「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

死に瀕している人に 向き合って (2)

2009年12月16日 21時05分51秒 | 自死について
 
(前の記事からの続き)

 もうひとつ、 先のメッセージの主は、

 大病のため 生きたいのに生きられない 人から見たら、

 何て命を粗末にする、 勿体ないことかという 意味合いのことも書いていました。

 自殺するくらいなら、 その健康な体や命を 自分と替わってほしいという、

 身体障害者や難病の人の 声はよく聞きます。

 それは その通りでしょう。

 けれども、 敢えて 誤解を恐れずに 言ってみたいことがあります。

 真に苦しみを苦しみ、 悲しみを悲しんでいる人は、

 願わくは交換してほしいと 思うのではないかと。

 この心の苦しみを 替わってくれるなら、

 体の障害や難病も、 甘んじて引き受けると。

 それほどまでに、 心の苦しみは 体の苦痛に 勝る場合もあり得ると。

 もちろん 全ての場合がそうではありません。

 肉体の苦難を 低めることなどできるはずもありません。

 ただ、 身体に障害や病を 抱える人は、

 それに耐えたり 乗り越えたりする力もありますが、

 心の障害や病を 持つ人は、 その力自体に 障害があり、 病んでいるのです。

 耐えること自体、 頑張ること自体が できない障害なのです。

 それ故に 苦悩が いや増しに増して、 精神を苛み蝕んでしまいます。

 心の健康な方は、 そんなことも 少し考えてみていただけたらと 思います。

 深く苦しんでいる人の 心の中や、 どのように接したほうが 望ましいのかを、

 多くの人々にも 知ってほしいと願っています。