季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

ワールドカップ 2

2010年07月01日 | スポーツ
一昨日の試合は残念だった。

勝負は何ともしがたいし、選手は頑張ったと思う。

ただ、デンマーク戦後に書いた記事で触れた日本の最大の弱点が見えた典型でもあった。

3点あげておこうか。

デンマーク戦の3点目、本田選手のプレーに関して僕は記事の中でこういうのはここ一番にくずれる原因になる旨を書いた。因みにこのプレーこそ、さまざまなメディアで往年のプレーヤーたちが絶賛していたのである。フォワードの選手ではないからこそできたすばらしいプパスだと。僕はまったく違う意見を持つのだが。

コメントしていたかつての選手たちも同じように煮えきらぬプレーが多くて、切歯扼腕した歴史を持つ僕としては苦笑する以外ないのである。君たちのその意識がまずかったのではないかと。

昨日最終盤、玉田選手がゴールを目の前にしてシュートせず、誰もいない所へパスとも何とも言いがたい、意思のないボールを出した。それまでの内容はともかく、決定的な場面だった。あれは自分で打つべきだった。他の選択肢はない。失敗しても仕方ない。仮に横にフリーの選手が見えていたならばともかく、彼はまったく見えていないはずである。にもかかわらず打たなかった。僕が本田選手一人のことではないと書いたのは、結局こういう場面が肝腎なときにやってくると危惧していたからである。

この弱点はずっとあったし、これからもあり続けるだろう。

玉田選手をあの時点で使ったことをアグレッシブな岡田采配とするむきが多いだろうが、采配こそが2点目の問題だと僕は思う。サッカーも人の営みだから、人に対する目、勘はプレーに関してと同様に大切なはずだ。

僕はむろん専門外だから、プレー自体への意見は持てない。ただ、玉田選手は今までも何度も同じ消極さを示してきた。好青年だがあんな切迫した場面で使うのは無理だと思う。何も彼にとどまらない、人となりを把握せずに純粋にプレーする技術だけを見たってだめである。そういう視点がなさ過ぎる。

トルシエが中村俊介選手を選出しなかった理由を「彼がいるとベンチの雰囲気が悪くなるから」と言ったそうだが、当否はともかく、そんな理由も大いに説得力を持ってしかるべきなのである。

3点目、これが最大のものかもしれない。

番組には相変わらず人気タレントを、誰だか知らないけれど、スタジオに揃え、司会もサッカー好きのお笑い系タレントだった。現地スタジオには元選手の小倉さん、中田英寿さんがいた。試合後のこの二人のコメントは対照的だった。小倉さんは日本メディアの中に暮らす元選手の大多数がそうであるように、結局のところ何を言っているのか、うやむやなままだった。しかし中田さんは実に上手に、的確にゲームを振り返って問題点と良かった点を具体的に指摘していた。聞いていて感心した。

さて彼の話がより大切な点に触れかけていたとき、司会のタレントが割って入って、どうでも良いことに話しを振った。話は引き取られたまま途切れてしまい、戻ることはなかった。僕がメディアを批判するのはこういったことだ。

なぜわざわざ中田という人に依頼してコメントをもらいながらそれを一種の娯楽に仕立ててしまわなければならないか。こうやって批評がうやむやになる現場を見せられて僕は不快であった。

この点はいくら言っても言い足りないが、急いで投稿しておく。
コメント (2)
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