「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「天国からのラブレター」

2007年10月20日 19時48分06秒 | 映画
 
 光市母子殺害事件の 本村さんと弥生さんの、同名著書の映画化です。

 本村さんと弥生さんの 出会いから、事件が起こった時までの 物語を描いています。

 渋谷の小さな映画館、というより “映写室” とでもいうような会場

「UPLINK X」 での上映です。

 僕は 東京の映画館は ほとんど行ったことがあると思うのですが、

ここは その存在も知りませんでした。

 2004年に、 “日本一小さな映画館” として オープンしたそうです。

 座席は 床に固定されたものではなく、椅子やソファーが 50ほど置いてあります。

(同じような “映画館” が渋谷に もうひとつありますが、

「UPLINK X」 は渋谷駅から さらに離れています。)

 テレビで あれだけ話題になっている 本村さんの映画であり、

映画界の風雲児・奥山和由による 企画なのに、

こんな小さな場所で、観客も5人ほどでした。

 話題性や、本村さんに対する 関心だけでも、

もっと客が集まっても 良さそうなもんだと思うのですが……。

 確かに 映画の出来自体は、ただ平凡なカップルの 普通の話で、

演出も月並みなものですが、

幸福な家庭が 残酷にも切り裂かれたことの 重みが感じ取れます。

 犯行の罪深さを 知る糧となり、

その罪業をあがなうには どういう刑が必要なのかを考えさせられます。

 公正な立場を取るために、今度は 犯人側の背景を描いた 作品を観たい

と思うのですが、現実には無理ですね……。

 本村さんと弥生さんは 本当に平々凡々とした、幸せなカップルでした。

 事件をきっかけに それが激変し、限りない苦悩が 本村さんに襲いかかり、

本村さんは それに立ち向かって 闘い続けています。

 その人生のほうが はるかに劇的で、感動の作品に なるでしょうが、

本村さんはそれを望まず、命の大切さを 描くことを望んだのです。

 本村さんのその想いは、充分に伝わる映画でした。

 この作品に対しては、僕は出来不出来を 語る気はありません。

 ただ、本村さんの心に 寄り添いたいと思います。