「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「ラストキング・オブ・スコットランド」

2007年03月27日 15時38分50秒 | 映画
 
 ウガンダのアミン大統領を描き、主演のフォレスト・ウィテカーは

 ゴールデン・グローブ賞を始め、主演男優賞を総なめにしました。

 アミンは庶民出身で、旺盛なキャラクターと カリスマ性で国民を魅了し、

 多大な期待と共に 大統領に就任しました。

 しかし 独裁者への道を たどっていくに連れて、

 暗殺される妄想に怯え、裏切り者を惨殺し、利己的なモンスターになっていきます。

 失脚するまでに 30万人の国民を 殺害したといいます。

 そんなアミンの姿を、フィクションの人物である 青年医師・ニコラスの目を通して描きます。

 ニコラスは若いながら 有能で、勇気や行動力もあって アミンの主治医に登用されます。

 しかし後半、アミンの無謀さに恐れをなし、逃れようとしますが 拘束されます。

 それに やめとけばいいのに 向こう見ずにも アミンの側室と密通し、

 アミンの逆鱗に触れるのです。

 アミンは、人間として考えられる 最悪の残虐な行為にも 少しも心が痛みません。

 世界の独裁者の内面は 共通しています。

 孤独で 人を信用せず、臆病で 残忍で、自分のためなら どんなものでも平気で犠牲にする。

 要するに 彼らは人間的に未熟、子供なのです。

 無邪気でチャーミングな一方、わがままで 人の痛みが分からず、

 何をしてもいいと思っている。

 そんな人間が 力を持ってしまうことが 恐ろしいのですね。

 彼らは 力で人を押さえ込むことが やがてどういう結果を招くか 分かっておらず、

 いつかは 自らも無残な最後を迎えます。

 それは歴史が証明しており、人類の叡智は 民主主義を生み育ててきたのに、

 今も世界に残る暴君は 何故それを学ぶことができないのか 全く不可解です。

 一日も早く この地球上から 独裁者が一人もいなくなってほしいと、

 この映画を観ても 願ったものでした。