一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

モンテカルロ法、ラッファー・カーブ、または厳密さということ

2005-02-20 | 乱読日記
昨晩ブログを見ていて、「モンテカルロ法」という言葉に久しぶりに行き当たった。

これはカジノについての法律ではない。

シュミレーションをランダムに繰り返すことで、近似値を求める手法のことを言う。
先のブログでは身近な話を引き合いに出しているが、僕の聞いたのは格付け会社の人か誰かだったと思う。
「何だそれ?」とインターネットで検索した記憶がある。

企業の倒産リスクなどを、何通り(何万通り)も変数を動かしてその結果企業業績がどうなるかをシミュレーションし、倒産の確率を出すんだそうな。
昔は計算があまりに複雑なので、経済への適用は実用的でない、とされていたが、乱数発生方法の改良やコンピューターの能力の飛躍的向上でそれが可能になってきた由。

今回改めてネットで検索してみると、為替分析の世界では「リバーシブル・ジャンプ・マルコフ・チェーン・モンテカルロ法」なるものまであるようだ。

まるで「三菱東京UFJ銀行」みたいだ。

* ちなみに「マルコフ・チェーン」というのは確率論での有名な理論らしいです。

まあ、格付け機関とかリスク分析を専門的にやる会社ならいいんだろうけど、最近パソコンレベルでもいろんなことができるようになったので、「本当に大丈夫か?」というような無責任な指示のもと、不毛な作業が繰り広げられることも多い。
雇用拡大といえば聞こえがいいが、必要以上の慎重さは意思決定の迅速さを阻害しているだけ。

物事を一歩引いて俯瞰的に見てみるというのは大事だけど、交渉相手との関係も含めて自分が客観的に今どういう状況にいるかというのは、厳密にはわかりっこない。だから、「絶対に大丈夫」などということはありえない。

逆に言えば、だから商売が成り立つわけだ。


そこで思い出したのがラッファー・カーブ
レーガノミクス、サプライサイド・エコノミクスの代名詞のように言われたラッファー教授がレストランの紙ナプキンに描いた、というエピソードで有名。

これを知ったのは「誰がケインズを殺したか」という本。これは、表題は軽いけど、ケインズ以降のアメリカの経済政策とそのバックボーンとなった経済理論をわかりやすく書いてある。
もう10年前の出版なのでサプライサイド経済学(とそれへの批判)までだけど、今は文庫も出ている(表紙のデザインはいまいちですが)のでお買い得。

ラッファー・カーブというのは、横軸に所得税率、縦軸に納税額をとって、山型のカーブを描いている。
所得税率はゼロなら当然納税額はゼロ、税率が上がるに連れて税収もあがるが、あるところから効率の税率は勤労意欲を阻害するようになり、税収が下がりだす。そして、税率=100%になると誰も働かなくなるので税収は0になる、ということ。

だから、減税をすれば税収はあがる、という主張につながるらしいのだけど、誰も今の税収がピークを過ぎて右下がりのゾーンにあることを証明していない。

結局政策決定というのは、けっこういい加減になされてしまうという例としてあげられている。


そこまでいい加減に決める(実際の政策論議は当然それだけではないのだろうが)のも問題だけど、神経質すぎてもいいことはない。
そこの加減が難しい。
(ここのところ加減が難しいという結論ばっかりだな・・・)

科学の世界だって、ゲーデルの不確定性原理(証明不能な命題があることが証明されてしまった)や観測問題(光の速度で動くものの位置を観測で特定することはできない)とかから、ニュートン力学の「これが絶対正しい!」の世界から確率論とかカオス、フラクタル、エントロピーなどの世界に入っているわけで、日常生活や仕事で、あんまり厳密にやってもね・・・


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長くなったので続きはこちら


誰がケインズを殺したか―物語で読む現代経済学

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コメント (1)
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