「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

演技性が強いタイプ -- 性と外見に 異常にこだわる

2009年12月28日 21時17分13秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 演技性パーソナリティは、 内面的な空虚感や寂しさを、

 注目と関心を得ることで 代償しようとするタイプです。

 演技性パーソナリティの人も、

 境界性パーソナリティ障害を 合併することが しばしばあります。

 周囲が驚くような パフォーマンスをしたり、 過度に性的に 振る舞ったりします。

 このタイプの ある女性は、 自分にとって 大切なことの第一番に、

 「人に見てほしい。 いいねと言ってほしい」 と いうことを挙げました。

 そのために お金が必要だと。

 愛情は三番目でした。

「私が 友達を作りたいのは、 人の目を 気にしているからです。

 本当は、 人といると 疲れるのに」

 このタイプの 人にとっての基準は、 人の注目なのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子も 演技性の面を持っていました。

 ただし、 性的なことや外見には こだわりが余りありませんでした。

 服装は地味でしたし、 性的にも貞節でした。

 心子は 切なくて気を引きたいとき、

 まるで演技ではないかと 感じられるような振る舞いを することがありました。

 わざと演技と分かるように 芝居をしていたのか、

 演技力が未熟だったのかは 定かでありません。

 一方、 自分を誇示して 関心を引きたいときの作話は、

 彼女が亡くなった あとになって、 初めて

 客観的事実とは異なっていた ということが判明したものです。

 意識的な作り話だったのか、

 それとも 彼女の中では 心的事実として 厳然と存在していたのか、

 或いは その両方があったのか、 明確には 分からないところがあります。