蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

100円ショップの商品の陰で…?、誰かが泣いていないのか!

2007-02-07 01:46:49 | 日常雑感
2月6日(火) 晴れ。四月上旬の陽気とか。

 今夜は、夜9時10分から、10時まで、BS1で「インド綿花地帯からの告発」(2006年 デンマーク リンクス メディア制作)ドキュメンタリーを視た。
これは、BS世界のドキュメンタリー「目覚める大国 インド」の2回シリーズの1回目である。

 NHKの番組紹介では、次のように案内されていた。 http://www.nhk.or.jp/bs/wdoc/ http://www.nhk.or.jp/bs/wdoc/

 『欧州の大手スーパーや小売店などで安く売られるタオルやシーツが、実はインド北西部のコットンベルト(綿花栽培地帯)で働く労働者や地域住民の健康を犠牲にして生産されているという、企業のグローバル化に警鐘を鳴らす番組。綿花の生産性を上げて価格競争力を高めるため、年に20~30回もの農薬の大量散布が行われ、がんの発生率が著しい高まりを見せているインドの状況を取材した。』

■ 視聴しての山家の隠居のため息、吐息、独り言。

 悲惨でやりきれない気持ちになる話であった。
 
 酸と塩酸の漂白液の中で、塩素ガスを吸いながら、裸足で何時間も作業し続け、肺はボロボロ、18歳で働き始めて、まともに働いていられるのは4、5年。24、5過ぎたら、廃人同様か死んでしまうという…。

 この実態を見ると、かっての奴隷貿易が形を変えた現代版ではないかと思えた。
奴隷貿易では、アフリカ等から拉致し買い集めた人間を、必要とする労働現場(サトウキビ畑等のプランテーション)へ送り込み、そこで過酷な労働条件の中から絞れるだけの利潤をむさぼった。
 そうして今の西欧先進諸国の資本蓄積がなされ、華麗な文化が花咲いたとさえいえる。
 今、私たちはフランス、イギリス、イタリア等々、その文化遺産に憧れ、西欧崇拝の気分は牢固として根付いている。だが、その富の蓄積がいかなる悪辣な非人間的所業の成果であることには、あまり目を向けようとはしない。

 この番組を見て、改めてその意を深くした。

 今や、態々、人間を動かすのではなく、規制緩和、自由貿易のおためごかしの祝詞を唱えて、弱い国の門扉をこじあけさせて、そこに安上がりの自然環境無視の工場を作らせ、無知、無防備な現地人を使い捨て、環境を破壊し、汚染して知らん顔。利潤だけを貪っているのだ。

 翻って、わが国でも100円ショップが、雨後のたけのこのようにできて、大抵のものが100円で買えるようになった。これは便利と、生活必需品の大方をそこで揃えるひともいる。
 だが、まともに考えれば、その商品を誰がどんな思いをさせられて生産され、運ばれて、ショーケースに並んでいるのかと想像してみる者がいるだろうか。
 どうして、金属の骨が入ったちゃんとした折り畳み傘が100円で作って運んで売れるのか。

 これらの商品の大方は、中国をはじめとする東南アジアの途上国(原爆やミサイルを持つ中国は途上国ではないか…)で生産されていると聞く。
 恐らく、そこでは、このインドでの綿花栽培、繊維産業と同じように、多くの学校へも通えないような貧しく幼い子が鞭打たれ監督の罵声を浴びながら、自らの健康と生命さえも犠牲にして生産されているのではなかろうか。
 そこでの工場施設は、周囲の環境なんかには、目もくれず、廃煙、排ガス、各種の化学物質で汚染された工場廃水が垂れ流され、第二の水俣病で多くの人々が苦しみだすのは時間の問題ではないだろうか。

 インドをはじめ中国その他の、労働力を安いままに放置しているかに見える国家は、自国民の福祉や、健康、何よりも自国の国土自然環境の保全をどう考えているのだろうか。
 余りにも人口が多すぎて国土は広く、問題が山積、何から手をつけいいのやらわからいといったところなのだろうか。
 インドの悪名高きカースト制、それがいつまでたっても改められないのは、こうした安い使い捨てに等しい労働力を温存し、外国資本の導入を図ろうとしているのだろうか。

 今や資本にとっては、国籍も国境もないのだ。やすやすとそれはインベーダーのごとく、少しでも美味しそうなごちそうがあれば、するりと忍び込み、遣いきれないほどの際限のない利潤を追求し、この地球を人間社会を破壊しようとしているのではないか。
 グローバル資本こそは、現代の人類にとっての癌細胞になりつつあるのではないのか。
否、まさに人類を破滅の淵へと駆り立てつつある癌細胞そのものではないのか。

 この怪物を制御するためには、強固な国際連携、世界政府的な新機構の確立以外に方策はないようにおもえるのだが…。

 このような大きな国際的なうねりの中で、70過ぎの呆け老人一歩手前かと思うご老体の失言の揚げ足取りで、日がな一日、国民の選良といわれるお歴々が、はしゃぎ回っているとは、なんと唐変木のトンチキチかと、呆れてみたくもなるではないか。

と、思うこの頃、さて皆様はいかがお思いでしょうか。


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6 コメント

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安さの裏側に (さくら)
2007-02-07 18:55:35
 酸と塩酸の漂白液の中で、塩素ガスを吸いながら、裸足で何時間も作業し続け、肺はボロボロ、・・・・

