「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「無意識の彷徨」 (5)

2007年04月13日 20時55分58秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46646983.html からの続き)
 

○同・心理課(回想終わり)

  部屋の隅の机に箱庭(砂の入った平たい
  箱に色々なミニチュアが並んでいる)が
  置いてある。
  棚には箱庭療法に使う様々な人形やミニ
  チュアなどが並んでいる。
  友辺、箱庭のミニチュアを何気なく手に
  取って箱庭に置いたりしている。
友辺「田所さんは、よくある芝居だって言う
 んだ」
なつみ「(コーヒーを入れながら)詐病--
 つまり嘘をついてる場合もあるだろうけど、
 記憶に障害をきたすのは実際にもあること
 よ、生活史健忘とか」
友辺「(椅子に座る)記憶はそのうち戻るも
 んなのかね?」
なつみ「(カップを勧める)それはいろんな
 ケースがあるけど」
友辺「なつみ先生の腕で記憶を戻すことはで
 きない相談かな? 本人が覚えてないこと
 には捜査が進まないし、上からも要請され
 てるんだ」
なつみ「とにかく会ってみないとね。心理テ
 ストや鑑別診断もあるから」
友辺「俺にはどうも奴が嘘をついてるように
 は思えないんだよ」
なつみ「その人を信じたのね。一応合格点
 (笑)」
友辺「(苦笑)心理士の相方としてか?」
  くすっと笑うなつみ。
  

○同・面通しの部屋

  マジックミラーの向こうに立っている裕
  司と数人の男。
  マジックミラーの手前になつみ,友辺,
  田所がいる。
  なつみ、男たちの顔を見比べる。
  なつみに注目する友辺と田所。
  身の置き所がない様子の裕司。
友辺「(なつみに)昨日の男、この中にいる
 かい?」
なつみ「(裕司を見て慎重に)……左から二
 人目の人だと思う、暗かったんだけれど…
 …」
友辺「よく見て、重大なことだから」
なつみ「(しっかりと)……ええ、あの額の
 傷痕、間違いない」
田所「決まりだな、血痕の血液型もガイシャ
 のと一致したし」
  不安そうな裕司。
なつみ「………(裕司の表情や様子をじっく
 り観察する)」
 
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46897458.html
 

「明日、君がいない」

2007年04月12日 12時45分43秒 | 映画
 
 オーストラリアの新鋭 ムラーリ・タルリ監督が、

 わずか19才で取り組んだ という映画です。

 友人を自殺で失い、その半年後に 自らも自殺しかけたという 実体験を元に、

 2年の歳月をかけて 作り出したといいます。

 6人の高校生のエピソードを、時間と視点を 巧みに交錯させながら 描いていきます。

 インタビューを交えながらの 語り口といい、

 伏線をふんだんに散りばめた 構成といい、

 ダイナミックで流麗な カメラワークといい、

 とても 映画制作が未経験だとは信じられない 驚くべき技巧の作品です。

 若いエネルギーで作ったというより、卓抜したテクニックで表現されています。

 登場人物のうち 自殺したのは誰なのかという サスペンスをからめ、

 舞台はほとんど学校のみという空間で 少年たちの内面に迫ります。

 同性愛や 身体障害という 苦悩を抱えた少年、

 成績優秀で 小説や音楽の才能もある少年、女生徒にもてるスポーツマンなど、

 様々な個性を持った人物たちが 互いに係わり合いながら 話は展開していきます。

 初めから自殺の動機を うかがわせる少年もいますが、

 何の悩みもないと思われた少年たちも、実は誰にも言えない秘密や葛藤、

 とんでもない問題などを 抱え込んでいることが、次第にあぶり出されてくるのです。

 決してあざとくない 自然な演出も秀逸でした。

 ただラストシーンだけが リアリズムに欠ける感が あったのが残念です。

 みずみずしくも生々しい 青春の苦しみを、

 鮮烈に見せつけてくれた 一作でした。
 

「ツォツィ」 (2)

2007年04月11日 10時56分02秒 | 映画
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46674911.html からの続き)

