フルートおじさんの八ヶ岳日記

美しい雑木林の四季、人々との交流、いびつなフルートの音

山田洋二監督の「家族」インタビューを読む

2010-09-07 | 濫読

今日の朝日新聞に山田洋次監督のインタビュー記事が載っていた。テーマは「家族」。成程と感心することしきりだった。大事なところを要約しておこう。

・「家族にも生死が分からず、いつまでも死亡届が出されない高齢者のことを考えると、僕は寅さんを思い出すんです。もしも寅さんが旅先で死んでしまったら、彼の持ち物からは故郷を探すなんの手がかりもなくて、結局無縁仏になってしまうでしょう」
「僕自身も10代の終わりころ両親が離婚して家族がバラバラになりました。…本当に気持ちのよい家族もあるけど、自分たちさよければ、隣近近所や他人はどうなってもいいという家族もたくさんある。…『家族がいいもの』というのは、しょせん幻想、という気がします。
・「53年に小津安二郎監督が『東京物語』で家族の崩壊を予言するような作品を作りました。…
  60年代に入って核家族、マイホーム主義が出てきて家族が小さくまとまる…
  70年代にはすでに『家族の崩壊』が言われてましたが、
  2000年代に入ってふと周囲を見渡すと、昔の概念の『家族らしい家族』がなくなっているのに気付き、愕然とする。」
・「子どもや孫に囲まれた幸せな晩年は、ほとんどの高齢者には準備されていない。僕だって女房がとうとう死んでしまったからひとごとじゃない。」
・「もしも誰かが『寅なんて町から追い出してしまえ』と言ったら『お前なんかに言われたくないよ。確かに寅は出来損ないで困った男だけど、あれだって町内の一人なんだ』 と、かばったんじゃないかな。そういう寛容さ、人間を簡単に切り捨てない価値観を持っている。」
・「寅さんが時々おいちゃんに『出ていけ!』と言われて『それを言っちゃあおしまいよ』と言って飛び出すんですが…『言っちゃいけないことがある前提でケンカする』という難しい技術」を、今の孤独な都市生活で学ぶのは難しい」
・「家族がそれぞれの役割をちゃんと考え、それを心得て行動し、交流することはできるはずです。血なんかつながっている必要はないんです。そういう知的な努力の上にこそ、お互いの愛情がわいてくるんだと思います」
・「小津監督の予言が現実になってしまった今こそ、『どうしたらいい家族がつくれるか』と、真剣に考えなきゃいけないでしょう…時々寅さんたちも『言っちゃおしまい』的なことを言ってしまう。何度も人間関係のシュミレーションをして、それでもしくじりながら努力していく。本当に面倒くさいものだと思います。家族を作り上げていくっていうのは」

今日も午後は、部屋を閉め切って、フルート練習だ。基本的な構えを入念にチェックして、ロングトーンを出す。唇、指、腕などの力を、できる限り抜き、3点確保でバランスを取る。

「毎日の練習」はパターン9.苦手だったこのパターンも大分マシになってきた。高音部をテンポを落とし2度繰り返した。

「ロマンティック・エチュード」はNO16。テンポ76.でやる。旋律がなかなか上手く繋がらない。3連譜のところが慌ててしまうのが問題だ。スムーズに流れるように何度も練習する。次はバッハのポロネーズだが、これもdoubleのややこしい運指を何度も繰り返した。メヌエットは曲調に気を付ける。パディヌリは、確実に音を出すよう努力した。

その後八ヶ岳フルートアンサンブルの「カルメン」をやる。第1楽章を何度もやるが、なかなか上手くいかない。我慢するしかない。第2楽章の高音部を何度も繰り返す。その他の曲は、難しいところを取り出して練習した。

残りの時間を使って今日も「名曲31」を吹き流す、一番楽しい時間だ。今日は、フォーレの「シチリアーノ」「子守唄」、モーツァルトの「アンダンテ」の他に、メンデルスゾーン「春の歌」、ステックメスト「『歌の翼』による幻想曲」、ドンジョン「パン!」などをアトランダムに吹いた。