絶句でした。

幼い子ども達が過激な肉体労働に従事させられたり、また売られたり、貧しい国(一部は富豪)の話は辛いですね。

富める国に生まれても貧しい国に生まれても、せめて未成年の間は命や健康が保障されるべきですね。

蛾遊庵様のおっしゃる「強固な国際連帯」・・これだけ情報網が張り巡らされた世の中で、本当にどうにかならないものでしょうか。

先日安売り衣料店で暖かいコート(作業着風)を500円で買いました。
布地も丈夫でかなり立派?です。
嬉しいような切ないような500円のコートです。
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ものの値段は、命の値段ということでしょうか。 (蛾遊庵徒然草)
2007-02-07 23:35:48
 さくら様、早速にコメントありがとうございます。

 <先日安売り衣料店で暖かいコート(作業着風)を500円で買いました。…嬉しいような切ないような500円のコートです。>とのこと。
 私も、品物さえよければやっぱり安いと思うほうに手がでてしまいます。
 
 だが、どんな品物でも、サービスでもそれは全て誰かの労働の成果であることは自明です。
 その誰かが見えないところで流している血や汗に私たちは、日頃、目隠しされているということではないでしょうか。
 私たち自身も、その裏には何やら怪しげなからくりのありそうなことは、薄々感じながらも、知ってしまえばやっっかいとばかりに敢えて知ろうとしない。

 その結果、いつまでも私たちの目の届かない何処かで誰かが泣かされ苦しめられ、その一方でそれらの収奪から得た途方もない富を手にほくそえんでいるということではないでしょうか。


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なんたる傲慢! (破壊王子)
2007-02-10 01:59:52
1990年9月、インドでは3日間にわたり大規模な学生を中心とした反政府デモが首都ニューデリーで展開し、交通は完全に麻痺した。政府当局はこれを武力弾圧し、強硬な姿勢を崩そうとせず、追い詰められた学生達は最後の手段として、焼身自殺による抗議を行い、三人が死亡しました。

数万の学生が投獄や負傷の危険も厭わず、三人も抗議の焼身自殺までして何を訴えたのか?

それは「差別を守れ」

彼らは政府の打ち出した低カースト者優遇政策に、生命をも犠牲にして抗議したのです。

彼らは差別があることを恥じてもいないし、それが無くなることこそがインドの危機として抗議をしたわけです。



日本や西欧の一方的な価値観の押し付けこそが差別的ではないですか?人権先進国が人権後進国を慈愛深く見ながらその上君臨している図式にがサベツでなくてなんなのか?

人権思想や民主主義に基づく世界政府実現の為には、反対する者は差別主義者だから殺されて当然だというならば、自分はそれにこそ戦慄します。

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これはまた厳しいお言葉を!頂戴いたしました。 (蛾遊庵徒然草)
2007-02-11 00:46:43
 破壊王子様、わざわざ愚見をお読みいただいて、「何たる傲慢!」とのこと。

 鳩が豆鉄砲食らうとはこういうことをいうのでしょうか。
 私のこの一文をお読みいただいて、何故「何たる傲慢!」なんて見当違いの罵声を浴びなければならないかと、今日一日背中に鳥もちがくっついたような気分で、とつおいつあれこれと考えました。
 幾分か柳沢ご老体閣下のここ数日のご自分の機械発言が何故こんなにさわがれるかと、お戸惑いになられているらしい気分がわかるような気がしました。(苦笑)

 そして、何が王子殿の逆鱗に触れたのかと再度読み直してみたところ、どうも
<インドの悪名高きカースト制、それがいつまでたっても改められないのは、こうした安い使い捨てに等しい労働力を温存し、外国資本の導入を図ろうとしているのだろうか。>この部分らしいと気づきました。
 
 言われてみれば、我が国にも未だに差別問題が残っており、さらに今や新たに膨大な数の非正規雇用問題があります。確かに自分の尻も拭えないで他所様の事をあげつらうような事が言えた義理ではないですね。

 安易な既成概念に捉われたまま筆を滑らせた、片言隻語の裏に潜む私の思考の杜撰さ、安易さを見事にお見抜きになられた慧眼に脱帽いたしました。(笑)

 ただし、<人権思想や民主主義に基づく世界政府実現の為には、反対する者は差別主義者だから殺されて当然だというならば、自分はそれにこそ戦慄します。>ということについては、熨斗をつけてお返しいたします。

 この頃の、私はすっかり気弱な隠居になって、薪割りしていても中から出てくる蟻一匹もなるべくならば踏み殺さないように気をつけておりますので。

 しかし、王子殿が引用されているインドの大学生のことですが、大学に入って何を学んだのかは知るよしもありませんが、そのような行動に走るとは、一体学問するということは、なんなんでしょうか…。
 残念ながら、無学な私には理解不能です。
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暗き現実 (神のご加護を)
2012-05-29 16:09:19
 苦しさと反対に、喜びを途方もない際限の大量消費に傾けた人類。はかりにかけてはならないものをまだ繰り返すつもりか。
 死と闘うことでしか、我々に道はない。死んではならないが、死を覚悟しての世界協調を図らなければ、解決の道はない。
 このブログの声は、政府に届けるべきだ。
 私欲は捨てるべきだ。
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(神のご加護を)様、コメントありがとうございました。 ( 蛾遊庵徒然草)
2012-05-30 15:06:03
 5年も前の拙ブログをお読みいただきコメントいただき恐縮です。
 5年も経ちますと古希を過ぎた身、何を書いたか再度読み直す始末。
 一読、やはり同じ思いを深くしました。
 この期に及んでもわが国でも愛国心による歴史見直しが大声で叫ばれ、お隣の中国もまたしかりです。
 一体、人間はいつまで殺し合いをすれば気が済むのでしょうか…。
 虚しく哀しい気持ちになるばかりです…。
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