日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 3月3日付の当ブログ「貴州省、総人口の半分にフッ素中毒症状」で紹介した記事を元に、某巨大掲示板でスレ立てをしたいという有志の方がいらっしゃいましたので、文章を新聞記事風味にするなどちょっとお手伝いしました(※1)。

 ……寝て起きてみたら本当にスレが立っていますね。有志の方お疲れ様です。でもなんか変な気分ですね。

 【中国】貴州全省の人口の半分がフッ素中毒 画像あり [03/04]
 http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1109905442/l50

 いやいや、私の感想などはどうでもいいのです。実は『南方都市報』による元記事はかなり長くしっかりしたレポートで、私が要約したようにサラリと流していい内容ではありません。そこで【補足編】(実は本編?)ということで、原文からかいつまんで一部を訳出したいと思います。

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 とりあえず元記事と、重複になりますがスレ立てに使われている私の要約文から。

 ●貴州全省の人口の半分がフッ素中毒、地方病根絶が政府の試練に
 http://finance.sina.com.cn/xiaofei/shenghuo/20050302/11211396546.shtml

 中国西部に位置する貴州省で、同省総人口の約半分に当たる1900万人にフッ素中毒やヒ素中毒などの症状が出ている。中国紙『南方都市報』が2日、報じた。

 貴州省疾病管理センターの安冬・副主任によると、典型的な症状は、

 ■歯が黄色または黒色に変色する。
 ■足がO脚やX脚に彎曲する(杖なしでは歩けない)。
 ■腰が曲がったり、背骨が彎曲してラクダのようになる。
 ■下半身マヒ。
 ■腕が曲がったまま、真直ぐに伸ばせなくなる。

 などとなっている。中毒症状は1970年代から同省西部地区においてみられるようになり、特に同省北西部に位置する織金県荷花村が最も深刻な状況にある。同村では上記の症状が一般的にみられるほか、村民の身長が175cmを越えるケースはなく、70歳まで生きる人もごく稀にしかいないという。

 当初は奇病とされていたが、その後、ヒ素やフッ素を多量に含んだ質の悪い石炭を日常生活で使用していることが原因と判明。石炭を燃やす他目的コンロも不完全燃焼の起きやすいものが使われており、また住居の風通しが悪く、煙が室内にこもり易いというのも一因とされている。

 貴州省は中国でも有数の貧困地区。経済成長の立ち後れが廉価な有毒炭の使用や省当局による中毒対策の遅れにつながっているとみられる。

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 ……それでは以下に要点や数字の出ている部分などを選んで訳出します。

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 ■生活で使う石炭がヒ素やフッ素を含む有毒炭のため、貴州省西部の住民は数十年にわたりヒ素中毒、フッ素中毒の症状に苦しんでいる。

 ■当局の対策が不十分だったため村民の生活が困窮して中毒患者が広がり、中毒症状が出ることでさらなる貧困をもたらす、という悪循環から抜け出せないでいる。

 ■貴州省疾病管理センターによると、同省西部の交楽郷では1976年に最初のヒ素中毒患者が出た(確認例としては中国初)。現地の小炭坑で産出される石炭はヒ素の含有量が極めて高いが、住民はそれを炊事や暖房、収穫した穀物の乾燥などといった日常生活用の燃料として使用している。このため皮膚、呼吸、消化などを通じてヒ素が体内に入り、中毒症状が出る。

 ■中国科学院・貴陽地質化学研究所が以前実験を行っている。トウモロコシを普通の石炭と、交楽郷で産出されるようなヒ素を含む有毒炭を用いた火で別々に一週間乾燥させ、それぞれマウスに与えてみた。普通の石炭で乾燥させたトウモロコシを食べたマウスにはいずれも異状がみられなかったが、有毒炭で乾燥させたトウモロコシを食べたマウスは15日以内に全て死亡。しかも腸、肝臓、腎臓などに損傷がみられた。

 ■ヒ素中毒患者は貴州省興仁県だけで2000人いることが確認されているが、これは以前行われた大まかな調査であり、現在の実数は把握できていない。貴陽地質化学研究所の試算によれば、同省西南地区で1976年以来確認されているヒ素中毒例は3000件。しかし興仁県だけで2000例にのぼるため、他の6県を加算すれば7万人から20万人がヒ素含有量の高い有毒炭を使用することによる中毒症状の危険にさらされていることになるという。

 ――――

 ■ヒ素中毒が貴州省西南地区で顕著にみられる症例なのに対し、フッ素中毒は同省全域で発生している。貴州省疾病管理センターによれば、歯牙フッ素症(斑状歯)の患者数は1000万人、骨フッ素症は64万人が確認されており、全体の患者数は同省人口の半数に当たる1900万人に達するとみられる(主な症状は冒頭の要約文を参照)。

