一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

プロ野球オーナーと特定郵便局長

2005-10-13 | M&A
村上ファンドの言う「阪神タイガース上場」の主張が何となくファンのためという大義名分のもとに一定の共感を得ているのは、プロ野球機構とか「オーナー」制度自体がそもそも胡散臭いところにあるのではないでしょうか。

そもそもナベツネ氏だって読売新聞の「論説主幹」という単なるサラリーマンで、実際に「所有」しているオーナーはオリックス、ソフトバンク、楽天、日本ハム、ロッテ、ヤクルトと半分にしかすぎません(ちなみにオーナー経営がパ・リーグに多いというのは、やはりソロバン勘定だけだと経営が成り立ちにくいようですね)

その「オーナー」たちが楽天の参入問題とか、1リーグ制とか、ドラフト問題とかの問題解決でとても不透明な意思決定をし、さらにその上に何の役にも立っていない「コミッショナー」という名誉職があったりして、説明責任のないこと甚だしいです。


それが今回村上ファンドに妙な錦の御旗を与える事になってしまったのだと思います。


僕自身は、プロ野球機構の改革と、球団の上場は切り離して考えるべきだと思ってます。

以前も言ったように、上場してしまうとサラリーキャップ制など長期的視野に立った改革や球団運営がしにくくなってしまう可能性があるからです。

また、村上ファンドの主張は、構造的には、阪神タイガースの売り先として高値掴みをする買い手として阪神ファンをカモにして、上場益(=利益の先食い)の39%を村上ファンドが回収しようというもので、全然ファンのためにはなっていないと思います。


それなのにオーナー側はきちんと反論せずに、八百長の危険とかわけのわからん理由を持ち出したり、「インチキ野郎」などと品性を疑われる言動をしているのですから、自滅したがっているようにも見えます。

これは財政投融資の特殊法人らによる野放図な使われ方や特定郵便局長の数々の役得が庶民的反感を買っているにもかかわらず、特定郵便局長の団体などがとにかく既得権益擁護で反対活動をくりひろげ、自らを「抵抗勢力」に位置付けてしまった結果かえって郵政民営化を後押しした構図によく似ています。



さらに役者の違いも際立っています。
リング上(株の買い集め)でも場外乱闘でも村上ファンドのほうが1枚も2枚も上手なようです。


阪神球団社長が本社幹部とファン投票会議

(2005/10/12/16:08 大阪日刊スポーツ)

電鉄の筆頭株主である村上ファンドを率いる村上世彰氏が11日、電鉄の西川恭爾社長とのトップ会談で、球団上場の是非を問う場としてファン投票を提案したため。電鉄側が実施するかどうかを含めて対応策を協議した。


村上ファンドはまだ買い増してるんだから、今の時点で会うなら協議なんかする前に、今後どこまで買うつもりなのか、を先に問い詰めるべきです。

そもそも子会社の上場(=株を売る、ということは会社財産の処分)を株主でもないユーザーの投票で決めるということ自体、会社のガバナンスとして相当おかしいと思います(会社の取締役が経営上の意思決定をユーザーの人気投票で決める、というのは善管注意義務を果たしていないように思えるのですが)


「ご意見を伺う」と低姿勢に出たあげく、好き勝手言われて振り回されているわけで、既に村上ファンドのペースですね。


まだまだ混迷は続きそうです。


そういえば、アドバイザリーについた大和證券SMBCはどうしてるんでしょうか?
「買収防衛策のアドバイザリー契約なので、個別交渉への助言は契約のスコープに入っていない」とかいって、何パターンもの(世の中に出ている買収防衛策をまとめただけのような)スキームの提案をしたあげくに、高いフィーだけ取ってたりしそうです。
まあ、そうだったとしても、阪神電鉄が脇が甘いだけなのですが・・・
コメント
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