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不妊症の漢方治療 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

2008-04-27 09:24:29 | ブログ

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、排卵障害による不妊症の原因のひとつで、卵胞が比較的多く育つのに成熟卵胞がないために排卵が起こらない病気です。

PCOSの症状


最も特徴的な症状は、排卵がおこりにくいことによる生理不順や無月経です。不妊症の原因になります。未成熟卵胞では、男性ホルモンが作られるため、血液中の男性ホルモンが増加し、生理不順をひきおこす原因のひとつになります。この場合には、毛深くなることもあります。肥満を合併することもあります。無排卵では排卵後に分泌されるはずの黄体ホルモンが分泌されにくく、月経過多や、出血がとまらないなどの症状が起こりやすくなります。おこしやすくなります。その他の症状として、ニキビなどがあります。

PCOSの原因

現代西洋医学的に原因が特定されていません。

視床下部-脳下垂体-卵巣の機能失調によるものであることは

確かなようです。高プロラクチン血症の原因ともなります。
卵巣の形態的変化として画像検査で卵巣の腫大と未成熟な卵胞が数珠上に卵巣表面に並んでいるのが確認できることが挙げられます。

PCOSによる不妊症の排卵誘発法

クロミフェン療法では排卵が起こらないことが多い一方、HMGを用いて排卵を誘発すると多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こしやすい病気です。

外科的には卵巣の表面に小さな穴をたくさんあけ、排卵を促すと方法も行われることがあります。腹腔鏡下手術で行います。

PCOSの漢方治療

中国婦人科漢方医学では、PCOSは「月経不調」「不妊」「癥(ちょうか)」の3分野の領域から、治療を開始することになります。

おもに、腎 脾 肝の相互の調和を改善することが大切な要素です。

腎は泌尿生殖器 性ホルモン 水分代謝と関係し、脾は消化吸収能力と水分代謝に関係します。肝は情緒変化から来る自律神経の機能や、血を貯蔵する働きと関係します。PCOSでは腎 脾 肝の不調が見られることが多く、これらを改善していくことがPCOSの治療です。


PCOSの漢方処方例

ここでは具体的に5つの処方例を示し、それぞれの特徴を述べます。

温陽化痰湯

附子 穿山甲 貝母 肉桂 熟地黄 補骨脂 皂角刺 石菖蒲 黄精

 上海の婦人科学会での標準的な方剤です。肝腎を強化し、陽気を補うことを主眼とします。

温腎?

鹿角片 巴戟天 淫羊藿 穿山甲 山楂 防己 黄耆 胆南星 半夏 貝母

炙甘草

 浙江省中医学院学報に発表された方剤です。

 排卵を誘発し、基礎体温表で、一相性がほぼ前例で2相性になったと報告がありました。

 浙江省産の貝母は浙貝母あるいは象貝母と呼ばれ、清熱 散結作用が強いのが特徴です。四川省産の貝母は川貝母と呼ばれ止咳 化痰作用が強く、呼吸器疾患で用いられます。

化痰散結湯

三棱 莪朮 象貝母 穿山甲 山慈姑 胆南星 夏枯草 皂角刺

 湖北省中医雑誌に掲載された方剤です。

 三棱や莪朮などの破血調経が特徴です。

当帰黄耆消嚢湯

当帰 炙黄耆 仙霊脾 菟絲子 生姜 大棗

 気血両虚タイプのPCOSに用います。

加味固

黄耆 白朮 山薬 山茱萸 白芍 茜草 棕櫚炭 海螵蛸 五倍子 鍛牡蠣 鍛竜骨

 沖任不固といい、生理出血が多い脾気虚のPCOSに用います。収斂止血作用を持つ生薬が特徴です。

全体を通していえることは、PCOSを腎虚として捕らえていることです。したがって補腎薬の配合が欠かせません。また「痰」「淤血」の関与から、化痰薬、淤薬の配合があります。また、症例に合わせて、補気養血薬、収斂止血薬の配合と、イライラしやすい、胸の張った痛み、腹が張る、ガスがたまる、ゲップが良く出るなどの「気滞症状」がある場合には、柴胡を中心とする疎肝剤と理気薬が加味されています。また、軟堅散結の考え方は全体に共通しているようです。

