前原外務大臣が外国人からの政治献金を受けていたことで辞任しました。
国会の紛糾のとばっちりだとか、誰かの画策だとか、沈みゆく船からいち早く脱出するとか、いろいろな見方があるようですが、とりあえず政治資金規正法についておさらいしてみます。
外国人からの献金禁止のくだりはここ
第二十二条の五
何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織(・・・上場されている株式を発行している株式会社・・・にあつては、当該定時株主総会基準日において外国人又は外国法人が発行済株式の総数の過半数に当たる株式を保有していたもの)から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。ただし、日本法人であつて、その発行する株式が金融商品取引所において五年以上継続して上場されているもの・・・がする寄附については、この限りでない。
2 前項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものは、政治活動に関する寄附をするときは、同項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものである旨を、文書で、当該寄附を受ける者に通知しなければならない。
確か1項但書は、外国の投資信託などの外国人株主比率が過半数を超える企業が増加した中で最近(確かキヤノンの御手洗会長が経団連会長に就任する前あたりのタイミング(それが原因だったかどうかはわかりませんが))で導入されたものです。
一方で、献金する側にも禁止規定があります。
第二十二条の六
何人も、本人の名義以外の名義又は匿名で、政治活動に関する寄附をしてはならない。
2 前項及び第四項の規定(匿名寄附の禁止に係る部分に限る。)は、街頭又は一般に公開される演説会若しくは集会の会場において政党又は政治資金団体に対してする寄附でその金額が千円以下のものについては、適用しない。
3 何人も、第一項の規定に違反してされる寄附を受けてはならない。
ちなみにこれらへの罰則は、
第二十六条の二
次の各号の一に該当する者は、三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
三 第二十二条の三第六項、第二十二条の五第一項又は第二十二条の六第三項の規定に違反して寄附を受けた者(団体にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)
四 第二十二条の六第一項の規定に違反して寄附をした者(団体にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)
となっています。
そもそも政治団体は政治資金報告書の提出義務があり(これも政治資金規正法で決められています)、寄付した人や団体の住所氏名代表者等の属性を確認するはずで、適法な寄付かどうかの一定のスクリーニングは出来ているはずというたてつけなのでしょう。
ただ、実際上は寄付を受ける際に個人なら住民票を出せ、法人なら登記簿謄本と株主名簿と株主の住民票を出せ、とまで言っていては寄付も集まらないと思います。
なのでこの規定は実質的には実際上は寄付は身元の確かな支持者から受けろ、ということなのかもしれません。
さらに、悪意のある人が巧妙に偽装した罠を仕掛けた場合については22条の6で取り締まるということなのでしょう。
今回の前原大臣も、騙された、引っ掛けられたというのなら刑事告発を先にするのが筋でしょうが、やはり脇の甘さはあったのかもしれません。
また、小沢氏が政治資金規正法違反で強制起訴されていることとのバランスを考えたのでしょうか。
政治資金規正法は、政治資金の流れの透明化に関する報告のところは詳細なのですが、行為規範のところはけっこうザルだったりするのですが(注)、そのかわりに過失の場合でも罰則にかかるようなたてつけになっているのでいざとなるとけっこう効いてきますね。
今回笠にかかって攻めている自民党議員は大丈夫なのでしょうか?
形式犯のリスクを考えると、そのうち政治団体も淘汰され、最終的には政党が献金の窓口になるほうが効率的になるように思いますし、個人的にはそのほうが望ましいと思います。
そうなれば比例区で当選したのに所属政党を移る議員とか、政治団体を世襲する形で実質相続税を逃れるような議員もなくなるし。
(注)
法文上は外国人または外国人が過半の議決権を持つ(上場5年未満の)法人からの寄付が禁止されているのですが、形式的には外国会社の日本子会社が出資する孫会社の寄付は禁止されていません。
買収防衛策における「アルティメット・ペアレント」のような概念はないので、その動機が究極的には本国の親会社の利益になるものであったとしても、孫会社の独自の資金であれば、26条の2で禁止されている「本人の名義以外の名義」にはならないと思います。
また、政治資金報告書のところも抜け道はあるのかもしれませんが、そのへんはよく知りません。