」では、世界に156種、うち中国に117種(中国語版には中国産の種数のみが121種と示されている)。中国産リンドウ属(「中国植物志」英語版で248種)のほぼ半数、リンドウ科(429種)の1/4強を占めています。でも、本当のところ(?)は、よく分かっていないのではないでしょうか?
判断の仕方で、20~30種程度と見做すことも可能でしょうし、もしかしたら200~300種以上と見做すことも有り得るかも知れません。
で、面倒なので、とりあえず目立つ特徴で種を括って行けば、僕の撮影した「ハルリンドウ組」の種は、おおよそ20種ぐらいかな?という事になります。
でも、もうちょっときちんと取り組んでいくと、そう簡単には纏められないように思えてくる。とりあえずのとりあえずで、地域ごとに全部別々にしていけば、80ぐらいの地域集団(種?)になってしまいます。
本当は、僕としては、逆に10くらいに纏めたいのですが、、、増やすより減らすほうが圧倒的に難しいのです。
中国産のハルリンドウ組が100~150種、リンドウ科全体は200~800種(平均400~500種)で、僕が撮影したのが、その1/20くらいとすれば、だいたい辻褄が合います。
実に適当で非科学的ではありますが、積極的な適当もありでしょう(僕のは消極的ですけれど、笑)。
「中国植物志」に限らず、学術的な論文では、夫々の種に対し、これでもか、というほど、(まるで重箱の隅をつつくがごとく)形態の細部(ことに数字)の列記が為されています。
もちろん、あるに越したことはないです。でも、「それが全て」と思っているとしたら、大間違いですね。研究者の人たちは頭が良いので、そんなことは思ってないんでしょうけれど、、、。
ちなみに、この記事の項目は、(あや子さんのアドバイスも受け入れて)一応「中国」「野生植物」に含めていますが、僕本人としては、「コロナウイルス(マスク着用は犯罪!)」「香港デモのまやかし」と、同じ視点に立っているつもりなので、毎回冒頭に「一言」入れています。
薬用植物として竜胆
さて、今日は、たまたま病院での診察日で、さっき主治医のF先生に診て貰ったところです。胃や喉、胸などの薬は、「半夏厚朴湯」という漢方を処方してもらっています。効き目については分からんですが、まだ生きていられるということは、一応効いているのではないかと思われます。
主成分は「ハンゲショウ」、、、、てっきりそう思っていました。調べたら違っていました。ドクダミ科の「ハンゲショウ」ではなく、サトイモ科の「カラスビシャク」。
「学術的な和名(そもそもこの語彙自体が錯誤的ですが)」と、「一般的な俗名(左に同じ)」が全く異なった例というのは、他にもよくあるパターンです。というより、むしろそのパターンの方が多いように思います。
カラスビシャクは、テンナンショウ類(マムシグサなど)や、身近なところではコンニャクとかに近縁で、といってもコンニャクの花は滅多に見ることはないでしょうから、(やや系統的に異なるけれど)いわばミズバショウのミニチュア、と思って戴ければ良いでしょう。
ちなみに中国名は「半夏」。日本でも中国でも、ドクダミ科のハンゲショウよりも、メジャーな薬草として知られています。
ドクダミ科のハンゲショウ(半夏生、別称:片白草)のほうは、日本では「茶花」として眺めるのが主流みたいですね。余りメジャーではないのですが、一応古い時代から生薬として利用されているようです。
中国名は「三白草」。サトイモ科の「半夏」ほどではないとしても、漢方の一つとして知られています。
日本や中国を含む東アジアに広くし、同一属に含まれるもう一つの種「リザード・テイル」が、北米大陸の東部に分布しています。
東アジアと北米大陸に隔離分布する生物の多く(例えば僕の守備範囲の蝶や蝉とかも含む)がそうであるように、距離的により近い西部ではなく、より遠い東部(アパラチア山脈周辺)に出現するのです。
また、幾つかの植物に関しては、東アジア産には、良く目立つ「花」(あるいは外観上それに相当する部分)があって、それに対応する北米東部産の種は「花(のような)」の部分を欠く、という共通の特徴があります。ハンゲショウの仲間も、東アジアのハンゲショウは上部の葉が「化粧をしたように」白く目立つのに対し、北米東部の「蜥蜴の尻尾」は、まるでそっけない超ジミな花と葉だけで成っています。
ハンゲショウと同じドクダミ科に属するドクダミも、生薬や漢方(「漢方薬」と「生薬」は違うのでしょうけれど、僕は今のところよく分からないので、適当にどちらかを当てておきます)として普遍的に利用されています。やはり東アジアに固有の一属一種から成っていて、こちらも対応する近縁属の種が、北米大陸東部に隔離分布します。
ドクダミ科は、植物(一般概念の「花」、いわゆる被子植物)のうち、最も祖先的な形質を残した一群(「古草本」と呼ばれたりする)で、昔の「双子葉植物」「単子葉植物」の区分では、「双子葉植物」のカテゴリーには入らないのです(両者を合わせた分類群に対して、より祖先的形質を保有)。
分かりやすく言えば、「進化に取り残された一群」ですね。ということで、ドクダミ科の種は、全部合わせても、ハンゲショウやドクダミ、および対応する北米産の種の、7~8種しかありません。
リンドウ科は、その対極ですね。その数1000種以上(その半数近くが中国大陸に分布)。いわば「繁栄の極にある」植物です(ただし「進化に取り残された」も「繁栄の極にある」も、正確な表現ではないと思うのですが)。
その、対照的な位置付けにある「ドクダミ科」と「リンドウ科」の、一応の共通項が、「漢方」です。
ということで、F先生に、「(胃や喉や胸の苦しさを抑える)リンドウ科の漢方も処方してください」と頼んでおきました。
リンドウ科の薬草として有名なのは、ヨーロッパでは、リンドウ属の「通称ゲンチアナ」Gentiana lutea(見かけは日本のリンドウとは全く異なり、小さな黄色い花を花序に多数つける)。
一方、東アジアでは、センブリ属の「千振(別称:当薬)」と、リンドウ属の「竜胆(“リュウタン”と発音することもある)」や「秦尭(ジンギョウ)」です。いずれも、薬効のある苦み成分を含有します。それらの成分は、リンドウ科の多くの種に(たぶん数100種単位で)共通して含まれている(おそらく薬効の種類や効力は少しずつ異なる?)と思われるのですが、実際に(改良されたり栽培されたりして)利用されているのは、ごく一部の種のみなのですね。
なんか、勿体ない気もします。もっと積極的に(様々な種を“薬草”として)取り入れても良いのではないかと。
まずは、その一つ、「ジンギョウ類」から、スタートしましょう。
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