処方する漢方医、そして何よりも服用する患者さんの立場からは、やや面倒ですが、PCOSの治療に月経周期療法を行う場合があります。基本処方は患者さんの体質に合わせ、各周期にはそれぞれの生薬を併用します。

多嚢胞性卵巣症候群の漢方治療は、妊娠まで、およそ最長2年ぐらいの期間がかかります。あせらず、治療をしていただくことが肝要です。

婦人病の漢方治療のお問い合わせは下記URLより

http://okamotokojindou.com/ 

漢方専門医院 岡本康仁堂クリニック


不妊症の漢方治療  高プロラクチン血症

2008-04-25 03:03:47 | ブログ

生理不順 乳汁分泌には漢方薬が効く

きめ細やかな漢方治療の特徴

妊娠していないのに、乳汁が出て、かつ不妊症である原因は高プロラクチン血症です。プロラクチンは乳汁分泌ホルモンともいい、母乳を出すホルモンですが、排卵を抑制する働きがあります。脳下垂体から分泌されるホルモンで、妊娠により分泌が亢進します。プロラクチンが妊娠していないときに過剰に分泌されると、排卵障害が起きて月経が不順になります。
プロラクチンは、脳下垂体から出るホルモンですが、その分泌をコントロールしているのは脳下垂体の上部にある視床下部です。
視床下部は、自律神経の中枢であり、ストレスなどで自律神経のバランスが崩れると、プロラクチン分泌刺激が亢進して、高プロラクチン血症になると考えます。

プロラクチンが高いと、FSH(卵胞刺激ホルモン)LH(黄体化ホルモン)の分泌が低下して、成熟卵胞が出来にくい、黄体が少なくなり不妊症の原因になります。主な症状としては、乳汁が出る、生理前の乳房の張り、生理の遅れ、無月経などです。

伝統医学に学ぶ

中国では昔から、母乳を止めたいときは、炒り麦芽を煎じて飲んでいました。
逆に母乳が出ない時は、穿山甲を使いました。いずれの場合でも、乳房が熱を持って痛むときは蒲公英などの清熱解毒薬を外用しました。

乳房全体は胃経、乳頭は肝経に属します。

麦芽は脾胃肝が帰経です。ご存知のとおり消化剤です。母乳の必要が無い場合に、乳汁分泌を止める作用を中国では「回乳」といいます。民間では、小麦粉と麦芽の湿布で乳房の緊張を除くことがされています。麦芽によってプロラクチンが有意に低下します。

逆に母乳の必要性がある場合に乳汁分泌を促すことを「下乳」といいます。

穿山甲(せんざんこう)の「下乳」作用が中国では古くから知られていました。

穿山甲は肝胃が帰経です。血液循環を活発にさせ生理を起こさせる活血通経作用、「下乳」作用、排膿を促し、腫れを除く消腫排膿作用を有します。

薬剤の副作用や脳下垂体の良性腫瘍が原因の高プロラクチン血症がある

妊娠以外にプロラクチンが過剰に分泌される場合に、プロラクチンを産生する脳下垂体に腫瘍ができている場合、甲状腺機能が低下している場合、薬剤の副作用によりプロラクチン分泌が亢進する場合があります。プロラクチン分泌を亢進する薬剤としては、向精神薬の一部、胃潰瘍の薬、吐き気止めの薬などがありますので、注意が必要です。もちろん、いろいろ調べても原因が特定できない場合もあります。プロラクチンに対する感受性の亢進などが考えられています。

以上をまとめると、プロラクチンが高くなる原因は下記のようになります。

睡眠中、授乳時の乳腺への刺激、妊娠、精神的ストレス

中枢神経に作用する薬剤(イミプラミン、ハロペリドールなど)

降圧剤の一部(アルファメチルドーパ、Ca拮抗薬の一部など)

抗潰瘍薬 (シメチジンなどのH2-ブロッカー)

吐き気止めなどの胃腸薬の一部

経口避妊薬などのホルモン剤

下垂体腫瘍、甲状腺機能低下症、多嚢胞性卵巣

高プロラクチン血症に対する西洋薬

商品名:テルロン:成分テルグリドや、商品名:パーロデル:成分ブロモクリプチンなどがあります。治療効果は優れていますが、吐き気などの副作用が頻繁に認められます。週1回の内服で治療できる商品名:カバサール:成分カベルゴリンも、使用され始めています。

