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口干咽燥(こうがんいんそう)に適する飲み物とは?

2014-08-18 00:15:00 | うんちく・小ネタ

 

上海時代に一緒に中医学を学んだ、学友の田辺女史から丁寧な暑中見舞いと近況を知らせるお手紙と彼女の手作りの梅干しが811日に宅配されました。有難うございました。昨年の私のブログ「口干咽燥(こうがんいんそう)に適する飲み物とは?」の記事を覚えていただいたのです。そこで、再度、若干補足して記事を更新します。

 

 

 

漢方用語に口干咽燥があります。口が渇いて咽(のど)の乾燥感を覚えるという意味です。治療原則は清熱、養陰、生津(しょうしん)ということになります。

 

 

 

清熱(せいねつ)とは解熱とほぼ同意ですが、熱性疾患に伴う口干咽燥に対して、原因である熱邪を、実熱、虚熱を問わず、熱邪傷陰という病機から、清熱祛邪するという治療方法になります。虚熱、実熱を問わず、口干咽燥には体液「津液(しんえき)」が不足している場合が多いので(熱邪傷津 熱邪傷陰といいます)、養陰、生津を加えて治療すれば効果的です。

 

 

 

直接的な補陰法はともかく水を飲むことです。

 

ただし、

 

未治療の高血糖を伴う糖尿病では、いくら水を飲んでも、高血糖は改善しなく、浸透圧利尿により尿量だけが増え、高血糖は改善しませんので、口干は水を飲めば一時的に改善するでしょうが、咽燥は続きます。基本的な糖尿病の治療が必要です。加えて養陰、生津の治療法を加味すれば更に効果が上がります。

 

 

 

また、

 

慢性の鼻炎があって、口を開けて寝る場合には、口呼吸のために、咽燥が生じることが有ります。通鼻の治療が欠かせません。

 

 

 

さらに、

 

乾燥症候群を伴うシェーグレン症候群(および類似疾患)の場合には、抗炎症、清熱、養陰、生津の漢方治療を全て行うと、唾液や涙の分泌量が多くなり、唾液分泌低下に伴う口干咽燥が軽減してきます。

 

 

 

さて、私事ですが、

 

実熱も虚熱の証もなく、糖尿病も無く、ましてや鼻炎や膠原病もない私が、昨年来、夏場になると、咽燥に悩まされて来ました。部屋を閉め切って、除湿を24時間行っているためか、丁度、秋の乾燥時期に身を置いているような状態で「風燥」にやられたわけです。適度な湿潤な場所に移動すれば自然によくなるだろうと思いつつも、暑湿なところには出向いて行きたくもないし、窓を開ければ臭い大気が侵入してくるので、あれやこれやと飲んでみて感じたことが有りましたのでご報告致します。

 

赤ワインの水割は効く?

 

赤ワインもついつい過剰摂取すれば口干咽燥になります。海外へのフライトで経験したことですが、ミネラルウオーターと赤ワインの小瓶を偶然注文し、また偶然にワインの水割を飲んだところ、渇きが癒された経験があります。

 

コーヒー:微寒?

 

熱いコーヒーでも、冷たいコーヒーでも、特に体調に変化を来たさないようです。もともとブラックコーヒーは好きじゃないので、私の場合は砂糖の過剰摂取につながる恐れがあります。最近は希少糖に変えています。咽燥に対しては一定の効果がありますが、一日中飲めるものではありません。

 

 

 

紅茶:温?

 

冷たい紅茶でも腹が冷える感じは無いのです。シナモンスティックを入れて飲むと勿論温まる感じがあります。無糖で冷やした紅茶は咽燥には効果が持続します。温かい紅茶は、冬場で体が冷えている場合にはいいでしょうが、夏場の口干咽燥には不向きでしょう。

 

 

 

麦茶:涼?

 

体は涼しくなることは確かです。しかし、好みのせいか、咽燥時にいつでも不味い麦茶を飲む気になれません。咽燥には一定の効果があります。

 

 

 

ホウジ茶:温?

 

体は温まります。冷房を長時間利かし続けた部屋にいて、鼻水が出てきたら、紅茶かほうじ茶を飲むと鼻水が退いていきます。咽燥に対しては一定の効果はありますが弱い印象です。

 

 

 

緑茶:涼

 

熱く火照った体を冷やす働きは麦茶同様ですが、不思議なことに、咽燥(感)は一向に改善しません。飲めば飲むほど咽の渇きが増すような、一種の刺激感があります。私自身の感覚の個人差なのかも知れませんが、その「刺激感」のために、緑茶からは自然に遠ざかることになっています。

 

 

 

結語

 

当院の構造上の問題から、二階と三階の冷房と除湿の利かし過ぎの場所から、皮膚が焼け付くような陽光と、むせ返るような高湿度の外気に当たって一階の診療室まで、数えてみると1日の間に15~17回の往復をしています。診療が終わると三階の居室に翌朝までこもりっきりの生活です。

 

それで、体を冷やし過ぎたのか、乾燥し過ぎているのか、或いは暑気あたりなのか、自分でも弁証困難な体調に陥っています。ともかく咽燥があるので、冷えすぎた体を温めて、かつ咽を潤す飲み物を捜したところ、冷えた紅茶がいいとわかりました。紅茶は冷やして飲んでも、体は温まる感じがするし、咽燥を十分に抑えてくれます。ただし、大温のシナモン=肉桂(温裏散寒、補火助陽、引火帰源)を入れるのは向きません。

 

 

 

酔い覚めの一杯の井戸水ほど旨いものは無い

 

と小生に教えてくれたのは、旧友のNagamine和栄氏です。昨年届いた彼のメールを再度、紹介します。私の記憶する限り、当時彼が飲んでいた水道水は地下水のそれでしたので「井戸」は私の装飾です。

 

 

 

氏のメール本文 以下

 

一日遅れましたが、誕生日おめでとう。

 

しかし、貴ブログでぼやいておられるように、

 

この年になると眠りも浅くなり、疲れもたまりますね。

 

私も連日の熱帯夜に辟易しています。

 

布団に入ってもなかなか寝付けず、4時ころになって

 

ようやく半覚醒状態に陥いるがすぐに目覚めてしまい、

 

シーツの冷たい場所を探して輾転反側するうちに朝刊が届く、

 

というような毎日です。

 

まあ小生の場合は起きる必要がなく眠れるときに

 

寝ていればよいので、うとうとしながら昼近くまで

 

横になって最低限の睡眠時間を確保し、23日ごとに

 

深酒しては熟睡(と言うより気絶状態)して

 

睡眠不足を解消しています。

 

 

 

ところで、昔ながらの梅干を求めておられましたが、

 

時々母が送ってくれる高田梅はコリコリとして

 

歯ごたえも良く、酒のつまみにもなる逸品です。

 

(酸っぱいのと甘いのがあるそうで、小生は

 

酸っぱいほうをリクエストしています)

 

なんなら◎三に頼んで送らせましょうか?

 

 

 

博識でしょう?「輾転反側」しばらく目にしてない4文字熟語です。

 

「シーツの冷たい場所を探して輾転反側するうちに朝刊が届く」のくだりは凝縮された素晴らしい短文ですね。

 

 

 

本日のブログを以って貴兄への暑中見舞いといたします。敬具

 

 

 

酸味と甘みで酸甘化陰(さんかんかいん)という中医学用語があります。梅干しに砂糖をかけて緑茶を飲んでいた子供のころの御老人方を思い出します。

 

芍薬甘草湯にも、酸甘化陰(さんかんかいん)の理論があります。白芍甘草湯:酸甘化陰となり補陰の意味合いを持ちます。緩急止痛の定番です。

 

 

 

ドクター康仁

 

2014818日(月) 記

 


口干咽燥(こうがんいんそう)に適する飲み物とは?

2013-08-22 00:15:00 | うんちく・小ネタ

漢方用語に口干咽燥があります。口が渇いて咽(のど)の乾燥感を覚えるという意味です。治療原則は清熱、養陰、生津(しょうしん)ということになります。

清熱(せいねつ)とは解熱とほぼ同意ですが、熱性疾患に伴う口干咽燥に対して、原因である熱邪を実熱、虚熱を問わず清熱祛邪するという治療方法になります。虚熱、実熱を問わず、口干咽燥には体液「津液(しんえき)」が不足している場合が多いので、養陰、生津を加えて治療すれば効果的です。

直接的な補陰法はともかく水を飲むことです。

ただし、

未治療の高血糖を伴う糖尿病では、いくら水を飲んでも、高血糖は改善しなく、浸透圧利尿により尿量だけが増え、高血糖は改善しませんので、口干は水を飲めば一時的に改善するでしょうが、咽燥は続きます。基本的な糖尿病の治療が必要です。加えて養陰、生津の治療法を加味すれば更に効果が上がります。

また、

慢性の鼻炎があって、口を開けて寝る場合には、口呼吸のために、咽燥が生じることが有ります。通鼻の治療が欠かせません。

さらに、

乾燥症候群を伴うシェーグレン症候群(および類似疾患)の場合には、抗炎症、清熱、養陰、生津の漢方治療を全て行うと、唾液や涙の分泌量が多くなり、唾液分泌低下に伴う口干咽燥が軽減してきます。

さて、

実熱も虚熱の証もなく、糖尿病も無く、ましてや鼻炎や膠原病もない私が、近日来、咽燥に悩まされて来ました。部屋を閉め切って、除湿を24時間行っているためか、丁度、秋の乾燥時期に身を置いているような状態で「風燥」にやられたわけです。適度な湿潤な場所に移動すれば自然によくなるだろうと思いつつも暑湿なところには出向いて行きたくもないし、窓を開ければ臭い大気が侵入してくるので、あれやこれやと飲んでみて感じたことが有りましたのでご報告致します。

コーヒー:微寒?

熱いコーヒーでも、冷たいコーヒーでも、特に体調に変化を来たさないようです。もともとブラックコーヒーは好きじゃないので、私の場合は砂糖の過剰摂取につながる恐れがあります。咽燥に対しては一定の効果がありますが、一日中飲めるものではありません。

紅茶:温?

冷たい紅茶でも腹が冷える感じは無いのです。シナモンスティックを入れて飲むと勿論温まる感じがあります。無糖で冷やした紅茶は咽燥には効果が持続します。

麦茶:涼?

体は涼しくなることは確かです。しかし、好みのせいか、咽燥時にいつでも不味い麦茶を飲む気になれません。咽燥には一定の効果があります。

ホウジ茶:温?

体は温まります。冷房を長時間利かし続けた部屋にいて、鼻水が出てきたら、紅茶かほうじ茶を飲むと鼻水が退いていきます。咽燥に対しては一定の効果はありますが弱い印象です。

緑茶:涼

熱く火照った体を冷やす働きは麦茶同様ですが、不思議なことに、咽燥(感)は一向に改善しません。飲めば飲むほど咽の渇きが増すような、一種の刺激感があります。私自身の感覚の個人差なのかも知れませんが、その「刺激感」のために、緑茶からは自然に遠ざかることになっています。

結語

当院の構造上の問題から、二階と三階の冷房と除湿の利かし過ぎの場所から、皮膚が焼け付くような陽光と、むせ返るような高湿度の外気に当たって一階の診療室まで、数えてみると1日の間に15~17回の往復をしています。診療が終わると三階の居室に翌朝までこもりっきりの生活です。

それで、体を冷やし過ぎたのか、乾燥し過ぎているのか、或いは暑気あたりなのか、自分でも弁証困難な体調に陥っています。ともかく咽燥があるので、冷えすぎた体を温めて、かつ咽を潤す飲み物を捜したところ、冷えた紅茶がいいとわかりました。紅茶は冷やして飲んでも、体は温まる感じがするし、咽燥を十分に抑えてくれます。

酔い覚めの一杯の井戸水ほど旨いものは無い

と小生に教えてくれたのは、旧友のNagamine和栄氏です。昨日届いた彼のメールを紹介します。私の記憶する限り、当時彼が飲んでいた水道水は地下水のそれでしたので「井戸」は私の装飾です。

氏のメール本文 以下

一日遅れましたが、誕生日おめでとう。

しかし、貴ブログでぼやいておられるように、

この年になると眠りも浅くなり、疲れもたまりますね。

私も連日の熱帯夜に辟易しています。

布団に入ってもなかなか寝付けず、4時ころになって

ようやく半覚醒状態に陥いるがすぐに目覚めてしまい、

シーツの冷たい場所を探して輾転反側するうちに朝刊が届く、

というような毎日です。

まあ小生の場合は起きる必要がなく眠れるときに

寝ていればよいので、うとうとしながら昼近くまで

横になって最低限の睡眠時間を確保し、23日ごとに

深酒しては熟睡(と言うより気絶状態)して

睡眠不足を解消しています。

ところで、昔ながらの梅干を求めておられましたが、

時々母が送ってくれる高田梅はコリコリとして

歯ごたえも良く、酒のつまみにもなる逸品です。

(酸っぱいのと甘いのがあるそうで、小生は

酸っぱいほうをリクエストしています)

なんなら◎三に頼んで送らせましょうか?

博識でしょう?「輾転反側」しばらく目にしてない4文字熟語です。

「シーツの冷たい場所を探して輾転反側するうちに朝刊が届く」のくだりは凝縮された素晴らしい短文ですね。

和栄君 是非、甘いほうでなく、酸っぱい梅をお願いします。なにしろ、パンにつけるマーマレードのような軟弱で甘ったるい梅しかこの辺にはありませんので。◎三様によろしくお伝えください。お手数おかけいたします。(老母に頼むと張り切り過ぎての腰痛などを懸念しますので。)

本日のブログを以って貴兄電信文への、返信、御礼、暑中見舞い、頼み申すこと一件といたします。

敬具

2013821日(水) 記


要薬考 No10 白前 前胡 紫菀 款冬花 旋覆花

2012-11-12 00:15:00 | うんちく・小ネタ

清書で止咳平喘薬として分類されているものは、杏仁↓(苦辛) 甜杏仁(甘) 桔梗↑(苦辛) 前胡↓(苦辛) 白前↓(苦辛) 百部↓(甘苦) (辛苦) 

款冬花↓(辛) 旋覆花↓(苦辛鹹) 金沸草↓(苦辛鹹) 桑白皮↓(甘) 

枇杷葉↓(苦) 蘇子↓(辛) 葶藶子↓(辛苦) 馬兜鈴↓(ばとうれい)(苦微辛)

青木香(苦辛) 色分けは温薬がオレンジ~赤、涼寒薬はライトブルー~ブルー、平薬はグリーンとしました。

色分けしてみますと、温涼寒平いろいろありますね。矢印は↓は降気作用を意味し、肺気上逆の気逆を降ろすという意味です。ここで桔梗のみが↑となっていますが、宣肺痰作用といい、肺気を発散させるという意味と、諸薬を肺に載薬上行させる引経薬として作用する意味にもなります。

治肺でよく用いられるものに、宣肺(せんぱい)、粛肺(しゅくはい)、清肺(せいはい)、瀉肺(しゃはい)、温肺(おんぱい)、潤肺(じゅんぱい)、補肺(ほはい)、斂肺(れんぱい)の八直法があります。燥肺(そうはい)をくわえるべきとするは当院の趙鴻博士の意見です。燥肺とは湿濁が肺に蓄積した場合に、肺の好む適当な潤の状態にまで戻すと言う意味であり、肺を燥にする意味ではなく、燥に過ぎてはなりません。肺は元来、燥をにくみ、燥に傾けば肺気上逆または喘息様の咳が出現するからです。

漢方用語の解説

宣肺とは肺衛の表邪を疎散させること。麻黄 紫蘇 桔梗などに作用があります。

粛肺とは肺中の痰火を清除させること。

清肺萋 貝母 竹茹 天竺黄 竹瀝)とは肺中の実熱を清泄させること、

瀉肺とは肺中の痰火と水湿を瀉すこと。

瀉肺(桑白皮 葶藶子)と粛肺(蘇子 杏仁 旋覆花)は又、重軽、緩急の区別があり、前者では比較的強い薬を使い、後者においては比較的おだやかな作用のある薬が使われます。

温肺(乾姜 細辛 白芥子)は肺中における寒飲の温化を意味します。

潤肺(款冬花 百部 枇杷葉)は、乾いた肺を潤すことを意味します。

補肺とは、甘温で肺気を益し(人参 山薬)、又甘涼(沙参 麦冬 百合まど)で肺陰を養うことです。

斂肺(五味子)とは、発散された肺気を収斂してやることである。固渋法の一つで、慢性の咳をとめる治療法です。

燥肺(半夏 天南星)

宣肺、粛肺、清肺、瀉肺は邪に属します。

温肺、潤肺も邪する方法です。

補肺、斂肺等は扶正に属します。

肺は弱い臓で清虚かつ高位にあります。方剤は、重濁ではなく、清軽のものを選ぶべきである。呉鞠通は「上焦を治するものは羽の如く、軽ではなくば、挙にならない」と説きました。肺は弱い臓で寒熱に耐えられません。甘潤のものは肺気を自降させ、静粛となるので、治肺の方薬は、辛平甘潤が最も適宜と思います。

(内経)には「辛は肺を生む」「辛をもって瀉す」とあります。この瀉は表邪を駆散させ、邪を除き正を安定させ、肺の作用を助けるので「生肺」と言われます。(内経)には又「肺は収を欲すれば、急に食酸で収まる」「酸でこれを補う」とある。咳喘であれば上気し、呼吸促拍になり、肺気を耗散させる。それで酸をもって肺体を補い、耗散された気を収める。苦はすなわち降に、辛はすなわち散に、甘は滋潤に作用するとあります。

臨床では以上の諸々の方法を、組みあわせて用いなければならない。例えば宣粛を用いると同時に、清粛をも用いる。その他、清と潤を、清と宣を、潤と粛を、斂と補を同時に使い、例えば温、清、宣、斂を合わせて使います

宣粛、清潤を合わせて使う等があります。

基礎理論的用語解説

宣発

肺の機能で、広く発散させて行き渡らせるという意味があります。気・血・津液を全身に巡らせたり、発汗や呼吸を行うことです。口から濁気を外へ出したり、発汗したり、皮膚呼吸で濁気を出すことをいいます。

粛降

肺の機能で、各臓腑へ降ろすという意味があります。下降させることにより、吸気や水分を下方へ移動させることです。体内に清気を採り入れることをいいます。採り入れた清気は下降して気道を清潔に保ちます。また、大腸の蠕動運動を促します。


「要薬」考 No9 鶏卵 天南星

2012-11-11 00:15:00 | うんちく・小ネタ

日曜で10時半に起床して、卵かけご飯を食べようと、卵を軽くカリンと割ったら、こんな中身が出てきた。

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スーパーでは、白い殻よりも茶の殻の卵のほうが若干高い。消費者の目を引くようなうたい文句が添えられている。「鶏種・純国産紅葉鶏、産直 ~たまご」のようなキャッチコピーである。今朝の卵は、殻は紙のように薄く、黄身は薄く広がり、盛り上がりも無く、色は淡黄色である。一目で、「旨くない」卵を連想させる。粗製乱造かも。戦後物価が上昇した中で、卵ほど価格が安定している食品はない。しかし、昔人間を納得させる卵が少なくなった。
昔の小学生なら「白色レグホン」の名前は記憶している。白い羽の色をした鶏が産む卵の白い殻は厚く「ガチン」と割ったものだった。次は、日本種の「名古屋コーチン」に代表される、羽の色が茶色の鶏が産む茶色の卵であった。飼育羽数からいえば「ボリスブラウン」などの海外種が主流で、体が大きい分、餌代が嵩むが、最近急速に飼育羽数が増加しているという。

茶系の鶏が産む卵は色の濃さが千差万別だという。パック詰めでも濃い色の卵が入っているものの売れ行きがよく、生産者も出来る限り濃い色に近づけようとする。餌によっても殻色を調節できるらしい。

屋内だけで、太陽光をコントロールした鶏舎で育てると、太陽光浴びることが可能な鶏舎よりも、濃い色の卵が多くなるという。そのメカニズムはよく解らないが、鶏は外敵から自分の卵を守るため、暗いところで育った鶏は目立たない濃い色の卵を産むのか?なにか、鶏の本能論になる。
生きのいい若い雌鶏が産む卵と、更年期前の卵では、艶(つや)に違いが出るだろう。

「割って」みないと判断できないとは、情けない消費者である。とにかく「紙のように薄く、濃い茶の殻の鶏卵」は、旨くなかった。

本日の漢方市民講座 要薬考No9 鶏卵 天南星

大定風珠滋陰息風){真陰大傷 虚風内動の危険な状態に}<出典 温病条弁>

方剤分析:加減復脈湯五味子生三甲+鶏卵 

加減復脈湯(滋陰清熱)主治 肝腎陰傷

生地18生白芍18炙甘草18阿膠麻子仁麦門冬15麻子仁は潤腸通便

以上に五味子6牡蛎別甲12+鶏卵を加味したものである。

加減 喘には人参 自汗には人参竜骨浮小麦を加味 心悸には人参茯神浮小麦を加味

阿膠板別甲鶏卵 真陰填補 牡蛎:潜陽息風 白芍生地麦冬:滋陰養血増液

五味子:収斂 斂陰留陽 五味子白芍炙甘草:酸甘化陰 麻子仁:滋陰潤燥の補助

大定風珠は真陰大傷、虚風内動に対する滋陰息風を効能とする方剤であり、下虚の治療を目的にしている 陰虚生風が目立つ眩暈に効果があろう。現代なら、ICUで電解質補正を行いながら補液、栄養剤の点滴となる重症である。

卵アレルギーのある場合には少々厄介なことが発生する。

当時14歳の女子中学生[主 訴] アトピー性皮膚炎。

[原病歴] 小児の頃から本病の体質傾向があったが,ケーキ屋さんでアルバイトする姉が,毎日の売れ残りを沢山持って帰る日々が続いたお陰で,ケーキ漬け天国の期間が数ヶ月続いていた。ところが、突然,顔面、四肢の屈曲部に激しい発赤、腫脹、掻痒感が発生。一般の皮膚科医院に通院治療していたが,ステロイド剤による副作用のマスコミ報道で恐怖心を煽られ,漢方薬を求めて母親と来局。皮膚科の検査では,「家ダニ」と「鶏卵」にIgE陽性が出ていた。

顔面の紅潮と腫脹が顕著で白屑を伴い,掻きむしって生じた滲湿液が黄色のかさぶたを形成していた。四肢の屈曲部も同様に,血液を伴った滲湿液が出てかさぶたを形成している。首や腹部や背部にも見られ,全身に皮膚炎が蔓延。鼻閉 希薄透明な鼻汁、くしゃみなどもあり,鼻炎症状も顕著。大便は4~5日に1回。体力がなく,学校から帰ると寝てばかりいる。舌質は淡紅で舌先が鮮明な紅色。中央部より舌根部にかけて微黄膩苔,その他は無苔。気陰双補、清熱化痰(湿)を治療原則に、補中益気湯、辛夷清肺湯と猪苓湯適量の大黄の錠剤を与えた。かなり即効があり,皮膚炎・鼻炎症状ともに急速に消退。ステロイドのリバウンドを心配したが、半年後には殆ど無症状に近くなった。辛夷清肺湯は日本漢方においては鼻疾患専門の方剤とされているが,中医学的には肺陰虚と肺熱が同時に介在する各種疾患に応用出来る。

天南星(てんなんしょう)サトイモ科テンナンショウ属植物の塊茎 苦 辛 温 有毒

帰経 肺肝脾 生の天南星は有毒であるので、半夏と同様に冷水に頻回に浸し、明礬、あるいは生姜、竹瀝などと炮製したものを使用する(制天南星)

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スライド 天南星 本草綱目彩色図譜より サトイモ科というものの葉は全くそれらしくないので葉の写真も載せました。半夏 白芥子もサトイモ科です。開竅薬の菖蒲はサトイモ科です。

温化寒痰薬


要薬考 No8 附子 肉桂 連翹 藿香 佩蘭

2012-11-10 00:15:00 | うんちく・小ネタ

かつて、「日本の最南端の沖縄」で働いた。

歌の世界では、女性の「旅立ち」は、朝早く、殆ど北に向かう。例外は「ジョニーへの伝言」で「西でも東でも」である。歌の舞台がNY?なら、頷ける。私は、夕暮れに日本の最南端に向かった。歌謡曲的には「女と、ま逆」の旅立ち。

会津→新潟→沖縄→(関西→アメリカ→中国その他諸国を行ったり来たり)→そして神戸→同市岡本→下町の御影、そして現在。思い出に浸る暇も無いほど近頃は忙しい。自分勝手に忙しくしているむきもある。「アキレタ野郎」と自分で烙印を押してから胆(きも)が座った。

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写真 医院の待合室にあるシーサーの絵。沖縄在住時代に、友人の「上原」さんに、頂いたものをスケッチしたものだ。まだ30代前半の小僧時代。シーサーの視線の先には「尖閣」もあります。

本日の漢方市民講座は「要薬」附子 肉桂 連翹 藿香 佩蘭 です。

附子(ぶし)大辛 大熱 有毒 帰経 十二経 

キンポウゲ科のトリカブトの子根より加工、炮製して利用する。画像をクリックすると拡大像になります。

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スライド 附子と烏頭(うず)

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同じく温裏薬である干姜(乾姜)との比較を示す。

肉桂(にっけい)桂皮ともいう。クスノキ科ケイの幹の皮 香辛料のシナモンである。

辛 甘 大熱 帰経は 肝 腎 心 脾 胃

温中補陽 散寒止痛 温通経脈 補気補血の方剤に少量加えて、陽気を高め、気血双補の効能を強化する。

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スライド 肉桂(桂皮)

同じく温裏薬である乾姜と性質を比較してみると

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スライド 干姜と肉桂の共通点と相違点

連翹(れんぎょう)

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スライド 連翹

連翹 モクセイ科レンギョウの果実 清熱解毒 清心瀉火  疏散風熱 

消瘍(癰)散結

清熱利小便(麻黄連翹赤小豆湯)に作用 

麻黄連翹赤小豆湯(傷寒論):麻黄 杏仁 生梓白皮 連翹 赤小豆 甘草 生姜 大棗

清熱解毒 連翹は瘡瘍の要薬である。 

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スライド 連翹効能

藿香(かっこう)

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後述する佩蘭(はいらんペイラン)とともに、馴染みの薄い生薬で、共に暑薬に分類されている。芳香化湿として分類されている清書もある。暑薬としての分類では香薷(こうじゅ)と同じ並びとなるが、中国では、香薷を発汗解表薬として分類している清書もある。中国の清書の多くは、藿香、佩蘭は芳香化湿薬として分類され、蒼朮、厚朴、砂仁と同じ並びとなる。生薬は起源的分類と薬効分類に大別されるが、分類からの入門は、意外に複雑である。効能から入門しても、一つの生薬の効能が多岐にわたるので、これも複雑である。要は「馴染み深い」「使い慣れが大切