9月15日(月)は敬老の日でした。この日、今年は新聞休刊日です。日経は、東京で<号外>を出したかもしれませんが、当庄和町は、静かなものです。それでも夜は、<世界的金融不安>を、テレビをずっと見ていました。
ネットに向かって、株を売り買いしているわけではありません。
まあ、関係ないんですが、実は、じわっ、じわっと、生活に及んでくるのです。
この日、米国の証券会社、第4位のリーマン・ブラザーズ、第3位メリル・リンチ。倒産です。もっとも日本人感覚の倒産と実態は違うかもしれません。でも、つぶれたのです。
メリル・リンチの東京でのビルは、日本橋の旧東急デパート跡地に“そびえて”います。ペーパー・カンパニーとはわけが違うのですが、ただ庶民感覚では、なんとなく親会社が変わっただけの様相です。日本で、中小企業が倒産すれば、<親父が首をくくった>なんてことがあるでしょう。どうもそんな風でもありません。
身体を動かして働くのでなく、お金を動かすだけの金融世界の話です。
そもそも発端は、昨年夏ごろから急速に問題になったサブプライム危機です。
サブプライム・ローンは、土地の価格が上昇することを見込んで組むローンです。土地価格が上がらなければたちまち支払えません。つまり<貧困者にローンを組ませて破綻させ(結果として破綻させる)たのです。むろん貸した側の銀行も焦げ付きます、莫大な不良債権になります。
信用度の低い人にも金を貸すこと<許した制度>を作ったのです。まさに、末端庶民の<こ金>も巻き上げる制度を作ったのです。信用の低い人に金を貸す規制を緩和したのです。規制をはずし自由な市場にまかせたのです。市場原理主義とか、新自由主義と呼ばれる、1980年代からアメリカが、南米やタイといった不安定になりそうな国の経済政策に導入させた政策原理です。 日本でも構造改革といって導入した政策です。
末端庶民の<こ金>を巻き上げるのは、日本政府が、なけなしの預金の金利をゼロにし、<預金から投資へ>と言っていることも同根でしょう。
末端庶民から<こ金>を徹底的に巻き上げる仕組みを作ります。市民は、サブプライム・ローンで作った家を失い、借金を背負います。一般市民が政府の政策によって、極貧困層に転落させられるのです。
格差が、格差克服への個人の努力が、日本の活力を生むといったのは、今辞めた首相の前の前の首相です。これが構造改革の本質です。なぜか今、新聞では上げ潮派と書かれています。
市場原理主義とか、新自由主義(ネオリベラリズム)、あるいは構造改革の本家のアメリカそのものが財政危機に陥ったのです。何をかいわんやです。
経済政策・景気とウチの生活の関係は、歴史を振り返ってみなければよくわかりません。でもそこには、必ず政治・政策があります。つまり人為的なのです。
でもまあ、今がどんな所にあるのか、よくわかりませんね。
前の、経済財政政策担当大臣の太田弘子さんなら、涼しく<今は、踊り場です>と言ったでしょう。いつも、どんな時も<景気は踊り場です>とおっしゃっていたように思います。今日9月18日、日経株価指数11,489円、今年最安値。
【少しだけまじめに追加(9月19日)】
*サブプライムローンは、<信用力の低い個人向け住宅融資>と新聞に書かれています。所得水準が低かったり、クレジットカードの決済が遅れたことがあったりで、返済能力が劣るとみられる人たちを対象とした住宅ローンです。通常のローンより金利を高めに設定していますが、最初の2,3年は、金利が低く、途中から上がる仕組みです。当時、米国は住宅ブームだったため、ローンの担保となっている住宅価格は上がり、その上がった分で新たにお金を借りれば返済が続けられると考えたのです。
*ところで、住宅ブームのさなか、米国連邦準備理事会(FRB)は、2004年から06年まで、市場金利を引き上げます。住宅ローン金利も上がり、住宅販売にブレーキ、住宅価格は下がり、担保価値も下落しました。
*ローン返済が苦しくなった人は、住宅を担保にして、新たにお金を借りることも、住宅を売って借金を清算することも出来なくなったのです。
*さてさて、次です。通常のローンの焦げ付きなら、貸した銀行が損するだけですが、ここに巧妙な(?)、新ビジネスがあったのです。貸したお金に基づく債権を、高い金利を生む資産とみなし、そこからの金利の分配を受ける権利を受ける<証券>として、金融機関や投資家に売ったのです。世界中の<金余りの?>銀行や証券会社が買ったのです。日本の銀行や証券会社が買ったのです。
*そうして、多数のローンが焦げ付いて、証券が値下がりし、多額の資金を投じていた金融機関などが大きな損をこうむったのです。
*その次は、金融機関の救済に、各国政府が動くという図式になるでしょう。
(日本経済新聞の記事を利用して書きました)