高プロラクチン血症に対する中国漢方処方

中医学では「閉経」と「乳泣」という婦人科領域の学問に相当します。

代表的な処方例を紹介します。

黄耆 山楂 白芍 麦芽 沙苑子 枸杞子 柴胡 甘草

疲れやすいなどの症状がある場合です

柴胡 丹皮 山梔子 茯苓 当帰 赤芍 青皮 紅花 麦芽 牛膝

  ストレス性の精神抑鬱が強く、生理がとまってしまった場合などです。

当帰 柴胡 白朮 茯苓 薄荷 香附子 青皮 白芍 麦芽

  同じくストレス性のもので胃腸障害などを併発している場合です。

麦芽 丹参 益母草 茯苓 当帰 女貞子 旱蓮草 川断 沢蘭 白朮 

香附子 仙霊脾 丹皮 山梔子 柴胡 川牛膝 陳皮

  虚弱体質で、かつストレスなどにより生理がとまってしまった場合です。

     各々、患者さんの体質に合わせた処方例です

このうち太文字の生薬についてご紹介します。中国では、古くから民間で広く使用されてきた生薬です。

赤は温薬グリーンは平薬ブルーは寒涼薬です。

さんさ

帰経:脾胃肝

効能:消食化 活血散

油性の消化不良に有効、高脂血症、動脈硬化にも有効)

五年以上の古い山を入れて料理すると鶏肉がやわらかくなります。

肉500gに山1020gを加えて調理すると脂肪が吸収されにくくなり、

毎日茶のようにして飲むと高脂血症、抗動脈硬化作用があります。

活血散作用は主に、産後の悪露を早く出させる目的に用います。

沙苑子

しゃえんし


ダイエット漢方とは?

2008-04-21 04:28:48 | ダイエット

脱メタボリック症候群の漢方治療

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)の効用④

ニキビと防風通聖散

防風通聖散が効くのは「胃熱タイプ」のニキビです。

胃熱タイプのニキビの特徴

胃熱が上攻するので口周囲に好発します。湿熱により、顔面、胸背部に粟粒大の赤色丘疹が出ます。よく見ると、丘疹頂点に黒点が観察できることがあります。胃熱のために口臭があることがあります。食べてもすぐにお腹が空くような胃熱亢進のための食欲亢進があります。舌質は紅く、内熱のために舌苔は黄色っぽく、脈は滑数が多いようです。

調胃承気湯(ちょういじょうきとう)が基本方剤です。

大黄、芒硝、炙甘草が組成です。

防風通聖散には通便剤である大黄、芒硝が配合されています。

大黄は泄熱通便により胃熱を清するほかに、解熱、消炎、抗菌、さらに利胆作用を持つ。焦がした大黄は血液凝固促進作用で止血を助けます。瀉下作用により、腸管内の内熱とともに、毒素を糞便で排出させます。

その他のニキビの漢方治療

ポイントは便秘傾向があるか?或いは 軟便下痢傾向か?ということです。

冷たいものを飲むと体調がよくなるのか?あるいは暖かいものを飲むと体調がよくなるのか?も大きなポイントです。

肺熱タイプ

   顔面に粟粒ぐらいの大きさのニキビが出現します。特に鼻周囲に好発します。加えて口や喉、鼻の乾燥感があります。舌診では舌質紅で苔が黄色のことが多く、頻脈気味です。

   枇杷清肺飲(びわせいはいいん) 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)などで治療します。

血熱タイプ

   肺熱タイプと似ていますが、眉間に多発し、顔面の紅潮や、顔面皮膚の灼熱感があり、顔面の毛細血管拡張が認められる場合があります。

   温清飲(うんせいいん)を基本処方とします。

淤血タイプ

   ニキビが暗色あるいは紫紅色で、硬結あるいは色素沈着、毛包の角化、瘢痕を伴うことが特徴です。淤血による月経痛や経血中に血塊があり、舌診で淤斑や淤血点が認められます。

活血湯(つうきょうかっけつとう)などが基本的な方剤です。

気血両虚タイプ

  ニキビはパラパラと散在性で、色は淡紅・正常色です。ニキビ内部で化膿圧迫しても潰壊しないことや、なかなか直りにくい傾向があります。疲れやすく、顔色に艶が無く、軟便あるいは下痢気味です。 舌質は淡であり、脈は虚弱です。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や帰脾湯(きひとう)加減で治療します。

このうち、肺熱タイプと血熱タイプには移行型が存在します。また、気血両虚タイプには淤血タイプを合併する場合もあります。それぞれ、漢方の専門医に診断を仰ぎ、適切な治療を行えばニキビは軽快するものです。

漢方治療のお問い合わせは下記URLより

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ダイエット漢方とは?

