「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「3万人の命に」 (2)

2009年12月19日 22時39分37秒 | 自死について
 
 記事では  「完全自殺マニュアル」 (太田出版) を取り上げています。

 本書は 自殺を推奨も阻止もせず、 首吊り, ガス, 飛び込みなど、

 死ぬ方法を図解入りで、 ただ事実とデータのみを 詳述しています。

 筆者の鶴見済 (わたる) 氏は、

 「自殺がいいとは言わない」 と 前置きした上で、

 「どんなに苦しくても生きろ と言うのはおかしい」 と 断言します。

 樹海で この本を持った自殺遺体が 見つかった一方、

 「この本で救われた」 という 瀬戸際の人たちからの 声が寄せられました。

 自殺を助長する という批判と、

 「死に向き合う事で 生きようと思った」 と 絶賛する意見、 賛否両論です。

 この本の後書きには こう書かれています。

「強く生きろ、 自殺は弱いもののすることだ、などということが

 平然と言われている 生き苦しい世の中に 風穴をあけて、

 ちょっとは 生きやすくしたいからだ」

 

 また、 南条あやが ネット上で書いていた日記。

 「いつでもどこでもリストカッター」 と 自称して、

 奇妙に軽いタッチで、 自殺未遂を繰り返す 自らの日常を記しています。

 高校卒業の直後に 大量服薬で亡くなるまでの 日記は、

 彼女の父親が  「卒業式までは死にません」 (新潮社) として 出版しました。

 今も10代から  「お守りにしています」 という 手紙が届くそうです。

 それから10年。

 「自殺は弱い人」 と 決めつける言い方は減ってきました。

 「その点はよくなった」 と 鶴見氏は言います。

〔 朝日新聞 「3万人の命に」, 「ウィキペディア」 より 〕