 暴力と蔑みのなかで育った子は 暴力と敵対の生き方しかできないし、

 愛情を与えられた人間は 優しさやいとおしさなどの 感情が育まれるでしょう。

 この映画は正に そういうことを表現しています。

 それは 境界性人格障害の人も同じです。

 愛情というものが 人間にとって如何に大切なことか。

 全ての子に 適切な愛情が注がれる世の中に なってほしいと願うばかりです。

 

 この映画は 殺人や暴力的なシーンがあるという理由で、

 映倫のR-15指定 (15才以下は鑑賞禁止) を受けています。

 しかし 命の大切さや罪の意識に目覚め、人間としての希望を 描いている作品だとして、

 少年たちにも見せようという運動が 各所で起こっているようです。

 試写の日も上映後、中学生に見せてもいいかどうか というアンケートが行なわれました。

 結果は圧倒的に 見せるべきだという意見が 多数を占めました。

 見せないほうがいい という人たちも

 子供のことを 真剣に考えての末だったでしょう。

 でも 僕自身が中学生のときのことを考えてみると、

 やはり観て感動するだろうし 得るものが大きい作品だと思います。

(小学生だとショックが 大きいかも知れませんが。)

 ぜひ運動が実を結んで 中学生たちにも公開されるように なってほしいものです。
 

「ツォツィ」 (1)

2007年04月10日 10時53分54秒 | 映画
 
 南アフリカ映画で初めて アカデミー賞外国語映画賞を 受賞した感動作です。

 今なお人種差別が残り、貧困や病にあえぐ 南アフリカ。

 殺伐としたスラム街に暮らす ツォツィ(=不良)と呼ばれる少年。

 本名も名乗らず、盗みや博打を生業とし、人殺しさえも厭わない。

 暴力に明け暮れる すさんだ生活を送っているツォツィが、

 ある日 強奪した自動車に 生後数ヶ月の赤ん坊が 乗っていたのに気付きます。

 そこから 彼の心に変化が芽生えていくのです。

 人を傷つけることを何とも思わない ツォツィですが、

 さすがに可愛い赤ん坊を 虐げることはできず、何とか世話をしようとします。

 でも彼に 赤ん坊を育てることなど できるはずもありません。

 乳幼児を抱える 近所の若い女性に 母乳を飲ませてもらおうとしますが、

 そんなときでさえツォツィは、女性の家に押し入り 銃で脅して

 授乳させる方法しか知りません。

 しかし 赤ん坊に乳を与える女性を見ながら、ツォツィは 自分の母親や

 自分の幼いときのことを 思い出します。

 ツォツィ自身、父親の暴力的な環境で育ち、

 病気の母親から遠ざけられて 愛情を拒絶されてきました。

 ツォツィは そんな過去を封じ込めて 生きてきたのでした。

 忘れていた人間らしい感情が 次第に彼の中に蘇っていきます。

 いつしかツォツィは 女性の家に入ろうとするとき、

「頼む、入れてくれ」 と言い、

 女性が差し出した食事に 「ありがとう」 と礼をするようになるのです。

 そして 赤ん坊の父親は、ツォツィに対して 怒りや憎しみではなく、

 「信頼」 で応えようとしました。

 恐らくツォツィが 生まれて初めて受けた、人間としての 「品位」 でしょう。

 ラストは無上の 感動的なシーンでした。

 上映後、外に出てもまだ 目が潤んでいたような映画は 僕は初めてです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46701962.html
 

「無意識の彷徨」 (4)

2007年04月09日 11時16分05秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46599520.html からの続き)