2008-04-20 10:52:57 | ブログ

脱メタボリック症候群の漢方治療

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)の効用③

胃熱タイプの口臭にも有効な防風通聖散

漢方は病的な口臭にとてもよく効きます。歯周病に対しても、その根本的な原因は腎気が加齢と共に衰えるのが原因と考えますので、歯科医に通院中の方でも、腎気を補う漢方薬を併用すれば回復も早いのです。中国漢方医学では「腎は骨をつかさどり、歯は骨の余り」とされます。清熱作用がある知母(ちも)と黄柏(おうばく)を加味した知柏地黄丸(ちはくじおうがん)が経験的にいいようです。

空腹時の口臭や長時間話しをした後の口臭は、生理的口臭ですので病的ではありません。実際には口臭がないのに、自分では口臭があるように思い込む「自臭症」もあります。この場合には「鬱症(うつしょう)」などの弁証を行います。安神薬などを中心にした漢方治療が有効です。

漢方では口臭の原因の多くは、胃の熱(胃熱)によるものと考えます。
甘い物、脂っこい物、香辛料などを食べ過ぎ、お酒の飲み過ぎは胃に熱をためる事になります。またストレスなどで肝火が燃え上がると、胃に熱を加える原因にもなります。胃熱を除けばほとんどの口臭は改善します。

胃熱を取る漢方薬はいろいろあります

便秘がある場合の代表は防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、黄連  大黄からなる三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)があります。黄連 黄芩 黄柏 山梔子からなる黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は便秘が無く熱証が強い場合に使用しますが、黄連 黄 黄柏 山梔子は漢方でいう苦寒薬の代表ですから、胃腸が弱く下痢や軟便になる脾虚体質の方が誤って服用すると脾胃を傷つけることになるので注意が必要です。

他には石膏 知母 生甘草 粳米からなる白虎湯(びゃっことう)があります。少し難しいのですが、漢方古典には、清気分熱という作用を持ち、陽明気分熱に用います。清熱生津といい、体液の消耗を予防する効果があるとされます。白虎湯に人参を加えた白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)です。熱証がひどく、口渇や舌苔の乾燥などがあり、津液不足が併発している場合などには白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)が中焦の胃熱を取るとされています。ただし、この人参は、性質が涼で、生津の作用をもつ西洋参が適しています。白虎加人参湯が発展したものが玉女煎(ぎょくじょせん)です。専門的には胃熱陰虚の虚火性の歯痛や口臭に、清胃滋陰作用によって症状を軽減させます。

  玉女煎(ぎょくじょせん)

  石膏 生地黄 牛膝 麦冬 知母

脾虚体質の口臭には健脾薬を服用すると、症状が改善することが多いのです。湿熱がある場合は平胃散(へいいさん)、ストレスがたまりやすく肝鬱化火の証があれば加味逍遥散(かみしょうようさん)が効きます。

私の経験では、緑のカリフラワーは喉が渇いて口臭がある場合にも効く。中国では、緑の花菜(カリフラワー)には一定の清熱解毒作用があり脾虚胃熱、口臭煩渇の症状に良いとされています。

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ダイエット漢方とは?

