「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

相手に変化を求めること (2)

2013年03月12日 19時49分47秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

《描写すること (Describe)》

 状況 (でき事) を客観的に、 はっきり描写してください。

 判断を加えたり、 どう感じたかを述べることなく。

 ビデオカメラのつもりになると よいかもしれません。

《表現すること (Express)》

 あなたの気持ちや意見を 明確に表現してください。

 自分の感情には 責任を持ちましょう。

 「あなたのせいで こんな気持ちになった」 とは言わず、

 「私はこう感じた」 と 言ってください。

 前もって考えておくと いいかもしれません。

 あなたが怒っていると、 ボーダーの人は 自分が愛されていることが理解できません。

 彼らを大切に思っていることを、 気付かせてあげてください。

《主張すること (Assert)》

 簡潔に、 境界を主張してください。

 それが正しく、 常識的で  「そうすべき」 だからではなく、

 あなたがそうしたいのだ ということを説明しましょう。

 正当化したり、 長々と説明したり、 議論しようとしないでください。

 「あなたの言うことは分かる。

 でも私の見方は違う。

 そのような振る舞いをやめてほしい」

 というメッセージを 繰り返し伝えてください。

《強化すること (Reinforce)》

 境界から得られる利点を 強化してください。

 プラスの効果について説明しましょう。

 相手をコントロールしようとして、 彼らに恐怖感を与えないでください。

 相手に反抗しているのではなく、

 自分のために行動していることを はっきりさせてください。

 自分がどうしたいかを主張し、

 良い結果になる可能性 (例.楽しく過ごせる) を 強化します。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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相手に変化を求めること (1)

2013年03月11日 21時03分04秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 自分の境界を、 ボーダーの人に伝える番です。

 彼らの あなたに対する行動が、 友人の前や公共の場などでは 違っているとしたら、

 他の状況でも コントロールできるはずです。

 彼らが 行動を変化させるのには、 助けが必要でしょう。

 ただし 境界を守るのを決めるのは 彼ら自身です。

 また、 彼らに 行動の変化は求めるられますが、

 どう感じるべきか 押しつけることはできません。

 「怒鳴るな」 とは言えても、 「怒るな」 とは言えないのです。

 私たちは 不可能なことをしたがります。

 相手の反応を コントロールしたがるのです。

 変化したがるだけでなく、 変化を相手にも 気に入ってほしいと思います。

 うまく自己主張したいと同時に、 称賛や強化を得たいと思うのです。

○ 境界を伝える

 あなたとボーダーの人が 落ち着いていて、 元気なときにするのがよいでしょう。

 うまくいっているときには、

 ノン・ボーダーラインの人も 気分を台無しにしたくないので、

 問題を取り上げたがらないかもしれません。

 その気持ちに打ち勝つべきかもしれません。
 

 コミュニケーションの方法として、  「DEAR」 というものがあります。

 Describe (描写), Express (表現),

 Assert (主張), Reinforce (強化) の頭文字です。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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事実を確認し、 それに忠実に (3)

2013年03月09日 20時08分38秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

○ ボーダーの人の感情を 承認する

 話を理解しやすくするには、 ボーダーの人の感情を 承認する必要があります。

 ( ex. 「君はいま、 傷ついていて、 悲しいんだね」)

