毎日中国報道に接していますので多少のことでは驚かない私ですが、これには愕然としました。標題の通りです。実話です。
台湾・中央社が報じた記事の元ネタをたどっていったら『南方都市報』のレポートで、これが新浪網(sina.com)に転載されているのを拾いました。
●貴州全省の人口の半分がフッ素中毒、地方病根絶が政府の試練に
http://finance.sina.com.cn/xiaofei/shenghuo/20050302/11211396546.shtml
ごく簡単に言ってしまうと、質の悪い石炭を生活で使用していることにより、貴州省の総人口のうち、その半数にあたる1900万人がフッ素中毒やヒ素中毒の関連症状が出ているというのです。
省の総人口の半分ですよ。
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貴州省疾病管理センターの安冬・副主任によると、典型的な症状としては、
■歯が黄色または黒色に変色する。
■足がO脚やX脚に彎曲する(杖なしでは歩けない)。
■腰が曲がったり、背骨が彎曲してラクダのようになる。
■下半身マヒ。
■腕が曲がったまま、真直ぐに伸ばせなくなる。
などがあるとのことです。中毒症状は1970年代から同省西部地区においてみられるようになり、特に同省北西部に位置する織金県荷花村が最も深刻な状況にあるそうです。この村では上記の症状が一般的にみられるほか、村民の身長が175cmを越えるケースはなく、また70歳まで生きる人もごく稀にしかいないというのです。
当初は奇病とされていたようですが、いまでは原因が判明しています。ヒ素やフッ素を多量に含んだ質の悪い石炭を日常生活で使用しているからだそうです。その石炭を燃やす道具にしても不完全燃焼の起きやすいもので、また住居の風通しが悪く、煙が室内にこもり易いというのも一因です。
つきつめてしまえば、結局原因は「貧困」ということになります。
加うるに、この状況が30年以上放置されてきたことにも言葉を失います。貴州省は中国有数の貧乏省です。貧乏なりにこの問題に色々取り組んできたのでしょうが、北京の中央政府はどうでしょう。
「執政能力の向上」とか「科学的発展観」とか、そういう御託はいいですから、胡錦涛はまずこういう状況を何とかすべきではないでしょうか。いや温家宝クン、もうウソ泣きはいいから。「西部大開発」なんて風呂敷広げている場合じゃないでしょう。
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(ここで軌道修正)
ただし、貧困改善の一環とかいって外資企業で働く出稼ぎ農民の給与アップなんて短絡的なことをしてもらっては困ります。広東省が最低賃金制の導入を検討?……ふざけているのでしょうか。
お前ら分際をわきまえろ、ということです。なぜかくも多くの外資が投資してくれているのかを、中共はよく考えるべきでしょう。
「ソフトとハードの至らないところは惜しみなく人命を投入してカバーする」
という「人海戦術」(超低賃金&搾取OK)しか売りがないというのに、それを削ってどうするんだと。
外資から剥ぎ取るなどというのはお門違いもいいところ。やるならまずプチブル化したかの如き富裕層どもから剥ぎ取らないといけません。
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今回は立ち上がりでちょっと筆が滑ってしまったようです。
「愕然としました」
「言葉を失います」
なんて修辞の都合上使ってはいますが、中共のことですし、所詮は他人事。実際にはあまり身を入れちゃいませんので。
うっかり筆が滑ったのは、たぶん写真がよく撮れていたからでしょう。まあ上記のURLに飛んでみて下さい。一見の価値ありです(グロじゃありませんよ)。
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しかし省の総人口の半分に中毒症状、というのはやっぱり尋常じゃないですよねえ。
でも「貧困」を売りにしている国ですからねえ。
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ttp://news.163.com/05/0302/04/1DQH69AA0001124T.html
歯が黄色くなってる人の写真もあります。
このbbsはいいですね。中国人にとってもよほどの衝撃だったことがわかりますし、官への拭い難い不信感をみてとることもできますね。
さすがは『南方都市報』、秀逸なレポートです。
でも北京は今までこの事態を知らなかったんでしょうか。「以民為本」が聞いて呆れますね。
公害問題については色々と聞こえては来るのですが、重要な情報が政治とか外交が中心でこの手のニュースは思いっきり意図的に片隅に追いやられているのではと考えたりします。
しかしいつものことなのでしょうが桁が違いすぎます。どうやったらこれだけ汚染できるのか。モラルそこのけの30年の乱開発は、大地を日に日に汚染、再起不能へむけてまっしぐらという感じです。
