桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2014・1・24

2014年01月25日 | Weblog
一般的には知られてないが、演劇好きの間ではみんなが知っている人気劇団「花組芝居」の看板俳優である水下きよしさんが今日亡くなったという訃報が飛び込んで来る。俺と一廻り違うからまだ54才の筈。最初に彼と会ったのは今から9年前。まだ始まったばかりのコレドシアターに何かの芝居を見に来た彼がウチのスペースを気にいってくれて、その年の暮れに「花組芝居」の番外公演をやったのをきっかけに、ホボ一年に一度の割合で朗読を含めて色々な趣向で意欲的な舞台を作ってくれた。最後にあったのは去年コレドシアターが閉じると知ってか自分の演劇ユニットBorobon企画の公演をやってくれて、千秋楽に「色々ありがとう」と挨拶したら「こらちこそ」と握手してくれたのだけど、みんなの様に「コレドがなくなるなんて残念です」とか「もう少し頑張れなかったんですか」なんてことは云わず、何故か逃げるように出て行ったのが今生の別れとなった。とても芝居が好きだった人だった。俳優としても魅力的だったけど、プロデューサーとしても演出家としても優れていた。少なくともコレドシアターで彼が演出する芝居はあの狭い空間をとても上手に使っていて、いつも感激するより感心させられたものだった。こう云う訃報に接した時に「惜しい人を亡くした」と云うのは常套句だけど、彼の場合は本当に惜しい人を亡くしたと心の底から思う。今はただ冥福を祈るしかない。