一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ボスニア または ハルバースタム「静かなる戦争」

2005-02-08 | 乱読日記
ノーマンズランドにトラックバックしてもらった記事で、ボスニア紛争をどこまで知っているんだろう、という問いかけがあった。

確かに僕もそんなに知っているわけではなく、読んだ本の中で一番詳しく(わかりやすく)書いてあったのがデービッド・ハルバースタム「静かなる戦争」

これはブッシュ(父)政権からクリントン政権において、地域紛争への介入に関しどのような意思決定をしたかを詳述したドキュメンタリー。
ボスニア紛争やソマリア紛争の経緯とそれに対する米国の関与の意思決定がリアルに描かれている。

それにしても、ハルバースタムは1934年生まれの70歳にもかかわらず、精力的な取材と精緻な分析・整理に基づく圧倒的な描写力には毎回感動させられる。
ベトナム戦争を描いた出世作(もはや古典的名著)の「ベスト&ブライテスト」から35年経過して、なお衰えを見せないところはすごい。

ボスニア紛争に話をもどすと、セルビア人、クロアチア人、ムスリムが600年以上にわたり殺しあってきた歴史、いわば中世からの憎悪が問題をきわめて複雑にしている。
「昨日の砲撃を行なった理由は、西暦925年に遡る。今でもその年の地図を見れば説明がつく」という司令官の言葉にすべてが象徴されている。

ノーマンズランドよりストレートにボスニア紛争特に市街戦の悲惨さを描いた映画としてはウェルカム・トゥ・サラエボがある。


余談だけど、この映画で主人公のイギリス人ジャーナリストの現地人助手の役はERのドクター・コバッチュ(リンク先の写真左から5人目)役と同じゴラン・ヴィスニィックがやってます。


この本はソマリアやルワンダについても、概略触れているし、なかなか日本のマスコミには取り上げられないところなので、非常に勉強になる、おすすめの1冊です。



静かなる戦争(上)-アメリカの栄光と挫折

PHP研究所

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ベスト&ブライテスト〈上〉栄光と興奮に憑かれて

朝日新聞社

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コメント (1)
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