約1年前に“その2”を書いてから、
続きを書くことを放棄していた。
春頃から、
今年は北アルプスに行けそうにない
とうすうす感じ取っていたために、
山に対する気持ちが薄まってしまったのだ。
せっかく、
前年に久しぶりに山登りを
復活させたのに萎んでしまった気持ちを
どうすることもできなくて。
そして、やっと…
ブログ10周年ということで、
2015年の穂高山行の続きを書こうかと
いう気になった。
いや、ここで書いておかないと、
今年の山に対峙できないような気がしたのだ。
ちなみに、
その1は、コチラ
その2は、コチラ
さて、
<3日目>
テントの中で目を覚ますと、
隣の大学生パーティーは、
まだ真っ暗い中、すでに出発するところだった。
一気に奥穂高岳、前穂高岳を越えて、下山するようだ。
ところで、自分はどうしよう?
その若者たちのように、大荷物を背負って、
日本アルプス有数の危険なルートを一気に越える自信はない。
テントの中でゴロゴロしているうちに、
心は決まった。
というか、時間的に他の選択肢が消えた
と言った方が正しい。
今回のメインだった縦走は諦めて、
午前中は北穂高岳周辺でゆっくり写真撮影しようと。
ごそごそと起き出して、
朝食を作っていると、
東の空が明るくなってきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/2c/0e1c1a951f1801399d7a0046df05e293.jpg)
靴紐をギュッと締めれば、
気持ちも締まり、それまでの迷いも葛藤も消える。
今回、踏破を諦めた奥穂高岳方向。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/3b/0a537a0e10704078e8b4d9ee54f9c2af.jpg)
前穂高岳方向。
下に移っている黄色いテントから這い出してきたのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/5d/c40958d9694d8f3c68bd5f2d22a4c40f.jpg)
8月と言えど、
標高3000mの早朝の空気は身を切るように冷たい。
その冷たさが山の神聖さを際立たせる。
常念岳山頂辺りからのご来光を身体全体に浴びる。
頬にふわっと感じるこの温かみのために
苦しい思いをしてまで登ってきたのかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/7d/eb09f0ee20a73601508b547dbd3c1adf.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/ed/68a86f8c767f68c4ee2e8d6515498734.jpg)
キャンプ場から昨日登頂した北穂高岳までは
歩いて15分くらいなのだが、
その間だけでも心惹かれて、
思わずレンズを向ける光景が次々と現れる。
昨日、何度か往復した道と同じだとは思えない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/20/570f86b5b7e2ebdb31315c33148b4dd5.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/e2/c8e3facf63c0ccde3c20f980d80b8833.jpg)
再び、北穂高岳登頂。
再びと言えど、
恐らく、何度来ても飽きないだろう。
西鎌尾根と槍ヶ岳。
あの夕立と雷。
怖い思いをした過去の体験が昨日のように蘇る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/f1/f6c1e854c17de02f5f727b737f3d592a.jpg)
東鎌尾根と槍ヶ岳。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/35/fbc5c2cea229348c981687d667f8b06a.jpg)
大キレットと槍ヶ岳。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/59/7a33b99b11f067897e5b79253dc59c55.jpg)
昨日は、ここをテント背負って越えてきて、
一気に涸沢まで下った猛者と話をして盛り上がった。
ここもいつかは歩いてみたい。
大キレットの一部。
かなり急峻で、足が震えそう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/ce/9da0d9ddab10e35044c48aac1ebfe0a6.jpg)
北穂高岳山頂でのんびり過ごす。
登ってきては記念写真を撮り、
次へと向かうパーティーをいくつも見送りつつ、
のんびりと風を感じ、風景の変化を心に焼き付ける。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/8f/afcc1afbf08e9ababacde2710e6702ef.jpg)
奥穂高岳~ジャンダルムの稜線。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/ca/085d9f1045c567a4657f295afc388fa5.jpg)
この雲海がねぇ、
奥穂高岳の手前に入ってくることを期待してたんだけど。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/71/60845ebcdfd809c824ff586e5d75e3cf.jpg)
気温が上昇すると、ガスが湧く。
山の日常。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/91/6bea056c3c2a921bae0089ccd2627631.jpg)
そろそろ…
と思いながらも、なかなか腰が上がらない。
いつまでもここにいたい気持ちが強い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/ab/bbdd1289ccffcc4a1844ea4465f74f3b.jpg)