 ■貴州省防疫站と貴陽地質化学研究所が1979年、フッ素中毒が最も深刻とされる織金県荷花村で実施した調査によると、8歳以上の地元住民の全て(100%)が歯牙フッ素症にかかっており、骨フッ素症患者の割合も村全体の77.6%にも及んだ。

 ■調査チームによれば、荷花村の生活用水、飲料水、収穫して間もない穀物のフッ素含有量はいずれも中国政府が定めた基準の範囲内。しかし石炭のフッ素含有量は598mg/kg、土壌のフッ素含有量は903mg/kgとの数値を示し、同村のフッ素中毒は石炭(フッ素含有量の高い有毒炭)を燃やすことによるものと結論づけられた。

 ■農村部の主要穀物(食用)はトウモロコシだが、収穫期の秋は湿度の高い日が続くため、室内の多目的コンロで石炭を燃やし、その火で収穫したトウモロコシを乾燥させるのが一般的となっている。当地の主要調味料である唐辛子も同じ方法で乾燥させる。しかし使われているコンロが室内に煙をこもらせてしまうタイプのものであるため、穀物も人も、フッ素含有量の極めて高い煤煙の中に置かれることになる。織金県疾病管理センターの調査によると、こうして乾燥されたトウモロコシや唐辛子といった農作物のフッ素含有量は国の基準の数十倍から数百倍にも達する。

 ■貴陽地質化学研究所が興仁県のヒ素中毒蔓延が深刻な地区で実施した検査によれば、室内の空気におけるヒ素の濃度は国家基準の5倍から100倍にも達している。空気中のヒ素は乾燥させるため室内に置かれた食物にも浸入する。このため唐辛子とトウモロコシのヒ素含有量は普通の食物の30~70倍にもなる。

 ――――

 ■これに対し、貴州省当局は煙を室外に排出するタイプの改良型コンロの導入という対策を講じた。この試みは70年代から行われているものの、このために疾病管理センターへと支給される予算は年間20~30万元でしかない。資金不足により、現時点までに改良型コンロを導入した家庭はわずか5万世帯。対策を必要とする家庭は全省で300万世帯に達するため、現在のペースで進めていけば600年を要することになる。300万世帯に一度で改良型コンロを導入するには7.6億元(人民元、以下同)の資金が必要だ。

 ■しかし、この室外排煙を実現した改良型コンロは従来の多目的型(室内排煙)に比べ、炊飯にしか使えないということで不評を買っている。しかも排煙口を1~2年に1回交換する必要があり、そのために100元かかる。貧困地区である貴州省の農民にこの出費は痛い。ちなみに、織金県の山地地区に暮らす農民の平均年収は500元にも満たない。

 ■こうした状況は中央電視台(全国ネットのテレビ局)などを通じて早くから報じられ、中央政府も80年代には問題解決への姿勢をみせたが、現地レベルでは必要な人材が配属されないなど十分な支援を受けることができず、いつの間にかうやむやになってしまった。このため現在はもっぱら地方政府(貴州省当局)に下駄を預けた形になっている。

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 ……ざっとこんなところです。下駄を預けられた貴州省は中国国内でも有数の貧困省ですから、予算不足の話が出てきたように問題解決には余りに力不足です。

 ただ「ない袖は振れない」のかと言えばそこも疑問なのです。というのは、この問題を前回取り上げたときのコメント欄(※1)で読者の方に紹介して頂いたBBSを読んでみたところ、

「俺は貴州人だ。故郷を離れて随分になるが、この間貴陽(貴州省の省都)に戻ったとき、親友が俺を連れて貴陽の変貌ぶりを見せてくれた。それは役人たちの建物(政府庁舎)だ。あの豪華さといったら……。俺は中国の大半の場所に行ったことがあるけど、あれに肩を並べる省なんていくつもない。上の文章(『南方都市報』のルポ)を読んであの豪勢な庁舎を思い出すと、何というか……胸が詰まって、何て言ったらいいかわからない」

 という書き込みもありました。沿海部と内陸部、それに富裕省と貧困省を問わず、貪官汚吏はどこにでも遍く存在しているということでしょうか。問題の根はあまりにも深いです。


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 【※1】当ブログ「貴州省、総人口の半分にフッ素中毒症状」(2005/03/03)のコメント欄参照。