 ボーダーの人の感情は、 あなたにとっては意味不明でも、

 彼ら自身にとっては 意味があることです。

 パラフレーズ (要点を言い換える) や、

 再帰的傾聴 (相手がどのように感じていると あなたが思っているか、

 それを相手に伝える) を 組み合わせます。

・ 相手の感情の 良し悪しを判断したり、 否定したり、

  それが 「正当」 かどうか 議論しない

・ 相手の感情を言い換える

・ あなたの見方が正しいかどうか 聞いてみる

・ あなたがきちんと 耳を傾けていることを示す

・ 恩きせがましい態度にならない

○ あなたにとっての 事実を表現する

 相手の感情を確認できたら、  「あなたにとっての事実」 を はっきり述べます。

 事実は、 実際のでき事に基づいていることも、

 あなたの意見を 反映することもあるでしょう。

 ボーダーの人は どちらが 「正しい」 とか 「悪い」 と、

 議論したがるでしょう。

 でも、 正しいことをはっきりさせたい, じっくり説明したい

 という誘惑に負けないでください。

 「あなたは こういうふうに感じているのね。

 でも私の見方は違うわ」

 必要に応じて これを繰り返してください。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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事実を確認し、 それに忠実に (2)

2013年03月08日 20時53分26秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

《責任を返すこと》

 自分自身にとっての事実を 主張したら、

 ボーダーの人の 感情や行動の責任は、 彼ら自身に返さなければいけません。

 あなたは 彼らを援助はできますが、

 彼らの気分を良くするのは 彼ら自身でしかないのです。

 ただ、 診断名を持ち出して 責任を返すことは 賢明ではありません。

 彼らは 侮辱されたと感じるかもしれません。

 「電話の制限に 納得がいかないのは分かったわ。

 電話で嫌なことを言われる 私にも、 気持ちがあると言ったら、

 あなたは気分を悪くするかもしれない。

 非難をしなければ、 あなたと話したいんだと 分かってもらえるといいのだけど。

 ただ、 敬意をもって扱ってほしいだけなの」

 なお、 あなたが間違いをして、 ボーダーの人が怒っているなら、

 あなたは責任を相手に返すより、 分かち合うべきでしょう。

○ コミュニケーションスキルを身に付ける

 ボーダーの人と 話をするときに大切なのは、

 相手の話に 真剣に耳を傾けることです。

・ 次に何を言おうかと 考えない

・ 非難されても、 防衛的になったり、 無視しない

  あとで その話をする機会がくる

・ 相手の言葉, 動作, 表情, 声の調子に注意する

  ボーダーの人の 言葉の裏に隠された 感情を理解する

 あなたとボーダーの人は 異なる言語で話をしています。

 相手がどんなに取り乱しても、 あなたは落ち着いていてください。

 あなたが 友人と映画を観に行って、 ボーダーの人は 見捨てられ不安を感じ、

 あなたが浮気をしたと 非難したとします。

 あなたが 浮気を否定して反論したら、

 ボーダーの人の 本当の問題 (見捨てられ不安) が 明らかにならず、

 いたずらに喧嘩になるだけです。

 どうして浮気をしたと思うのか、 ひとつずつ聞いていくのがいいでしょう。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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事実を確認し、 それに忠実に (1)

2013年03月07日 22時21分24秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ノン・ボーダーラインの人は、 自分の現実感に 自信を持てなくなりがちです。

例.

 あなたが、 ボーダーの人からの電話回数を 制限しようとします。

 ボーダーの人は あなたにわがままだと噛みつき、

 周りの人も、 ボーダーの人はそういうふうにしかできないのだ と言います。

 あなたは混乱し、 自分だけが悪いのかと思ってしまいます。

 でもあなたは、 自分にも 意見や考えや感情を 持つ権利があるのです。

 良くても悪くても、 正しくても間違っていても、 それらはあなたの一部なのです。

 自分のために設定した 境界を心に留めてください。

○ あなたにとっての 事実を主張する

 常識的な電話のかけ方について 議論しても、 現実の問題を避けているだけです。

 あなたには、 大人として

 自分がどのように扱ってほしいかを 決定する責任があるのです。

 「私は あなたたちとは違うの。

 自分自身の気持ちを大切にしたいから、 電話を制限する必要があるのよ。

 気分が悪くなる 批判や非難は聞きたくないの」

 あなたにとっての真実と 相手にとっての真実という、 白と黒の間には、

 灰色の部分があります。

 二人で 同意点を取り決めればよいのです。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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話し合いの用意をすること