  
○警察署・心理課

  心理課のプレート。
  友辺がドアにもたれて待っている。
  徹夜した様子で、襟とネクタイを緩め、
  不精髭が覗く。
  やって来るなつみ。
なつみ「あ、友辺さん、おはよう」
友辺「(なつみに視線だけ向けて)もう来る
 かと思って(口許で笑う)」
なつみ「徹夜? 朝からひげづらで」
友辺「(髭をさすりながら)シブい?」
なつみ「(苦笑)ブルース=ウィルスならね
 (バッグからキーを出しドアの鍵を開け
 る)」
友辺「(ドアから体を起こして)男が見つか
 ったよ。本人は無傷だ。服に付着してた血
 痕は被害者の返り血かもしれない」
なつみ「その人が加害者だったの? 本人は
 何て?(ドアを開け中に入る)」
  部屋の中にはなつみの机、面接用のテー
  ブルと椅子。
  本棚に並んだ心理関係の本。
友辺「(苦い顔をして)それが……(なつみ
 の後から部屋に入る)」
なつみ「うん?(机の上を簡単に整理しなが
 ら)」
友辺「……覚えてないんだ」
なつみ「え?」
 

○回想/同・取調室の中

田所「記憶喪失ぅ?(愚弄するように)」
  身を固くして椅子に座っている裕司。
  机を挟んで大きな態度で座っている田所。
  友辺は立って見ている。
田所「『ここはどこ? 私は誰』ってかぁ
 ?」
裕司「………(萎縮して)」
田所「(すごんで怒鳴る)ふざけるんじゃな
 い! お前みたいな芝居を打つ奴はよくい
 るんだ! 記憶喪失なんざ作り物のドラマ
 ん中だけの話だ! 20年間刑事やってて、
 本物にお目にかかったことはないんだよ
 !」
裕司「(頭を抱えて)……でも……何も分か
 らないんです……!」
  友辺、裕司の学生手帳を裕司の前の机に
  ポンと投げる。
友辺「(暗唱して)……西脇裕司、21才…
 …」
裕司「………(こわごわ手帳を手に取って見
 る)」
友辺「東院大学経済学部3年。住所は足立区
 北千住……」
  裕司、ぎこちない手つきで手帳のページ
  をめくり、自分の顔写真に見入る。
友辺「………」
 

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46766123.html  
 

「バベル」

2007年04月08日 13時35分51秒 | 映画
 
 菊池凛子が アカデミー賞 助演女優賞ノミネートで話題の、

 「バベル」 の試写を きのう観てきました。

 モロッコの遊牧民の少年が ジャッカルを退治するために 試し撃ちした銃弾が、

 アメリカ人観光客に 当たってしまったところから、

 関わる人々の歯車が狂い始め、それぞれ事態は最悪の方向へと 進んでいきます。

 モロッコの少年,アメリカ人観光客,メキシコ,日本で、

 別個の4つのできごとを 巧みに時間をずらしながら 見せていく構成は、

 実に卓越していました。

 メキシコ出身の アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は、

 「21グラム」 に続く 長編映画3作目ながら

 見事な力量を 見せてくれました。

 予測できない苦境に 陥っていく人物たちの 非情なドラマを、

 ラストでは救いの物語へと 収束させていきます。

 タイトルの 「バベル」 は 旧約聖書の 「バベルの塔」 から取ったもので、

 言葉や心が通じなくなってしまった 人間世界を表しています。

 その意味では 菊池凛子扮する 日本の聾の少女は、

 言葉が伝わらない 孤独な魂を 象徴する役割です。

 無言の演技で 屈折した内面の喜怒哀楽を 表現していました。

 26才の菊池凛子が 女子高生を演じて 若干無理を 感じる所もありましたが、

 はじけた笑顔を見せるシーンなどは 充分可愛い少女でした。

 「境界に生きる心子」のドラマ化では、菊池凛子を主役とする 企画にしたら

 いいのではないかと 考えた次第です (^^; )。
 
(参照: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46383043.html )

 

[余話]

 きのうは 都知事選投票日の前日。

 σ (^^;)は某候補に 気持ちが傾いていたものの、

 今回の選挙は情報不足で 誰に投票するか 最終決定しかてねていました。

 すると 「バベル」 の試写の前、駅でその某候補が 演説していました。

 時間があったので 聞いていましたが、それで 投票する気持ちが決まりました。

 これも何かの縁-- 「共時性」 かもしれません。

 「共時性」 は 「意味のある偶然」 ということで、

 単なる偶然として やり過ごしてしまうか、

 意味あるものとして 捉えるかどうかが 大事なことだと言われます。

 今日は その候補に投票してきます (^^; )。
 

「無意識の彷徨」 (3)

