ルイガノ旅日記

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北九州市立美術館50周年記念コレクション展~あの時、この場所で。

2024年09月18日 | 絵画や音楽
建築家 磯崎新氏(故人)が設計した北九州市立美術館。独特の形状から、「丘の上の双眼鏡」と呼ばれるこの美術館は、西日本における公立美術館の先駆けとして1974年11月3日に開館しました。今年は創設50周年の節目にあたります。


丘の上の双眼鏡が、半世紀にわたって俯瞰してきた北九州の町並み。


市立美術館では現在、前身の八幡美術館から引き継いだものを含め、およそ8千点に及ぶ美術作品を保存・収集してきた50年の歩みを振り返る「大コレクション展   あの時、この場所で。  」を開催中です。




「大コレクション展   あの時、この場所で。  」のパンフレット。


この美術館のコレクションの中で最も印象的な(と私が思っている)のは、エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》。自宅で寛ぐ友人エドゥアール・マネ夫妻を描いたものですが、マネは何が気に入らなかったのか、ドガから贈られたこの絵の一部を切り裂いてしまったという、謎に満ちたいわくつきの絵です。10年ほど前、テレビ東京「美の巨人たち」で詳しく紹介され、この絵が北九州市にあることを初めて知りました。


ピアノを弾く妻の表情が気に入らなかったとか、ドガが透徹した画家の目でマネ夫婦に漂う倦怠感まで描き出してしまったためとも言われています。真相はわかりませんが、市立美術館に足を運べばいつでもこの絵に会えるという幸運に感謝です。


この謎について、2013年から2017年にかけて北九州市立美術館と北九州芸術劇場が共同制作した、エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》をめぐる推理劇『切り裂かれたキャンバス』が、10月12日・13日・14日の3日間再演されます。(それぞれ12:00と14:30の2回公演、日時指定、一般2,000円)


ピエール=オーギュスト・ルノワール《麦わら帽子を被った女》
カーテン越しのやわらかな光に包まれる女性。優しい印象を与えるルノワールらしい作品です。


ピエール・ボナール《パリの朝》
ボナールは、19世紀後半から20世紀初めにかけて活躍したフランス人画家。絵の左隅には、「Pour Kusumé Bonnard」=「クスメに ボナール」の署名があります。パリでボナールに師事し、結核に倒れて療養所に入院中だった北九州ゆかりの画家、楠目成照にお見舞いとして贈られた絵なのです。快癒することなく20代半ばの若さで亡くなった楠目成照は、ショパンやバルザック、モディリアーニなど多くの著名人が眠るパリの墓地に埋葬。没後、故国日本の遺族のもとに引き取られたこの絵は、73 年後の1996年、北九州市立美術館に寄贈されました。


ポール・セザンヌ《水浴者》


クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》
視力が衰えるなか、晩年まで睡蓮の連作に取り組んだクロード・モネ。生涯を通して250点にも及ぶ睡蓮の作品を残しました。


約1300点の浮世絵コレクションからもいくつか紹介されていました。
喜多川歌麿《名物富士乃白酒》


葛飾北斎《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》
ゴッホなどにも影響を与えたと言われる浮世絵で、海外でも「The Great Wave」として広く親しまれているそうです。


歌川広重《東海道五十三次 三島 朝霧》
東海道11番目の宿場、三島宿の朝の風景。朝霧の中に、三島大社の鳥居と燈籠、行き交う旅人の姿がシルエットで描かれています。


同じく歌川広重《名所江戸百景 深川洲崎十万坪》
上空を舞う鷲の目線で俯瞰した深川洲崎の広大な雪原。「名所江戸百景」は広重晩年の作品で、江戸時代後期に広く親しまれるようになった「名所絵」の集大成と言われています。


片多徳郎《N(中出氏)の像》


アリスティード・マイヨール《とらわれのアクションのトルソ》
マイヨールは、19世紀末から20世紀初めに活躍したフランス人彫刻家、画家。オーギュスト・ロダン、アントワーヌ・ブールデルとともに近代ヨーロッパを代表する彫刻家の一人とされています。


通路からの眺めです。


「大コレクション展  あの時、この場所で。  」は、9月7日(土)から11月10日(日)まで行われています。
コメント (6)
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