しかたなく、涸沢まで下りる。
本当に、“しかたなく”。
どんどん標高が下がっていく悲しさ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/5b/b3bff4a8ddeacddf5d9ba19c515caba7.jpg)
しかも、
途中で一眼レフの電池が切れて、
ここからは、コンパクトデジカメでの撮影。
涸沢まで下りて来てしまった。
数時間前まで同じ目線にあった
前穂高岳が遥か上に聳え立っているこの現実。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/e1/c0653d358d527d77a611e5da5f8ff2e2.jpg)
<4日目>
朝から予想通り、雨。
それもかなりの激しさ。
2日目に目の当たりにした滑落事故。
小屋の前にあるボードを見ると、
遭難者数、死亡者数が1人増えていたことが
気分を憂鬱にさせる。
この夏の槍穂高連峰で
亡くなられたのは9人目だったかな。
次は自分の身だった可能性もあるわけで、
この悪天候を見越して引き返したことを
正解だと思うことにした。
悔しいけれど。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/ce/db11d8dcf5e4423ed033c2c435970fb3.jpg)
涸沢から上高地へは大雨の中、
ちょっとした川のような登山道を
ほぼカメラを出すこともなく、淡々と歩いた。
それでも、
土砂降りの中、どうしても撮りたかった1枚。
このおかげでデジカメの調子が悪くなって、
後に、使えなくなってしまったのだけど。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/ee/14650944624dbeb7b8ceecb16fe8a564.jpg)
横尾山荘を越えたあたりから、
天気は回復し始め、
梓川沿いを上高地へと歩く頃には、
薄光りが差し始めた。
行き交う登山者たちが羨ましい。
自分も引き返したくなる。
あれだけ登りの苦しさに、
来なければ良かったと後悔したにもかかわらず。
毎回、思うのだけど、
この複雑な気持ちは何なのだろう?
人生において、
その他の状況では感じることのない
この感覚は何なのだろう?
ところで、今年の夏は山に行けるのだろうか?
今のところは、まだ登りたい気持ちは出てきてないけれど、
暖かくなるにつれて、
雪解けが進むにつれて、
身体がうずうずしてくるに違いない。
あの光を、あの風を、あの高揚感を、
身体が覚えてしまっているから。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/06/716bc921b9152aab9d7e43e7f6324cdc.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/53/364d67a4d148f380ab3f8b734e512b0b.jpg)
続きを書くことを放棄していた。
春頃から、
今年は北アルプスに行けそうにない
とうすうす感じ取っていたために、
山に対する気持ちが薄まってしまったのだ。
せっかく、
前年に久しぶりに山登りを
復活させたのに萎んでしまった気持ちを
どうすることもできなくて。
そして、やっと…
ブログ10周年ということで、
2015年の穂高山行の続きを書こうかと
いう気になった。
いや、ここで書いておかないと、
今年の山に対峙できないような気がしたのだ。
ちなみに、
その1は、コチラ
その2は、コチラ
さて、
<3日目>
テントの中で目を覚ますと、
隣の大学生パーティーは、
まだ真っ暗い中、すでに出発するところだった。
一気に奥穂高岳、前穂高岳を越えて、下山するようだ。
ところで、自分はどうしよう?
その若者たちのように、大荷物を背負って、
日本アルプス有数の危険なルートを一気に越える自信はない。
テントの中でゴロゴロしているうちに、
心は決まった。
というか、時間的に他の選択肢が消えた
と言った方が正しい。
今回のメインだった縦走は諦めて、
午前中は北穂高岳周辺でゆっくり写真撮影しようと。
ごそごそと起き出して、
朝食を作っていると、
東の空が明るくなってきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/2c/0e1c1a951f1801399d7a0046df05e293.jpg)
靴紐をギュッと締めれば、
気持ちも締まり、それまでの迷いも葛藤も消える。
今回、踏破を諦めた奥穂高岳方向。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/3b/0a537a0e10704078e8b4d9ee54f9c2af.jpg)
前穂高岳方向。
下に移っている黄色いテントから這い出してきたのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/5d/c40958d9694d8f3c68bd5f2d22a4c40f.jpg)
8月と言えど、
標高3000mの早朝の空気は身を切るように冷たい。
その冷たさが山の神聖さを際立たせる。
常念岳山頂辺りからのご来光を身体全体に浴びる。
頬にふわっと感じるこの温かみのために
苦しい思いをしてまで登ってきたのかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/7d/eb09f0ee20a73601508b547dbd3c1adf.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/ed/68a86f8c767f68c4ee2e8d6515498734.jpg)
キャンプ場から昨日登頂した北穂高岳までは
歩いて15分くらいなのだが、
その間だけでも心惹かれて、
思わずレンズを向ける光景が次々と現れる。