本当、あらゆる面で取り返しがつかないことになりつつあるなと思います。
魯迅が4千年の食人の歴史とおっしゃっていましたが(今も食いまくっていると本気で思う)、人が汚染されてしまうと人を食うのもだめになるかも。
これはかなり異例なケースだと思います。『南方都市報』という中国国内では割とマトモな新聞(マスコミとしての正義感が強くて記者が投獄されたりすることもあります)がレポートし、現地当局がその取材に応じ協力したのですから。
普通なら隠蔽されますよね。そういう表に出ない炭坑事故もたくさんありますし、公害の被害者や陳情に上京してきた農民(上訪人士)を救済しようとする民間の動き(維権人士)も、反政府分子のように扱われて逮捕されたりします。
今回も本来なら邪魔が入って然るべきところですが、貴州省は全国の人にこの現状を知って欲しかったのかも知れません。掲載時期も全人代の直前でタイミングもバッチリですし。
炭坑事故で200人が死んで副省長のクビが飛ぶくらいですから、この問題はスケールからいっても中央が直接乗り出すべきものでしょう。それが今までないがしろにされていたことに驚きます。
それから貧乏省ゆえに住民は有毒炭を使うしかなかったという事実、これは中央が本来担うべきバランサーとしての機能が全く働いていないことを示しているように思います。故・趙紫陽氏が指摘した通り、いまの中国は「最悪の資本主義」を地で行っているのではないでしょうか。
「格差」という問題が最も極端な形で表れているものだと思います。
>これって国際機関が動くってことにならないんでしょうかね。
大手ポータルが転載したので全国ニュース扱い、となれば米国あたりのメディアが拾っても不思議ではないと思います。
外電ではとりあえず台湾の中央社が報じていますし。あと反体制系メディアでは「大紀元」が伝えていますね。海外の反体制系中国人からの注進があってもおかしくないでしょう。
人権問題で米中が応酬を繰り返している折りも折り、映像で大々的に取り上げられたら、ちょっとした騒ぎになりそうですね。温家宝もそろそろ目薬なしで涙を流せるだけの演技力は身につけたでしょうし、楽しみです。
でスレを立ててください。
私がやるとエラーになります。
東亜は記者でないとスレ立てができないかと思います。依頼スレに出せば立ててくれるでしょう。
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●貴州全省の人口の半分がフッ素中毒、地方病根絶が政府の試練に
ttp://finance.sina.com.cn/xiaofei/shenghuo/20050302/11211396546.shtml
中国西部に位置する貴州省で、同省総人口の約半分に当たる1900万人にフッ素中毒やヒ素中毒などの症状が出ていると中国紙『南方都市報』が2日、報じた。
貴州省疾病管理センターの安冬・副主任によると、典型的な症状は、
■歯が黄色または黒色に変色する。
■足がO脚やX脚に彎曲する(杖なしでは歩けない)。
■腰が曲がったり、背骨が彎曲してラクダのようになる。
■下半身マヒ。
■腕が曲がったまま、真直ぐに伸ばせなくなる。
などとなっている。中毒症状は1970年代から同省西部地区においてみられるようになり、特に同省北西部に位置する織金県荷花村が最も深刻な状況にある。同村では上記の症状が一般的にみられるほか、村民の身長が175cmを越えるケースはなく、70歳まで生きる人もごく稀にしかいないという。
当初は奇病とされていたが、その後、ヒ素やフッ素を多量に含んだ質の悪い石炭を日常生活で使用していることが原因と判明。石炭を燃やす他目的コンロも不完全燃焼の起きやすいものが使われており、また住居の風通しが悪く、煙が室内にこもり易いというのも一因とされている。
貴州省は中国でも有数の貧困地区。経済成長の立ち後れが廉価な有毒炭の使用や省当局による中毒対策の遅れにつながっているとみられる。
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1109905442/l50
ダイオキシンや重金属汚染も深刻化しているはずです。
Unknownさん、お疲れ様でした。
関連情報の充実を期すべく、ルポ全文から要点を抜き出したものを先刻upしました。宜しければ御参照下さい。
公害関連はきっと当局が必死に隠蔽しているんでしょうねえ。一斉に表に出てきたら大変なことになるでしょうね。
以前ダライラマ14世が「チベットが核廃棄物の投棄場所にされている」と中国当局を非難していましたけど、貴州省のこの状況をみれば大いにあり得るという気持ちになります。
貴州省の砒素中毒、驚くべき内容だったので私のブログに引用させていただきました。
http://ameblo.jp/chihounikki/entry-10014759363.html
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