2013年03月06日 20時28分19秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの人は 見た目は大人でも、

 情緒面では、 母親に見捨てられたと思っている、

 小さくて傷つきやすい 女の子なのです。

 子供っぽい感情が 大人のやり方で表現されるのです。

 これが、 境界性パーソナリティ障害の本質です。

 現時点では 大人のように振る舞えない人に、 それを期待したり、

 あなたのネガティブな感情を 抑圧して自分を責めても、 事態は複雑になるだけです。

 自分のあるがままの感情を 受け入れてください。
 

 以下は、 自分の境界について話すときのヒントです。

・ 明確にはっきりと

 「私のことを大切にして」 と言うのは 曖昧です。

 「あなたの体の病気のことで、 私を責めるのはやめてほしい」 と 言うほうが、

 分かりやすいものです。

・ 一度にひとつの境界にする

 問題を全て私のせいにしないで, 声を荒らげないで, 悪口を言わないで、

 など一度に言わず、 どれかひとつを選んでください。

・ 簡単なものから始める

 悪口を言わないでと言うほうが、 あまりひどく責めないでと言うより

 分かりやすいかもしれません。

・ 友だちとロールプレイで練習をする

 ボーダーの人の 反応の仕方を変えながら、

 考えて反応するために、 時間をかけてください。

・ 見返りを考える

 勇気, 自尊心, 希望などが感じられるようになります。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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言い争う前に認めること

2013年03月05日 20時25分50秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの人は無意識のうちに、

 自分の感情に合うように 事実をねじ曲げることがあります。

 その時、 事実はどうなのかと議論しても、

 問題の本質 --ボーダーの人の感情-- を 見失うだけです。

 ボーダーの人の事実について 言い争わず、 彼らの感情に対処しましょう。

例. 

事実: 10代の娘はボーダーで、 母親は友人が尋ねてくると 時々ワインを飲む

感情: 母の友人が来ると、 娘は無視されたように感じ、

   抑うつ的になり、 怒りを覚える

娘にとっての事実: 自分のネガティブな感情に 責任を持たない

   感情を母のせいにし、 母はアルコール依存症だと思い込む

  (ボーダーの人にとっては、 それで説明がつけば、 それが正しくなる)

 アルコール依存症だと言われたら、 母は当然 自分を弁護するでしょう。

 娘の見捨てられ不安という 本当の問題は取り上げられません。

 娘にとっての事実に 反論する前に、 その感情を話題とすることで、

 娘の事実を 共有することができるでしょう。

 娘の感情を 充分に表現させます。

 重要なのは 感情だけなのです。

娘 「ママは酔っぱらいだわ!」

母 「怒っているみたいね。

  母親が面倒を見なかったら、 恐いし困るわね」

娘 「ママがアル中だって 言いふらしてやる」

母 「ママがそうだと 思ってるみたいね。

  あなたは 自分の感情や意見を 持つ権利がある。

  でもママも 気持ちや考えを 持っていいわよね」

娘 「ママの友だちは嫌いよ」

母 「彼女たちと過ごすのは楽しいのよ。

  あなたと過ごすのも楽しいの。

  昨日も買い物に行ったじゃない?  覚えてるでしょ」

娘 「そうね。 でもあの人たちと お酒を飲んでほしくない」

母 「あなたが嫌がってるのは 分かってるわ」

 母は、 酒を飲むことと酔っぱらうことが 同じだとは同意せずに、

 娘の気持ちを 鏡のように映し出しています。

 娘を当惑させている 本当の問題について、 娘の考えや見方を 無視することなく、

 自分の考えや見方を 表現できたのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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BPDの行動を  「鏡」 のように映し返すのに 役立つ方法

