今回の漢方市民講座では、張琪氏に絞っての糖尿病性腎症の弁証論治をご紹介しています。漢方治療の実際をご覧になって下さい。( )内に随時、コメントを入れます。医案に進みましょう。
患者:張某 68歳 男性
初診年月日:2002年9月11日
病歴:
糖尿病歴13年、尿蛋白が出現して3年、ここ2年間はインスリン注射にて空腹時血糖9.4mmol/L(169.2mg/dL)程度にコントロールされ、尿蛋白は±~2+、腎機能は正常、血中脂質正常、乏力多汗十余年、動くとすぐに汗が出て、乏力が生じる。遂に治療を求め氏を受診。
初診時所見:
多汗、倦怠乏力、動則更甚、舌質紅干、無苔、脈弦細数。
中医弁証:
自汗、腎気陰両虚、腎気虚則固摂失職、上は表虚自汗、下は精微外泄と弁証
西医診断:糖尿病性腎症
治法:補腎益気養陰、活血化瘀
方薬:
熟地黄20g 天門冬20g 玄参15g 山茱萸15g 枸杞子20g 菟絲子20g 女貞子20g 旱蓮草20g 益母草30g 天花粉20g 黄耆(益気)30g 党参(益気養陰)20g 赤芍15g 紅花15g 草决明(决明子に同じ、清肝明目、潤腸通便)20g
水煎服用、毎日2回に分服
(参耆地黄湯加減方ですね。黄耆(益気、固表止汗)30g 党参(益気養陰)20gで参耆(益気固摂養陰)、熟地黄20g 天門冬20g 玄参15g 山茱萸15g 枸杞子20g 女貞子20g 旱蓮草20g 天花粉20gと、菟絲子(補腎陽)は補腎養陰のグループ、赤芍15g 紅花15gは活血祛瘀、益母草30gは活血利水消腫、残りは配伍理由が不明な草决明となります。)
二診:2002年 9月25日
服薬後症状変化不明確、多汗まだ有り、倦怠乏力、動則更甚、舌質紅干、無苔、脈弦細数、血圧正常。
方薬:
黄耆