Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LEFE1233. サイバー・カスケード

2015年12月15日 | diving
 アメリカの憲法学キャス・サンスティーンが提唱した、サイバー・カスケードという概念がある。それはインターネット上で特定の個人が不特定かつ多数の者から論拠のない集中攻撃を受けるという事態である。
 ウィキペディアの解説を引用して補強しておこう。
「インターネットが不特定多数の人をコミュニケートすると同時に、大規模に大量の意見を同時を結びつけ、異質な者を排除する傾向を持つ。従って自分たちと反対の立場を無視、排除し、極端な意見や悪意や変更が集結し、極端化する。こうした極端化、閉鎖化されたネットワークが、無数に散らばり誹謗中傷を繰り返す状態。」
 こうした事例をあげると、新国立競技場コンペティションの一連の動きがまさにサイバー・カスケードなのである。建築家ザハ・ハディッドが論拠なき攻撃をされ、彼女を選んだ審査員も攻撃され、そんな事態を世論の意見と勘違いした政治家は、すべてを白紙にしてコンペのやり直しを命じる事態になった。こうした個人攻撃こそ、まさにサイバー・カスケードなのである。
 さらにさかのぼれば、小保方論文のSTAP細胞騒動がある。多数の個人攻撃をこれまた世論の意見と勘違いし、解職や博士号の取り消しまで行うという結果である。本来ならば、STAP細胞が存在するかしないかの議論は、学会や専門の学術雑誌上で専門家同士が行うものである。当然インターネットで個人攻撃される理由はない。
 困ったことに、こうした個人攻撃を世論の意見と勘違いした人間がいることである。それらの事態を見ていると、日本人の脆弱な意識は戦前と全く変わらないと思わざるをえない。あれやこれやと騒いでいるうちに気がつくと戦争にしっかり巻き込まれれていたなどということも、これから起こりうる事だろうと個人的には想像している。
 さて新国立競技場に話は戻るが、昨日はそのやりなおしコンペの2案が公表された。それがでるとまた、ザハ案の方がよかったなどという意見まで登場するのには、あきれたと言うほかない。
 意見を言うときは、信頼できる出所の論拠を提出してから言うべきである。気分だけであれこれ言って欲しくないですね。個人攻撃を仕掛ける彼らは、大学でちゃんと卒業論文を書いたのだろうかと、私が疑問に思う出来事が最近多いようだ。

沖縄県 本部
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