2013年03月04日 21時10分14秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より

1. ゆっくり深呼吸する

  ストレスを感じると、 呼吸は短く浅くなりがちです。

  戦うか逃げるかの 反応が始まると、 論理的に考えるのが 難しくなります。

2. 灰色の領域を見続ける

  ノン・ボーダーラインの人は、

  ボーダーの人のスプリッティングを、 たやすく 身に付けてしまうことがあります。

  本来備わっている 微妙な領域を 心に留めてください。

  相手の激しい反応に 巻き込まれないよう、 自分の直感と判断を 信じてください。

3. あなたの感情とボーダーの人の感情を きちんと分ける

  ボーダーの人は 自分の感情を相手にも感じさせる  「投影」 を用います。

  無力感や怒りを感じたら、 それは、

  相手の無力感や怒りが 投影されているのかもしれません。

4. 自分の意見を承認し、 心を開く

  ボーダーの人は鋭く 人の心を見抜くことができます。

  従って、 ボーダーの人が何を言っているのか、 客観的に考えてください。

  あなたにとっての現実も、 他の人にとっての現実と 同じように正当なのです。

5. タイミングを計る

  ボーダーの人が、 拒絶された, 無力であるなどと感じているときは、

  あなたに 強烈に反応するかもしれません。

  事態が落ち着くまで、 会話は先延ばしにしましょう。

6. 自分自身の気分に注意する

  傷ついたり、 孤独や悲しみを感じているときは、

  元気になるまで 待ったほうがいいでしょう。

7. 自分の感情は自分で選べる

  どう感じるかは その人次第です。

  ボーダーの人からの非難を信じて 罪悪感を感じるか、

  それは真実ではないと知って 受け取らないか、 あなたは選択できるのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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自信をもって、 はっきりと あなたの要求を主張すること

2013年03月03日 20時56分25秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
● 「スポンジ」 をやめ、  「映し返し」 を始める

 ボーダーの人に対して、 ふたつの対応の仕方があります。

 スポンジのようになるか、 鏡のようになるかです。

 ボーダーの人の投影を そのまま受け入れ、

 彼らの苦痛や怒りを スポンジのように吸収してしまう 人たちがいます。

 ボーダーの人を助けているという 幻想をいだいていますが、

 それはブラックホールを 満たそうとするようなものです。

 実際には、 ボーダーの人の 防衛機制への報酬を与え、 強化してしまっています。

 ボーダーの人は、 もっと早く、 もっと穴を埋めてくれと 急かせます。

 でも、 ボーダーの人の苦しみを、 鏡のように 持ち主に映し返すことが必要です。

 空虚感は ボーダーの人自身のものであり、

 埋めることができるのは 彼ら自身でしかないのです。

○ 自分の境界に焦点を当て、 それを守る

 相手の苦しみを 吸収する代わりに、 以下のことをしてください。

・ 相手に何と言われても、 自分の現実的な感覚を 見失わない

・ 痛みは、 本来の持ち主(ボーダーの人)に返す

・ ボーダーの人も 自分の感情に対処できるようになると、

  自信をもって言ってあげる

・ 自分の感情や反応を コントロールできるのは、 その人自身だけ

・ 受けいられる行動, できない行動には、 限界がある

・ 限界をはっきり伝え、 それに基づいて行動する

 自分自身や子供を 守る必要もあります。

 それは 相手の行動の良し悪しを 判断するのではなく、

 自分や自分の感情を 尊重することです。

・ 自分や子供を 虐待の状況から離す

・ ボーダーの人に、 彼らの行動の責任を 持ってもらう

・ あなた自身の気持ちや願いを はっきり述べる

・ 悪口や突発的な行動は 無視する

・ 怒りの最中にある人との 話を拒否する

・ 人前で あなたに恥をかかせる言動は やめてもらう

・ 単純に 「ノー」 と言う

 ボーダーの人の行動に対して、

 ボーダーでない人が 同じことをした時と、 同じ対応をしましょう。

 自分個人の限界を見つけたら、 全ての人間関係に役に立つでしょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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