昨日、何度か往復した道と同じだとは思えない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/20/570f86b5b7e2ebdb31315c33148b4dd5.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/e2/c8e3facf63c0ccde3c20f980d80b8833.jpg)
再び、北穂高岳登頂。
再びと言えど、
恐らく、何度来ても飽きないだろう。
西鎌尾根と槍ヶ岳。
あの夕立と雷。
怖い思いをした過去の体験が昨日のように蘇る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/f1/f6c1e854c17de02f5f727b737f3d592a.jpg)
東鎌尾根と槍ヶ岳。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/35/fbc5c2cea229348c981687d667f8b06a.jpg)
大キレットと槍ヶ岳。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/59/7a33b99b11f067897e5b79253dc59c55.jpg)
昨日は、ここをテント背負って越えてきて、
一気に涸沢まで下った猛者と話をして盛り上がった。
ここもいつかは歩いてみたい。
大キレットの一部。
かなり急峻で、足が震えそう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/ce/9da0d9ddab10e35044c48aac1ebfe0a6.jpg)
北穂高岳山頂でのんびり過ごす。
登ってきては記念写真を撮り、
次へと向かうパーティーをいくつも見送りつつ、
のんびりと風を感じ、風景の変化を心に焼き付ける。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/8f/afcc1afbf08e9ababacde2710e6702ef.jpg)
奥穂高岳~ジャンダルムの稜線。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/ca/085d9f1045c567a4657f295afc388fa5.jpg)
この雲海がねぇ、
奥穂高岳の手前に入ってくることを期待してたんだけど。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/71/60845ebcdfd809c824ff586e5d75e3cf.jpg)
気温が上昇すると、ガスが湧く。
山の日常。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/91/6bea056c3c2a921bae0089ccd2627631.jpg)
そろそろ…
と思いながらも、なかなか腰が上がらない。
いつまでもここにいたい気持ちが強い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/ab/bbdd1289ccffcc4a1844ea4465f74f3b.jpg)
しかたなく、涸沢まで下りる。
本当に、“しかたなく”。
どんどん標高が下がっていく悲しさ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/5b/b3bff4a8ddeacddf5d9ba19c515caba7.jpg)
しかも、
途中で一眼レフの電池が切れて、
ここからは、コンパクトデジカメでの撮影。
涸沢まで下りて来てしまった。
数時間前まで同じ目線にあった
前穂高岳が遥か上に聳え立っているこの現実。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/e1/c0653d358d527d77a611e5da5f8ff2e2.jpg)
<4日目>
朝から予想通り、雨。
それもかなりの激しさ。
2日目に目の当たりにした滑落事故。
小屋の前にあるボードを見ると、
遭難者数、死亡者数が1人増えていたことが
気分を憂鬱にさせる。
この夏の槍穂高連峰で
亡くなられたのは9人目だったかな。
次は自分の身だった可能性もあるわけで、
この悪天候を見越して引き返したことを
正解だと思うことにした。
悔しいけれど。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/ce/db11d8dcf5e4423ed033c2c435970fb3.jpg)
涸沢から上高地へは大雨の中、
ちょっとした川のような登山道を
ほぼカメラを出すこともなく、淡々と歩いた。
それでも、
土砂降りの中、どうしても撮りたかった1枚。
このおかげでデジカメの調子が悪くなって、
後に、使えなくなってしまったのだけど。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/ee/14650944624dbeb7b8ceecb16fe8a564.jpg)
横尾山荘を越えたあたりから、
天気は回復し始め、
梓川沿いを上高地へと歩く頃には、
薄光りが差し始めた。
行き交う登山者たちが羨ましい。
自分も引き返したくなる。
あれだけ登りの苦しさに、
来なければ良かったと後悔したにもかかわらず。
毎回、思うのだけど、
この複雑な気持ちは何なのだろう?
人生において、
その他の状況では感じることのない
この感覚は何なのだろう?
ところで、今年の夏は山に行けるのだろうか?
今のところは、まだ登りたい気持ちは出てきてないけれど、
暖かくなるにつれて、
雪解けが進むにつれて、
身体がうずうずしてくるに違いない。
あの光を、あの風を、あの高揚感を、
身体が覚えてしまっているから。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/06/716bc921b9152aab9d7e43e7f6324cdc.jpg)
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