 【余談】余談というより真面目な話ですが、この問題を多くの人に知らしめることは、対中認識を正確にするという意味で非常に意義のあることだと思います。ということで、某巨大掲示板にスレを立てて下さった有志の方、本当にお疲れ様でした。一方で米中が人権問題をめぐってまさに非難合戦を繰り広げているところですから、米国のメディアを動かせればもっと効果的でしょう。英語の達者な方の御支援を願うばかりです。



コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
これも氷山の一角? (90)
2005-03-05 00:41:20
こんばんは。



貴州省の中毒事件を読みましたが、本当にひどいものですね。今まで無策、かつ資金があっても誰もこの公害問題(ですよね)に取り組まないとは。日本を反面教師にするという発想はないんでしょうか。日本の公害問題もこれだけの人口で被害者は出ていません。よく暴動が起きませんね。



そういえば話は変わりますが、町村外相が中国の捏造歴史教育に抗議する姿勢を示しました。



http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=main&NWID=2005030401003911



これでまた中国が切れてくれたら面白いです(笑)。

人民日報でも町村さんは小泉・安倍・中川さん達とならぶ右翼政治家とされています。
 
 
 
Re:これも氷山の一角? (御家人)
2005-03-05 09:14:42
90さん、いつもコメント有難うございます。



貴州省の問題は、どこまでも救いがないですね。結局第一線の人たちだけがむなしい努力を続けている、という印象です。やはり日本とは土壌が違うのでしょう。現在の中共政権はもちろん、封建時代の各王朝においても、「護民官」という立場に徹した官僚がどれほどいたでしょうか。



痛い目に遭うのがいつも最下層の庶民、というのがやるせないですねえ。でも「人海戦術」が中共のモットーであり売りな訳ですから、仕方ないのでしょうね。



町村外相は物腰からして動じない、肚の据わった感じがしていいですね。今回の件、キレるキレない以前に、中国で報道されるかどうかから興味があります。



>人民日報でも町村さんは小泉・安倍・中川さん達とならぶ右翼政治家とされています。



いけません。石原慎太郎氏をお忘れになられては困ります(笑)。

 
 
 
Unknown (御家人)
2005-03-07 10:38:35
90さん、もう御存知かも知れませんが、出ましたよ、町村外相のニュース。新華網です。



ttp://news.xinhuanet.com/world/2005-03/05/content_2653449.htm



人民網にも出ていました。石原慎太郎氏の発言(中国は10年以内に6つに分裂するだろう)と合わせ技にしている香港紙もありました。



さてこのニュース、全人代の中で埋没させるつもりなのか、大きく育てるつもりなのか。後者だと面白いことになりそうです。以前紹介した『人民日報』の珍獣、林治波氏(評論部副主任)に出番が回って来るかも知れませんね(笑)。

 
 
 
日本右翼に思い知らせるぞ!! (90)
2005-03-07 23:08:07
こんばんは。



やはり町村さんの話に反応してきましたか。いや、いいですねえ。町村さんの写真も他の記事ではカラーなのに、この写真は白黒で、陰気な雰囲気となってます(笑)。



>>珍獣

本日人民日報を見ていたら、こんな記事を拾いました。



http://world.people.com.cn/GB/1029/3223798.html



文芸春秋主催で日中問題討論会が開催され、中国側は尖閣諸島運動家、対日賠償請求会運動家、日本の有名大学歴史教授が出席するそうです。尖閣諸島などいかにも珍獣です。



文芸春秋は日本側論客として最初石原知事を考えていたのですが、予定が合わず、櫻井よしこさんと日大歴史教授の秦郁彦教授が参加となりました。このお二人は人民日報の記事だと「日本で大きな影響力を持っている右翼」だそうです。櫻井さんおめでとうございます。右翼認定です(笑)。



秦教授は一般的な有名人ではありませんが、説得力のある議論をする方のようなので、中国も注目したのでしょう。



尖閣諸島運動家の発言を読んでいると、タイトルに書いたような雰囲気で痛いのです。また、石原知事の参加を強く求めていますが、

こぶしを振り上げすぎて勢いあまって転げないよう祈りましょう(笑)。
 
 
 
Re:日本右翼に思い知らせるぞ!! (御家人)
2005-03-09 14:41:02
90さん、情報有難うございます。



秦郁彦教授は近代史で精力的に活動されている方ですね。私は戦史の面で氏の著作にいつもお世話になっています。これに櫻井よしこ氏だと強力なタッグですね。



石原都知事が参加したら、いきなり支那呼ばわりして糞青代表がそれに脊髄反射、そのまま議論が本題に入らずに終わってしまうかもしれません(笑)。



「支那」をそのまま「支那」に訳してくれる優秀な通訳を準備してほしいところです。

 
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