2007年04月07日 15時59分27秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46579724.html からの続き)


○河川敷近くの路上/夜

  パトカーがゆっくり走っている。
  助手席に友辺、運転席に警官。
  前方に裕司がうずくまっている。
  友辺と警官、それを認める。
  パトカーを裕司に近づけ、友辺,警官、
  降りてくる。
友辺「(裕司を覗き込み)もしもし、どうし
 ましたか?(裕司の体を軽く揺する)」
  動かない裕司。
  警官が裕司の体を懐中電灯で照らす。
  Tシャツに真っ赤な血。
警官「どうしたんです? これは」
  小さなうめき声を上げる裕司。
  友辺のほうに虚ろな顔を向ける。
  裕司の視線は宙を漂っているかのようで
  ある。
  額に傷痕がある。
  それを確認する友辺。
  警官、懐中電灯で裕司の顔を照らす。
  光が裕司の目に当たる。
裕司「(光に激しく驚き)ぅあッ……!?」
  顔を上げた裕司の目に、パトカーの赤い
  ランプの点滅が飛び込んでくる。
裕司「ああ~~………!!(ひどく怯えて逃げ
 だす)」
友辺「待て!」
  友辺,警官、裕司を抑えようとする。
裕司「わあぁ~~……!!」
  錯乱して友辺の腕を振り払う裕司。
友辺「おとなしくしろ!」
  死に物狂いの裕司、やたらに手を振り回
  し一発が友辺の顔を見舞う。
友辺「く……ッ!」
  友辺、裕司を組み伏せる。
  手錠を取り出して素早く裕司の腕にガチ
  ャリと掛ける友辺。
友辺「公務執行妨害だ……!」
  痙攣するように震えている裕司。
 

○警察署・外景/翌朝
  

○同・正面入口

  なつみが出勤してくる。
なつみ「(警備の警官に)おはようございま
 す(笑顔)」
  敬礼して返す警官。
  なつみ、入っていく。
  

○同・廊下

  なつみ、すれ違う顔見知りの職員に軽く
  笑顔で会釈しながら歩いていく。
掃除のおばさん「やあ、おはよう、女刑事さ
 ん」
なつみ「おばさん、あたし刑事じゃないって
 ば。何回言ったら分かってくれるの?(
 笑)」
おばさん「あ、先生だっけ? ま、似たよう
 なもんでしょ?(あっけらかんと笑う)」
なつみ「先生でもないんだけどなぁ・……
 (苦笑)」

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46646983.html
 

「無意識の彷徨」(2)

2007年04月06日 20時39分36秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46546835.html からの続き)


○走るパトカーのサイレン
 

○民間の駐車場

  傷害事件の現場。
  停車したパトカーと救急車の赤いランプ
  が闇夜にきらめく。
  友辺,田所の姿も見える。
  警官たちが辺りを調べている。
  救急隊員が怪我した中年サラリーマンを
  担架で救急車に運び込む。
田所「(被害者を横目で見送り)オヤジ狩り
 か……酔っぱらい狙いの強盗だな」
  友辺、メモを取りながら目撃者のOLに
  聴取している。
OL「(興奮気味に)3人くらいであの人
 (被害者のほうを指さし)を襲ってたんで
 す……殴ったり蹴ったり……!」
友辺「犯人の年格好は?」
OL「……二十歳くらいで……そう、ゴーグ
 ルをかけてる人がいました……」
  手帳に書き込む友辺。
  赤く瞬くランプ。
 

○なつみのマンション・寝室

  パジャマに着替えているなつみ。
  電話が鳴る。
なつみ「(受話器を取る)麻生です」
友辺の声『俺、友辺。悪い悪い、さっきは。
 田所さんにいきなり電話切られて』
なつみ「(電話機を持ってベッドに座る)そ
 うじゃないかと思った(苦笑)」
友辺『あのあと何ともなかったか?』
なつみ「うん、大丈夫。事件?」


