TSUTAYAのまとめて借りた1本です。タイトルからして緩い系の作品ですね。
やっぱり緩い系でしたが、味わいのある作品でこういう世界にはどこか惹かれるものがあります。
ストーリーはほとんどなくて、若い女性の失恋から自分の足で立ち上がるまでの物語を描いたものです。
簡単にストーリーをかいつまんで話すと…
カフェ風のレストランからシーンが始まります。
来た料理にも手をつけず、彼に話しかける若い女性・貴子(菊池亜希子)と
彼女の話に全く興味を持たずにさっさと食べ終わっている青年のデートシーンです。
デザイン系の会社に勤務する若い女性は、同僚の青年と関係を持っていて、
自分ではうまくいっていると思っています。
でも、男性から切り出された一言は、別の部署の女性と結婚すると言うことでした。
しかも、その後で部屋に行ってもいいかと言われてしまいます。
余りに突然のことで精神的に強いダメージを受けたらしい貴子は、会社をやめてしまいます。
家で毎日眠れるだけ眠るようなだらだらした日々を送っています。
母親から頼まれたらしく、神保町で古書店を営む叔父(内藤剛志)から、自分の店を手伝ってくれないかとの誘いを受けます。
今までほとんど本など読まない貴子も、店の2階に寝泊まりして店を手伝ううちに、
周りの本や街に興味が湧いてきて、手当たり次第に読んでいくうちに心が和んできます。
自分を振った男のことも、叔父の手を借りてなんとか吹っ切れ、
貴子が、過去ではなく前に向かって強く生きていこうとするところで映画は終わります。
本当に、山場もほとんどなく人との関わりが全てのような映画です。
その分、登場人物のキャラが立っていて、それぞれに興味がわいてきます。
映画のテーマは自分探しということなんだろうけど、叔父が若い時に自分探しの旅に出た話など、少しまどろっこしいかもしれません。
神保町が舞台と言うことで、見覚えのある通りが出てくるだけで、心が躍ります。
古本屋さんのあのかび臭い臭いとか、偏屈そうな親父さんの座っている番台のようなレジ台など、空気感が伝わってきます。
貴子が読んでいる古本の中に線が引いてあったり押し花のしおりが入っているシーンが出てきます。
「ある…ある…」と共感してしまいます。
古本にある線と書き込みがあると前の人と会話をしているような変な気になった思いがよみがえってきます。
国民文庫の古本にはよくいろんな書き込みがありました。
書き込みが面白くて、持っている本をもう一冊買うということもありました。
失恋話のシーンはほとんど興味はわきませんでした。
古本屋の叔父(内藤剛志)が良い味を出しています。
こんな生き方ができるといいなと思わせるような人物です。
喫茶店のマスターにキタロウさんが出ていてこの人が何とも良い感じです。
喫茶店でアルバイトしている大学院生に田中麗奈が出てきます。
役柄は、貴子の相談役やナビゲーターに徹しています。
この人の空気感が何ともいいですね。何の役をやってもさらりと演じるのが名女優なんですね。
誰もが認める名女優なのに、代表的な主役映画がないゆえんかもしれません。
(
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます