「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

自己愛性が強いタイプ -- 過剰な自信と 劣等感を抱える

2009年12月23日 22時48分50秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 一見すると、 自信に満ち、 魅力に溢れています。

 でも少し親しくなると、 気分の起伏が激しく、

 急に不安に駆られたり、 不機嫌なったりします。

 境界性パーソナリティ障害と オーバーラップしたタイプでは、

 非常に不安定で衝動的で、 自己破壊的傾向が加わります。

 見かけの強さからは うかがえない、 脆さや孤独、 劣等感を抱えており、

 依存対象を必要としています。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 自己愛性パーソナリティ障害は

 境界性パーソナリティ障害と 隣接しているものですから、

 心子にも そういう面がありました。

 心子はカウンセラーとしてはプライドを持っていました。

 他のカウンセラーが 誰もお手上げだったクライアントを、

 独自のやり方で回復させたとか、 その時のレポートが 論文として評価され、

 創学以来 最年少の講師に 推薦されたとかいう話を よくしたものです。

(ただし 決して自慢話には 聞こえませんでした。)

 技量や自己研鑽も 自負していました。

 因みに、 心子は俗っぽいことには 余り関心がなく、

 アイドルのことなどは よく知りませんでした。

 僕が ある心理学の 入門講座を受けたときに 講師が、

 子供のクライアントと 話をするには、 歌手やテレビのことも

 知っておかなければならない という話をし、 それを心子に伝えました。

 心子は傷つき、 消沈した様子で、

「どこの講師か 知らないけど、 そんな人の言うこと 真に受けて……」 と、

 講師と僕に対する 批判を口にしました。

 普段の自信は 脆く崩れ、 容易に劣等感へと 裏返ってしまうのです。