○事件現場

  携帯電話をかけている友辺。
友辺「河川敷の近くで傷害があったんだ。な
 つみが見た男、服に血が付いてたっていう、
 何か関係があるかもしれない。どっちの方
 向から走って来た?」
なつみ『線路の北の方』


○なつみの寝室

友辺『男の特徴は?』
なつみ「(寝ころんで)ええと……二十歳く
 らいで……Tシャツにジーパン……」


○インサート

  車窓の光に照らしだされた裕司の顔。


○なつみの寝室

なつみ「あ……額に傷痕があったと思う、小
 さいけど……」


○事件現場

友辺「(メモしながら)そうか、細かいとこ
 までよく見てたな。一応合格点だ(笑)」
 

○なつみの寝室

なつみ「刑事の相方として? おあいにく、
 あたしはあたしですから(笑み)」
  
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46599520.html
 

「無意識の彷徨」(1)

2007年04月05日 13時38分07秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
 昔、某シナリオコンクールに応募した シナリオを連載します。
 臨床心理士を主人公にした話です。


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登場人物

 麻生 なつみ(29才・臨床心理士)
 友辺 孝浩(34才・刑事・なつみの恋人)
 西脇 裕司(21才・学生)
 田所 克夫(49才・刑事)

 西脇 則子(34才・裕司の母・故人)
 岡本 和信(56才・裕司の伯父)
 岡本 俊子(52才・裕司の伯母)

   *   *   *

○河川敷上の路/夜

  帰宅途中のなつみ。
  辺りに人けはない。
  前方に鉄道の高架橋。
  その下の暗がりから、よろよろと走って
  くる人影が現れる。
  男(裕司)は茫然と我を失ったようであ
  る。
なつみ「?………(訝る)」
  裕司が近づいてくると、Tシャツが真っ
  赤な血に染まっているのが見える。
なつみ「!?……(驚)」
  一瞬ひるむなつみ。
  裕司、なつみの目の前まで来る。
なつみ「(裕司を止めるように)……どうし
 たんですか……!?」
  そのとき高架橋を電車が轟音を立てて通
  過する。
  電車の車窓の明かりに照らしだされた裕
  司の顔が、一瞬なつみの目に飛び込んで
  くる。
  裕司の額には小さな古い傷痕がある。
  電車の音と光に驚いて反応する裕司。
裕司「わあ……!!(思わずなつみを突き飛ば
 す)」
なつみ「あ……!(道端に倒れる)」
  裕司、頭を抱えるようにしてよろよろと
  走り去る。
なつみ「待って……!(立ち上がろうとす
 る)あ、痛……!!(足首に痛みが走り再び
 うずくまる)」
  なつみは突き飛ばされたときに軽く足を
  痛めたようだ。
  裕司の姿が闇に消えていく。
なつみ「………」
  

○警察署・捜査一課

  デスクで新聞を読んでいる友辺の携帯電
  話が鳴る。
  携帯電話を取る友辺。
友辺「はい、友辺です……ああ、なつみ(顔
 がほころぶ)」
  隣の席の田所がじろりと視線を送る。


○路上

  足をさすりながら携帯電話で話している
  なつみ。
なつみ「友辺さん、今ね、不審な男の人とぶ
 つかったの……服が血で汚れてて……よろ
 よろと走り去っていってしまったんだけど
 ……」
友辺『なつみ、怪我は? 今どこだ?』
なつみ「大丈夫……河川敷の線路の下だけど
 ……」


○警察署・捜査一課

友辺「迎えに行こうか?」
なつみ『あたしは心配ない……それよりその
 人の様子がおかしくて……』
  田所の電話が鳴り、受話器を取る田所。
田所「捜査一課……」
友辺「(なつみに)どんな男だった?」
なつみ『うん……何か茫然としたような感じ
 で……』
友辺「負傷してたのか?」
  田所、受話器を切り、いきなり友辺の腕
  を掴んで立ち上がらせる。
田所「行くぞ、事件だ!」
友辺「(驚いて)田所さん……!?」
田所「のんびり女と話してる場合じゃない!
 (友辺の携帯のスイッチを切ってしまう)」
友辺「あ……!?」
  田所に無理やり連れられていく友辺。


