一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『ストレスとはなんだろう』

2008-11-12 | 乱読日記

1930年代にハンス・セリエという科学者によって提唱されたストレス学説の誕生の経緯からその後の発展を解説した部分と、ストレス学説が医学界に受け入れられさらにストレス反応を伝達するホルモンの発見競争などの科学者たちの人間模様を描いた部分が半々の本です。

著者は生理学の科学者で著者の父親がセリエの学説を日本に紹介したという経緯もあり、また、留学先で新物質の発見・特定に寄与した著者の父親やその前の世代の日本の研究者達への思いもあり、後者の人間ドラマの方により力が入っているので、科学教養書(講談社ブルーバックスです)というよりは読み物として楽しめます。

細菌学全盛で感染症以外は病気とみなされなかった頃に発熱や胃腸障害、痛みなど(それらはありふれた症状で「休んでいれば治まる」と治療や研究の対象でなかった)をまさに病気であるとしてストレス学説を打ち立てたセリエの独創性を高く評価しています。

セリエが著書で科学の進歩には新たな研究分野を切り開く「課題発見者」と新たに開拓された研究分野で研究を進めていく「課題解明者」が必要であると論じたことを引用し、著者は「課題発見者」が稀にしか現われないだけでなく、最近の学問の発展に伴う再分化で「課題解明者」 の研究スケールの矮小化を嘆いています。

近年のノーベル賞受賞者の選定は、あらかじめ選定開始時点での学問の動向(悪く言えば流行)に基づいてまず受賞分野を決め、次に決定した受賞分野から受賞者を選定するらしい。実際にノーベル賞受賞者選定委員会は「ノーベル賞は研究分野に対して与えるのである」と公言している。

こういわれると、近年の日本人科学者のノーベル賞受賞は素直に喜んでいいのかわからなくなります。
まあ、少なくとも学問の動向の中心にいることは悪いことではないですかね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どんなジタイになるのでしょうか

2008-11-12 | まつりごと

まだまだ二転三転ありそうですが。

高額所得者は自主的辞退促す 定額給付金、大枠固まる
(2008年11月11日(火)22:46 共同通信)

政府、与党は11日、追加経済対策に盛り込んだ総額2兆円の定額給付金の大枠を固めた。所得制限は設けないが、高額所得者には受け取りを辞退するよう促す。「高額所得」の目安として「年間1800万円以上」を提示する方向だ。

そもそも定額給付金というのはどこからどうやって送られてくるものなのでしょうか。
現金書留で来るのか、郵便小為替とか日銀小切手でくるのでしょうか。
定額給付金を振込むので銀行口座を登録しろ、という振り込め詐欺が出そうですね。

ニュースによると事務手続きの簡素化のために「辞退方式」を考えた といってますが、そうだとすると辞退する人はあらかじめ届け出る、ということなのでしょうか。(どこに届け出るのでしょう?)


わからないことだらけの上に、多分高額所得者もたいして辞退しないんじゃないかと思います。
辞退したら証明書とかバッジをくれる、というのなら見栄を張って辞退する人も出るかもしれませんが。

「辞退しましたか?」という取材だけでしばらくネタが持つマスコミくらいしか喜ばないしくみのように思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする