本日と明日は紫斑病性腎炎の清熱解毒 涼血止血治療についてご紹介します。
( )内に随時、コメントや印象を入れます。
それでは、医案に進みましょう。
患者:王 某 14歳 男児
初診年月日:2001年3月6日
主訴:顕微鏡下血尿15日
病歴:
15日前、明らかな誘因なく双下肢に紫斑が出現、腹痛を伴う。尿RBC満視野/HP、尿蛋白2+、ハルピン市某病院に入院、診断は紫斑病性腎炎、ステロイド等薬物治療を経て、紫斑、腹痛消失、但し尿所見の改善が無く、氏の病院を受診。
初診時所見:
全身乏力、手足心熱、小便黄赤、舌紅、苔干、脈象滑数。尿蛋白2+、RBC50個/HP以上、WNC2~4個/HP。
中医診断:尿血(熱毒内蘊)
西医診断:紫斑病性腎炎
治法:清熱解毒、涼血止血:
生地黄(清熱養陰)20g 小薊(涼血止血)40g 黄芩(清熱解毒)10g 白花蛇舌草(清熱解毒)30g 藕節(収斂止血)25g 側柏葉(涼血止血)20g 牡丹皮(清熱活血涼血)15g 白茅根(凉血止血、清熱利尿)50g 甘草(調和諸薬)10g
七剤、水煎服用、毎日一剤、早晩分服。
(温薬の配伍が全くないですね。)
二診 2001年3月13日
上方7剤服用後も手心熱、舌質紅、苔薄、脈滑数。尿RBC10~15個/HP、蛋白+、前方に清熱解毒の蒲公英20g 地丁30gを加味した。
14剤、水煎、毎日一剤、早晩分服。
三診 2001年3月27日
服薬14剤、患児には特に自覚症状なし。舌尖紅、脈滑。尿RBC8~10個/HP、蛋白(-)、手足心熱消失、脈滑無数(頻脈でない意味)から、熱邪は既に減じたが、まだ血絡受損が回復せずと判断、炭類薬をもって血絡の損傷を修復しようと図った。
生地黄(清熱養陰)20g 小薊(涼血止血)40g 黄芩(清熱解毒)10g 白花蛇舌草(清熱解毒)30g 側柏葉(涼血止血)20g 牡丹皮(清熱活血涼血)15g 白茅根(凉血止血、清熱利尿)50g 大黄炭(収斂止血)10g 血余炭(止血散瘀、補陰利尿)10g 地楡炭15g(地楡の効能は涼血止血、解毒収斂、地楡炭となると収斂止血が増強される) 生甘草(調和諸薬 清熱)10g
七剤、水煎、毎日一剤、早晩分服
四診 2001年4月4日
上方服用七剤で、自覚症状なし、舌淡紅、苔白、脈滑。尿RBC3~4個/HP、蛋白(-)、
患児の病情は既に穏定と考え、黄耆30gを加え、継続服用20余剤、尿RBC散見1~2個/HP。
ドクター康仁の印象
最後に黄耆を加えた理由は?→熱邪耗気のために益気の黄蓍を加えた。或いは、弁病的に免疫調整の期待もありか?(以上は当院の趙博士のご意見です。)
2014年 3月29日(土)