「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「オリオン座からの招待状」 (2)

2007年10月24日 21時13分19秒 | 映画
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/50843179.html からの続き)

 そして二人は 赤貧に耐えながら、懸命に 映画の灯を ともし続けていくのです。

 蚊帳の中で 蛍を放すシーンも、趣がありました。

 一方、オリオン座に通い続ける 二人の子供、祐次と 良枝。

 二人とも 家庭に愛情がありませんが、

映写室の小窓から 映画を観て 心を踊らせます。

 トヨと留吉も 二人を可愛がり、疑似家族のような 幸せを築いていきます。

 そして 話は現代に。

 半世紀以上にわたって 写真を映し続けてきた オリオン座ですが、

留吉とトヨも 高齢と病に勝てず、閉館の時を 迎えることになります。

 謝恩最終興行の 招待状が、良枝と祐次の下に 届きます。

(ファーストシーンは ここから始まります。)

 良枝と祐次は結婚し、今は 離婚の局面に 向かっています。

 数十年ぶりに 帰郷した二人は、留吉と再会して、

最後の上映を鑑賞し、少し心に変化が……。

 トヨは 死期が近づいています。

 この間、トヨと留吉の間に、夫婦関係があったのか なかったのか、

映画は どちらにも取れる 描き方をしています。

 敢えて 隠しているようにも。

 「幸せの黄色いハンカチ」 で、倍賞千恵子が高倉健に 部屋に入ることを許した

名場面のように、トヨと留吉も 結婚していてもいい と思うのですが、

 それを観客の思いに 委ねることも、また奥行きがあって いいのかもしれません。

 それにしても、「ニューシネマ・パラダイス」 をはじめとして、

映画館の映画は、いとも 人の郷愁を誘います。