とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

大きくなりたいMくんの願い②

2007-06-23 00:48:03 | コーでないと
 集会は、園長が中央に出て、全員仏壇に整列し対峙して座ります。全員正座を指示されます。当番が出てきて、大きな仏壇の扉を開きます。

 エレクトーンの伴奏により何曲か、宗教的な歌を歌いますが、Mくんは、何の興味も示さずに念珠で遊び始めます。何度か、保育士が注意に来ますが、この時間の過ごし方について理解できていないために、注意される自分がいやになってしまいます。悪循環が続いているような気がしました。Mくんのこの時間の目標をどこに置くのか、考えないと全てにおいて注意しなくてはいけななくなるような気がしました。

 園長は園児全員に話しかけていますが、Mくんは、自分に話されているとは思っていないし、内容も理解できていると思えません。次に理事長が出てきて、「足がだるい人?」と聞いてきました。正座を解くのかと思ったら、我慢比べの話しに持っていきました。「手をあげて!じっとして動いたら下ろします。」「最後まで頑張れる強い子は誰だろう?」我慢が大事だと子どもたちに解きますが、Mくんはまったく理解できていません。

 そのうち念珠を投げ出して、泣き声を出し始めました。保育士が横についても保育士を殴り始めます。保育士が本堂の外に連れ出して、「じっとできない人は入らなくていいです」と言うと、「帰りたい」「先生ごめんなさい」「Mくん、ちゃんとできるの?できる人だけ帰ります。もうちょっとだけがんばって!」と先生にくっついて元の位置に帰ってきました。しばらく保育士が横についていましたが、一旦外に出ることでクールダウンできています。その後、少しだけ落ち着いて参加できました。

 保育士が前に出て指遊びを始めました。すぐ別の保育士が横につきました。右手と左手を合わせて「お父さんとお父さんが曲がり角でぶつかって、お前が悪いんだぞ!お前が悪いんだぞ!ふたーりそろってごめんなさい」と続けていって赤ちゃん指の「アブブブブ…」で大笑いをしていました。

 本堂の集会が終わり、教室に帰ることになりました。くつを履きかえて園庭を通り抜けて、階段を上がって靴を脱いでさらに階段を上がってつきあたりの教室まで帰らなくてはなりません。

 一旦園庭に出ると他の子どもたちも一斉に遊具めがけて広がります。Mくんは大型遊具に上がってなかなか降りようとしません。「Mくん教室に帰ろう」と呼びかけても降りようとしません。担当の保育士が何とか呼び止めて教室へ移動し始めました。階段の移動中に隣の子に手を出していたので、ひやひやしながら見ていました。

 いよいよ靴を脱ぐところで座り込んで動こうとしません。声をかけてもなかなか動こうとしません。すると別の保育士が「Mくん、先生の手伝いしてくれる?」と友だちの帽子の入ったバケツを見せました。すると「いいよ!」ということでさっとバケツを手に取り、階段を上り始めました。年中の子には持ちやすい大きさのバケツではなかったのに、何度か途中で下ろしながら教室の近くまでたどりつくことができました。このあたりの所に、Mくんの指導の指針があるのではないかと思いました。

 教室に入ると、子どもたちは次の学習の準備に入っていました。ロッカーの道具箱からのりとマジックを出して机につき始めます。Mくんはいったんは教室に入りますが、すぐに外に飛び出してしまいます。教室では友だちが次の学習の準備を始めていた。自分は遅れて入ってしまった。そんな気持ちから、素直に次の学習には移れません。

 「Mくん手を洗ってきて!」と呼びかけるとまっすぐに手洗い場所には行きません。別の教室に何度か、入っていきます。それでも少しずつ手洗い場に近づいていきます。まっすぐに手洗い場に近づくことはありません。自分のペースで自分のやり方でないとできません。何とか手を洗って教室に入りますが、道具を出すことはなかなかできません。

 やっと教室に入ることができてもなかなか準備できません。ワークデスクに6人ぐらい座るために落ち着きがありません。この日の課題は時の記念日ということで時計の切り抜きです。台紙に書いてある○を切り抜き、数字や点を打ち、前の授業で作った魚に貼り付ける課題です。はさみは机につく前に保育者から渡されます。着席がほとんど終わった段階で作業の説明があります。ことばによる説明のためになかなか理解されていない様子が見られます。Mくんは、話の途中ではさみで遊び始めます。このままで大丈夫かな?と見ていると隣の子が注意したとたんに隣の子にはさみを向けます。丸い刃先なので危なくないのですが、どの段階で道具を渡すのか、説明はどうするのか考えていく必要があります。

 30数名の子どもたちに対して指導者は2名ということで、進度に差が見られます。できる子はどんどん進みますが、作業の理解できない子どもは取り残されたままになっています。年中の児童の難しさがあるのかもしれません。何人かできていない子どもに対しては介助に入ることにしました。Mくんは作業は終了したのですが、片付けがなかなかできません。活動の始めと終わりが難しいようです。活動の切れ目切れ目に配慮が必要な子どもであると思います。
コメント
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