「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

本音に向き合えない -- 回避性パーソナリティ

2009年12月22日 20時37分39秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 回避性パーソナリティの人は、 本当の自分の気持ちと 向き合えません。

 自分が何者か、 何を (誰を) 好きだとか、 根本的な感情を 曖昧にしたり、

 逆に 本心を打ち消して 向かい合うことから逃げてしまいます。

 自信がないため、 やりたいことがあっても 自分には無理だと思い込んでしまいます。

 やりたいことを やっていないので、

 フラストレーションが 溜まっていってしまうのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 もうひとつ、 心子が悲壮な覚悟で 困難に立ち向かった 例を書きましょう。

 勤め先の会社で 苛めに遭い、 神経性の腰痛で 半年間入院した時に、

 苛めと 対応を怠った会社を、 精神的苦痛の労災として 認めさせようとしました。

 でも当時、 それはまだ 非常に困難な時代で、

 弁護士に土下座して泣きついても 断られました。

 それでも 心子は労働組合に入り、

 仮に 1%でも可能性があれば 全力を尽くすと言って、

 傷みきった心身に 鞭打って奮闘していました。

 例え 自分がちっぽけなアリでも、

 社会の不正という巨象に 立ち向かうことから逃げなかったのです。

 回避性の極にあったと 言えるのではないでしょうか。

 ただし、それが 一度ぽっきり折れてしまうと、

 もう自分には 何もできないと消沈してしまいます。

 不可能に挑戦する 凄まじい気構えを 見せる一方、

 何もかも見限って 放り出してしまう、 両極端の間を行き来していたのです。