○路上

なつみ「(いきなり切れて)?……」
  溜め息をついて電話を切るなつみ。
  
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46579724.html
 

読売新聞 「病んだ心に 『認知行動療法』」

2007年04月02日 20時55分39秒 | BPDの治療について
 
 昨日の読売新聞 「くらし健康」欄の 連載記事 「病院の実力(42)」 に、

 「病んだ心に『認知行動療法』」という 記事がありました。

 認知行動療法は パーソナリティ障害にも 適用されます。

 治療者が患者と 対話を重ねて、「認知のゆがみ」 を修正していき、

 実際に行動に移して 状況に慣れ、自信を付けていくものです。

 薬と併用することで 効果があると言われています。

 個人療法と グループ療法があります。

 日本ではまだ あまり普及していませんが、

 パーソナリティ障害の認知行動療法を 実施している施設の 一覧が載っていました。

 以下に列挙してみますので 参考になったらと思います。
 

「ヒヨドリ医院」 茨城県ひたちなか市

「上毛」 同県前橋市

「久喜すずのき」 埼玉県久喜市

「志津クリニック」 千葉県佐倉市

「東京女子医大神経精神科」 東京都新宿区

「東京女子医大女性生涯健康センター」 同

「国立精神・神経センター武蔵」 同小平市

「目白ジュンクリニック」 同豊島区

「あいクリニック神田」 同千代田区

「原田メンタルクリニック」 同

「第一荻窪大森クリニック」 同杉並区

「洗足クリニック」 同目黒区

「ささきクリニック」 同府中市

「洗足ストレスコーピング・サポートオフィス」 同大田区

「相模ヶ丘」 神奈川県相模原市

「メンタルクリニックよこはま」 同横浜市

「横浜心理相談センター」 同

「金沢医大神経科精神科」 石川県内灘町」

「メンタルクリニック・クラルス」 静岡県浜松市

「藤田保健衛生大精神科」 愛知県豊明市

「心理カウンセリングルーム」 三重県津市

「音羽」 京都府京都市

「メンタルヘルス京都」 同

「住友」 大阪府大阪市

「南心堂鍼灸治療室」 同寝屋川市

「とよだクリニック」 鳥取県米子市

「琉球大精神科神経科」 沖縄県西原町
 

心子と行った花見

2007年04月01日 12時09分49秒 | 心子、もろもろ
 
 今年も 心子と見に行った 桜並木を見てきました。

 花曇りでしたが ほぼ満開状態で、人出も多く にぎやかでした。

 並木を歩く人の 頭の上を覆うように 枝を伸ばしている 桜のトンネルは、

 いつもながら見事です。

 風に舞う 花吹雪の中を歩くのも 幽玄な気持ちでした。

 
 心子と撮った写真の バックにした桜の木は、

 太い幹からいきなり 細い枝を何本も出して 花を咲かせ、

 また 枝も出さず直接 幹に花びらを付けていました。

 幹から直に咲く桜の花は 奇異ではありますが、

 浮世絵にでもなりそうな 趣向もありました。

 それから たわわに広げた枝を 低く伸ばし、

 手を上げれば届く所に 満開の花を付けていました。

 木の形が 以前と少し 変わったように思います。
 

 他にも 太い幹に直接 小さな花を咲かせている 木が何本もありました。

 こんな木が 少し増えた気がします。

 それから、同じソメイヨシノでも まだある程度 つぼみが残っている 木もあれば、

 結構もう 葉っぱが出てしまっている 木もありました。

 前はもう少し 咲きそろっていたような気がするのですが。

 神宮外苑の銀杏といい( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43020328.html )、

 心子が旅立ってから どうもおかしくなってきているような 感じがしてしまいます。

 それともσ(・_・;) が細かい所まで 見るようになったのか? 

 思い過ごしなら いいのですが。