2008-04-19 11:04:46 | ダイエット

脱メタボリック症候群の漢方治療

防風通聖散

(ぼうふうつうしょうさん)の効用②

胃熱タイプの肥満に有効とされる

全身性の肥満 食欲亢進 筋肉や皮膚の張りは良好 口が渇く 口臭がある 赤ら顔である 暑がり 汗をかきやすい 便秘傾向がある 脈滑有力などの特徴があり、肥満ではあるが、体が弱くないいわゆる実証タイプの肥満に有効と巷の漢方書には記載されている。

防風通聖散には発汗剤である麻黄(まおう)が含有されているので、もともと汗をかきやすい人が防風通聖散を服用すると、だらだらと発汗がひどくて閉口する場合がある。漢方の古典には、「悪寒が無ければ麻黄を除き、 高熱口渇が無ければ石膏を除く」と記載されています。悪寒(さむけ)がしても、発汗が無い場合は、麻黄を配合して発汗させて、熱を下げるという意味である。したがって、そもそも肥満に対する方剤として使用する場合には、だらだら発汗させるような過量な麻黄は有害であり、基礎代謝を亢進させる程度の量が麻黄の適量となる。患者さんによっては、麻黄に過敏に反応する人もあるので適量を使用しなければならない。大黄や芒硝などの瀉下剤や、滑石は、それぞれ大便と尿から熱を体外に排泄させる意味を持つ。大黄や芒硝も、水様便になるほどの量は過量である。肥満症の治療では、老廃物を排泄するという程度に使用しなければならない。

代謝亢進の目的で辛いものを食べている場合との飲み合わせ

肥満防止の目的で辛いものを好んで食べている女性も多い。唐辛子を例に取れば、辛味の成分はカプサイシンで、胃腸の蠕動と消化液の分泌を活発化させ、消化管内の異常発酵を押さえ、消化管内の積滞物を排泄させることから、食欲と消化を促進する効果がある。カプサイシンは血液循環と心拍出量を増加させ、血管を拡張させ、顔面の発汗や、手足の冷たさを寛解するなど温中散寒、辛温解表、発汗退熱の効能がある。
朝鮮民族、四川、雲広、湖広地方の民間人に肥満体はあまりいない。カプサイシンの基礎代謝亢進や脂肪代謝促進などがそのメカニズムである。カプサイシンは、陰虚火旺の体質者、あるいは汗っかきの人、妊婦は避けるべきである。胃粘膜を充血させ痛みを起こす作用があるので、胃炎 胃潰瘍 胃腸出血 痔などがある場合は控えなければならない。辛いものは「胃熱」を増長させるのです。防風通聖散には胃熱を清する働きがあるので、この意味では飲み合わせはいいと思われる。しかし、辛いもので汗をかくことが多いわけであるから、麻黄(まおう)のような発汗剤は加減して使うべきである。

胃熱が原因の口元、鼻の周りの顔面の赤みに防風通聖散が効く

漢方医学では口唇の周囲は脾胃が支配すると説いている。漢方医書の「医宗金鑑」に「面游風(めんふうゆう)」という病気が記載されている。

初めに顏が乾燥し、痒みが出現し、ぱらぱらと皮膚がはがれる白屑が生じる。

湿熱が盛んな場合には痒く、引っ掻くと汁が出て、乾燥すれば目尻が切れたりする。口元や鼻の周りが赤くなり、皮膚がはがれやすくなる。口元の荒れは夏に多い。夏に悪化する場合は「湿熱」が原因である。

普段から辛いものの過食が原因で「血燥」となり、胃経が熱を帯び、口の周りや小鼻の周囲の皮膚に現れたものとしている。

防風通聖散の組成と、その大まかな効用をしめす。

 ?芥 防風 麻黄 薄荷(発汗邪:発汗させることで解熱させる)

このうち、?芥と防風は風剤といい、痒みを除く働きがある。

 大黄 芒硝(泄熱通便:下痢をさせて熱を便とともに体外に出す)

大黄、芒硝は胃熱を清する。石膏を加えれば、さらに胃熱を清することが出来る。

 石膏 黄芩 連翹桔梗(宣泄肺胃熱:体内の熱を直接的に下げる)

山梔子 滑石(清熱利湿:熱を小便に排泄させる)

当帰 白芍 (養血活血)

血虚があると皮膚が乾燥し、痒みも生じやすくなるので(血虚生風という)、養血剤は面游風の治療としては理にかなっている。沙参、麦冬、石斛などの清熱養陰剤を加えれば皮膚病変にはなおのこと良い。

白朮(健脾化湿)甘草(和中緩急)

以上のように清熱湿、風止痒、排熱解毒の作用をもつ防風通聖散の応用範囲は広い。

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