季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

見た目2

2011年09月04日 | 音楽
バレリーナの姿をごらんなさい。美しいでしょう。みなさんも腰をきゅっと引き締めて背筋を伸ばして弾くことが大切です。

これが大雑把にいうと今日のピアノ演奏に関してのありがたい教えの一例だ。

なるほどバレリーナはきれいだものなあ。足も長いしさ。でもここで納得してはいけないよ。イチローはどうしてバレリーナのような姿勢でプレーしないのか。クルム・伊達もそういえば違う。そのように違った方向から疑問くらい持っていただきたい。ついでにバレリーナの格好で(衣装じゃないよ、いくらなんでも)プレーするイチローや伊達を空想して吹き出すくらいの空想力を。

このようにスポーツを例を出すと、いいえ、ピアノは芸術ですから、バレエと同じ芸術ですから、なんてツンと澄まして抗議する人が出てきそうだ。でももう少し回り道を。

背筋を伸ばすスポーツはあるか?もちろんあります。フェンシング、剣道、ボクシング等いくらでも例を挙げることができる。そういうスポーツは防御が非常に重要な要素を占めるものだ。剣道で前かがみになっていたら「ぶってよマゼット」といった感じになってあっという間に一本取られるだろう。

ではイチローが盗塁する際、投手の隙をうかがう。この時は防御の構えはとらないから背筋は伸ばさない。相撲でも、こちらは背中を丸めて顎を引くのが基本である。色々なスポーツを見てごらんなさい。背中は基本的にやや丸くなっているものが多いことに気付く。

では一般的な動作はどうか。たとえば料理。シェフの姿は格好良いし、無駄がなく美しい。大工も整備工も、その道の達人の動きは美しく感じさせる。一般的な動作になると、スポーツ以上に腰は丸みを帯びていることを認めざるを得ない。それでいてたとえばそば打ち職人やシェフは「腰が決まるのが大切です」という。

個々の相違点と類似点を挙げていっても埒はあかない。あらゆる動作は独自の美しさを持つはずだという常識を思い出しけもらえれば充分である。

ピアノを弾くという特殊で難しい動作とバレエという特殊で難しい動作をかんたんに重ねてしまう単純すぎる頭の操作はちょいといただけない。いかなる場合も腰が大切だという「原則」は変らない。

ピアノを弾く場合、と書いてもう投稿しちまえと思った。ピアノを弾く場合、からあらためて続けようと思う。それまではそこから先を皆さんで自由に続けてみてください。

コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 見た目 | トップ | 見た目3 »
最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (やまかた)
2011-09-11 08:29:39
ピアノを弾く場合、いや。その前に一般論として、バッティングもピッチングでも人それぞれ全然違いますよね。
イチローのバッティングフォームも野茂のピッチングフォームも異端、常識はずれであんなフォームの人はほとんどいません。
マイケルジョンソンも。
でも、3人とも見た目を考えてあのフォームにたどりついたわけではないことだけは確かだと思います。
おそらく、本当に基本的なところは共通するものがあって、あとはそれぞれもっともよい結果を出せる方法、自分に一番あう方法を探し求めた結果なのではないかと思います。

ピアノを弾く場合にも、各人にもっともあうものは違うのでしょう。
よい音が出るなら鼻で弾いたっていいんだよ、とは誰の言葉でしたっけ?
返信する
Unknown (みつはし)
2011-09-12 07:27:25
「見た目」・・・私にとって、これは何においてもかなり大事な部分です。まあ、単に自分の好き嫌いに過ぎないわけですが・・・。
 で、ピアノを弾く場合、これも自分にとっての「みた目」の好みがあるのかな?と考えると、好みというより、嫌いはあるかな、と。それは、出てくる音と動きがチグハグな場合、きっと嫌な感じを受けるかも・・・です。

自分も、子供の頃「背中を伸ばして」と言われた記憶があります。で、もともと猫背だったのか?姿勢の悪い自分は、その「しゃんとした」姿勢が辛くて辛くて・・・。でも、それがないことには「良い演奏はない」らしく、必死で疲れと闘いながら、背中を伸ばすよう心がけていました。

その後、何年か経ち、別の先生から・・・「背中を感じて!」「腰を感じて!」更には「仙骨の動きを感じて!」などという言葉を聞いて、自分の背中と腰を意識しようとするのですが、どうにも「ない!」「背中・・・どこ?」「腰・・・?一メートル以上後ろ??」のような感覚であることが発覚。

それから、また数年たって、大分自分の腰が自分の身体の一部であることを感じられてきたころ、「見た目」の姿勢じゃなくて、中で何が行われているか、どう動いているか、ってことなんだよなあ・・・と感じ始めると、今度は生徒さんの腰の中での動きに意識が行ってしまって・・・・。これがイカンのですね。
つい、「なにか」自分が「これ!」と思ったものに捉われ過ぎて、それを伝えようと言葉で説明をすればするほど、限定されたウソっぽいものになる感じ。
・・・と、なんだか話が逸れましたが。

我が家では、先生のこの記事を読んで意見が分かれ、
「背筋を伸ばして!」と言っている側の問題点を指摘している、と感じる自分と、対してダンナは「言われた側がどう受け止めるかが大事、っていう話?」と・・・。真相はまた別なのかもしれませんね。(笑)



返信する
Unknown (重松正大)
2011-09-14 00:58:30
やまかたさん、みつはしさんコメントを拝見しました。

続きを書きかけて放置していますが、近いうちに載せますね。

スポーツだったら野茂やイチローに何も言えないでしょうが、ピアノだと「とてもきれいに弾けているからあとは姿勢を良く」なんて言えてしまう。いや、ホントは言えるはずがないですよ、でも現実は。

もっともイチローは抜群の成績にもかかわらず、フォームを直さない限り使わん、という監督のもとでくすぶっていたといいますね。
返信する
びっくり (やまかた)
2011-09-15 17:04:12
イチロー、知りませんでした。
振り子にしてからではなく入団当初から抜群の成績だったんですね。
明確に数字で結果が出てもなおフォームにけちをつけるというのは、日本特有のことなのでしょうか?

ピアノ演奏においても振り付けまで指導しちゃうっていうのは。。。
返信する
Unknown (Unknown)
2011-09-15 22:27:54
ホントのことですよ。

故仰木監督になった時にようやく結果が出るならそれでよい、出なかったら直せばよいと言われてその年に日本記録を打ち立てましたから。

野茂も仰木監督時代に新人だったのです。彼らが仰木監督を慕うのはそれがあるからです。

指導者は大切ですね。
返信する
仰木監督 (やまかた)
2011-09-17 18:03:08
そうなんですね。
仰木監督でなかったら2人ともどうなっていたんでしょうね。

ということは、監督、指導者に恵まれずに才能をくすぶらせたまま終わってしまった人は野球界だけでも数倍もいるということなのでしょうね。素直に指導者の言うことを聴いて矯正して伸び悩んで終わってしまうというパターンで。

返信する
Unknown (重松)
2011-09-20 00:32:00
まあ何ごともそうでしょうね。世に伯楽ありてしかる後千里の馬あり、なんて誰もが得心して広まったわけですから。
返信する

コメントを投稿

音楽」カテゴリの最新記事