「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

パワーツール4 : 愛情をもって境界を設ける

2014年07月11日 21時15分15秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 境界を定めようとすると、 次のようなことが起こります。

・ BPDの人は、 non-BPDのほうが間違っていると言い、

  言葉で魔法の罠を作る。 その驚異的なパワーから誰も逃れられない。

・ BPDの人は、 ときには微妙な、 ときには露骨なやり方で、

  non-BPDに罪悪感を抱かせる。

 non-BPDの中には、

 ボーダーの人が境界を守るつもりはないと 認めざるを得なくなって、

 関係を終わりにした人もいます。

 しかし、 ボーダーの人が 何年も境界を崩そうとしたあとに、

 境界を守り始めたと言う人もいます。

 あるnon-BPDの男性は 次のように話しています。

 「彼女はいつも 自殺すると言って僕を脅しました。

 僕は、 何か間違ったことを言ってしまわないか ビクビクしていました。

 僕は 他の家族と語り合うようになって、 2つのことに気付きました。

 もっと強くなって、 境界を構築し直さなければならないということです。

 彼女が激怒して 悪口を言い始めたら、 僕は出ていくと 彼女に言いました。

 彼女は激怒し、 事態は10倍も悪化しました。

 でも 僕には覚悟ができていました。

 その場を去るのが 最善策だと納得していたんです。

 僕は数回家を離れ、 1~2日帰らないこともありました。

 僕は彼女に、 状況を改善する必要があると 言いました。

 このままでは僕は壊れてしまうと。

 僕が真剣であることを、 彼女も理解するようになりました。

 とうとうある日、 彼女は僕に謝りました。

 時間がかかりましたが、 状況は改善したのです。

 彼女は自分の行動に 責任を感じるようになりました。

 とうとう僕たちは 心と心で話せるまでになりました。

 「僕は随分苦しんでいる」 と 言うことができました。

 僕は自分自身を 労らなくてはならないことを学びました。

 境界を定めるというのは、 僕たちの関係を 続けるための方法なのです。

 状況は改善する前に まず悪化する、 それを受け入れることが必要です。」

 境界を定め、 最後までそれを貫くことが、

 BPDの人が行動をコントロールできるよう 手助けし、

 関係を改善するためにできる 強力なことなのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