一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

Tweetの補足

2011-03-03 | よしなしごと

民主党中村てつじ参議院議員の不動産仲介手数料の規制緩和と「両手取引」の原則禁止でとりあげられている民主党の成長戦略PTへの提案書の趣旨がわかりにくい件。Twitterで言いっぱなし

わかりにくい。政策議論ってこんなレベルなのかな。引用元のの方が格段に問題意識が明確 RT @: 不動産仲介手数料の規制緩和と「両手取引」の原則禁止

だったので補足。

前提として、住宅市場は新築中心から中古物件の流通に移っていく、一方で流通形態の複雑化から現状の宅建業法の仲介報酬の規制が合わなくなってきていることにふれています。
そして

また流通形態としてはリフォームと売買を組み合わせるようなケースも出てきており、別途コンサルタント手数料を加算する必要が出てくる等、単純な仲介手数料の上限規制が以上のような変化に対応できなくなってきている。

ここがそもそもわからない。
中古物件を業者がリフォームして売主として売る(物件取得とリフォームの内容がセット)のなら仲介の世界ではないです。
一方で中古物件を買ってリフォームを請け負うなら仲介(宅建業)+請負(建設業)に整理できます。「この物件を仲介してやるから俺にリフォームを任せろ」という仕事を認めるのでは諸費者保護にはならないと思います。
また、請負でなく中古物件を買う人にリフォームのアドバイスをする場合も、アドバイスの報酬と仲介は別のものです。
また、リフォーム業者を紹介して業者からキックバックを受け取るとすると、仲介と一体取引としてしまった場合にはかえって利益相反の問題が出てしまいます。

なので、仲介報酬の上限が時代に合わない、という例としては適切ではないように思います。

それに続いて

一方で、流通形態は現実に複雑化してきているので、建前は「仲介」の形態であっても実質的には代理・代行の性質を帯びてきており、単純な現状での引き渡しを前提とする仲介とは異なり、一つの業者が売り手と買い手を取り持つ形態では双方代理のような弊害が生まれている。

上の設例が理解できないので、この段落もわかりません。
「建前は「仲介」の形態であっても実質的には代理・代行の性質を帯びてきており」というのが具体的にどういうことを言うのでしょうか。そもそも宅建業者は取引態様の明示を義務付けられているので「媒介(=仲介)」か「代理」かは明示義務があります。その区分自体を改めるべきという主張でしょうか。
あと「代行」というのが具体的にどのような法律行為を意味するのかもわかりません。
また「一つの業者が売り手と買い手を取り持つ形態では双方代理のような弊害」は「単純な現状での引き渡しを前提とする仲介」であったとしても生じうるし、複雑な形態であれば双方代理のリスクが増加するとすれば、それはリフォーム工事など仲介とは違う部分の問題ではないでしょうか。
そもそも売買当事者双方から手数料をもらう「仲介」という形態がおかしい、とストレートにいえないのは、後ろにある「地方の業者からの反発」への政治的配慮なのでしょうか。

また、大手仲介業者による物件の囲い込みも行われていると指摘されている。

これについては、末尾にも紹介されている不動産業界にもあった“八百長問題”がわかりやすいです。
これ自体は問題だと思うのですが、物件の囲い込みを厳密に禁止して、買い手側の仲介業者は宅建業者のデータベースにアクセスして情報を得るとなると、業者は価格交渉力・物件調査力・契約から引渡しまでを円滑に行なう実務能力で差別化を図ることになりますが、これは一般消費者にアピールするのは難しく、また消費者も不動産取引など一生に何回もするわけではないので業者の選択に悩む結果、結局大手の寡占が進んだりディスカウント業者が増えたりしてしまうおそれもあるのではないかと思います。

提案書に戻ります。

両手取引について「原則」禁止と断っているのは、双方代理的弊害や囲い込みなどの問題が起こらない場合があり得るため。例えば、工務店が不動産業を兼ねているようなケース。品質を担保する供給業者が売主に代わって販売をすることで、品質を保証して売却することができる。

このケースはどのような取引を意図しているのかがよくわかりません。
「工務店が不動産業を兼ねている」会社=「供給業者」と読むのでしょうが、とすると

売主(A)-販売代理+品質保証業者(B)-買主(C)

という取引で
・Aは売主としてCとの契約上の瑕疵担保責任を負う
・BはAの瑕疵担保責任をAに代わって負う/または瑕疵担保責任とは別にCに対し物件の性能保証をする
・BはAからは販売代理を受託する
ということなのでしょうか。
販売代理だとすれば現行でもBから6%とればいいので、別に双方代理の問題はありません。
また「品質保証サービス」は保険や保証業のようなもので、仲介(代理)報酬とは別の契約にすれば現状でも宅建業法には抵触しないように思います。


残念ながらこの提案が成長戦略につながるとは理解できませんでした。

コメント
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