またまた 堤幸彦監督の新作です。
「嫌われ松子の一生」 「7月24日通りのクリスマス」 と、
不幸を一身に背負った 役が身に付いてきた、中谷美紀 (幸江) が主役です。
幸枝は 母親の顔を知らず、父親は 銀行強盗で服役中。
やくざ者のイサオ (阿部寛) と 同棲しています。
イサオは 些細なことでキレて、ちゃぶ台を ひっくり返すのが “特技”。
仕事もせず、一生懸命働いている幸江から 金を巻き上げては、
何度も 警察のお世話になる始末です。
そんな幸江の 心の支えになっているのは、中学の同級生・熊本さんでしょう。
貧乏同士で クラスの仲間外れ。
一度は崩れかけた友情も、殴り合いの末に 契りを結びます。
「幸せになりてえ」 と 将来を誓い合ったのでした。
それが何で、こんな ちゃぶ台男に尽くす生活を しているのか?
幸江が妊娠しても 「おめでとう」 の一言さえなく、
逆ギレして 「出て行け」 と言い放つ。
挙げ句の果て 幸江は、歩道橋から転落してしまいます。
でも……こんな男でも、昔は 純粋に愛してくれていた。
体を張って 幸江を守ってくれた。
その愛が 蘇って……。
笑いあり涙ありの 怒濤のエンターテイメントを、
堤幸彦が また見せてくれました。